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2015年2月

2015年2月27日 (金)

特許微生物寄託(日本-台湾間の手続が大幅に簡素化)-でも未だ実施されず

 日本から台湾へ、及び、台湾から日本への、特許微生物寄託が必要な特許出願の手続きに際して寄託関連の手続が、大幅に簡素化されることが予定されています

 既に特許庁のHPでも公表されているように、特許微生物寄託に関連する特許法施行規則の規定が改正され*1、また審査基準(「生物関連発明」の審査基準)が改訂され*2、施行規則の施行日と改正審査基準の適用はいずれも、平成27年1月1日からとなっています。これらの改正によって、台湾から日本への出願がされた場合の特許微生物寄託の手続きの簡素化が見込まれていました(日本から台湾への出願も、相互主義の考えに基づき(後述するように覚書が最近交わされています)、同様に適用される予定でした)

 ところが、今日現在まだ、日本-台湾間の特許微生物寄託手続の簡素化は、実際には未だおこなわれておらず、表面的には動きが止まってしまっているようです

 すなわち、特許法施行規則の改正、審査基準の改訂に加えて、特許微生物寄託の寄託機関における実際の運用などを定めた「特許微生物寄託等事業実施要綱の一部を改正する告示」(案)が一旦パブリックコメントを募集して、告示の公表のため手続きが進められていましたが、意見募集の結果(2015/1/10公表)、「本件に係る告示案について内容を見直し、改めて意見公募手続をすることとし、本意見公募に基づいて告示を定めないこととしました」として、仕切り直しが表明されて以降、特許庁での動きがとまってしまっています*3


*1
 特許庁ニースリリース、平成26年8月12日
 特許法施行規則の一部を改正する省令(平成26年8月12日経済産業省令第40号)
 
http://www.jpo.go.jp/torikumi/kaisei/kaisei2/tokkyohou_260812.htm

*2 特許庁ニースリリース、平成26年11月19日
 「生物関連発明」の審査基準の改訂について

 
http://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/h26_seibutsu_kaitei.htm
(改訂のポイント)
「特許法施行規則第27条の2第1項の改正に伴い、条文を引用している箇所について、改正後の条文に更新するとともに、改正により新たに規定された寄託機関である「条約の締約国に該当しない国(日本国民に対し、特許手続上の微生物の寄託に関して日本国と同一の条件による手続を認めることとしているものであつて、特許庁長官が指定するものに限る。)が行う機関指定に相当する指定その他の証明を受けた機関」を特許手続上の寄託機関として追加する。」

*3 http://www.jpo.go.jp/iken/biseibutsu_141107_kekka.htm
「特許微生物寄託等事業実施要綱(平成十四年経済産業省告示第二百九十一号)の一部を改正する告示案に対する意見公募の結果について」(2015/1/10)


また、改正施行規則や改正審査基準で新たに対象に加えたい、締約国に該当しない国の機関(「条約の締約国に該当しない国(日本国民に対し、特許手続上の微生物の寄託に関して日本国と同一の条件による手続を認めることとしているものであつて、特許庁長官が指定するものに限る。)が行う機関指定に相当する指定その他の証明を受けた機関」)についても、特許庁長官による国等の指定についても、未だに、何ら公表等されていません*4


*4 今回の改正により手続きの簡素化を図ろうと考える国・地域は、特許庁の改正の説明等には具体的には記載されておりませんが、これまでの経緯や、後述する台湾との覚書締結の進捗からみて、「台湾」を第一のターゲットにしていることは明らかです。

  なお、上記は、台湾から日本へ出願をした場合に関連する日本国内での寄託手続に関するものですが、その裏返しである、日本から台湾へ出願した際の台湾での寄託手続きについては、当然、台湾での法律に基づくものになりますが、これに関して、今回の日本国内の改正に合わせるように、日本-台湾間で「日台特許手続微生物寄託覚書」が交わされています*5


*5
 「公益財団法人交流協会と亜東関係協会との間の特許手続上の微生物の寄託の分野における相互協力に関する覚書」(略称「日台特許手続微生物寄託覚書」) 2014年 11月 20日作成
http://www.koryu.or.jp/taipei/ez3_contents.nsf/v04/787A326B12A80D0449257D9500303326

(抜粋)
1.11月20日、日本と台湾との特許手続上の微生物の寄託の分野における相互協力に関し、公益財団法人交流協会と亜東関係協会との間で標記覚書を交わし、以下の合意がなされましたのでお知らせいたします。

2.台湾は我が国にとって緊密な経済関係を有するパートナーであり、その基礎となる知的財産分野においても、密接な関係を有しています。本覚書は、これまで日台双方において出願人が行うことが必要であった手続の負担を軽減するものであり、これにより、経済面での日台間の実務交流が一層促進されることが期待されます。

(主要合意事項)
1. 基本的性質
交流協会と亜東関係協会は、日台双方の出願人の相手方区域における特許権の取得に関する手続負担を軽減するため、覚書に規定された内容について、必要な関係当局の同意が得られるように相互に協力する。

2.  規定内容
(1)上記協力の対象は、特許手続における微生物寄託の相互承認。
(2)主な内容
 出願人が相手側の寄託機関に寄託を行う手続負担を軽減するために、日台双方がそれぞれ指定する微生物寄託機関への寄託を相互に承認すること。


 因みに従来は(結果的には今現在も)、「日本から台湾へ」の特許出願の場合も、またその逆の「台湾から日本へ」の特許出願の場合も、(ブダペスト条約の適用外なので)特許微生物寄託の手続における原則的な取扱いとなるため、実際に、相手国の寄託当局宛に寄託する微生物(生物)を送って、現地で微生物寄託をしたことの証明書(受託証)を取得し、それを特許出願に際して提出しなければなりません。

 特許微生物寄託の手続きの世界では、ブダペスト条約(『特許手続上の微生物の寄託の国際承認に関するブダペスト条約』)というものがあります。

ブダペスト条約の加盟国であれば、自国の寄託機関で寄託(国際寄託)をしておくことで、自国でした寄託手続を相手国の審査の際に承認してもらえることになるため、その国で別途あらためて寄託手続をする必要はありません。

 しかし、台湾のようにブダペスト条約の枠外の国・地域については、その国へ、微生物寄託を伴う特許出願をしようとする場合、(基本的には)その国での特許出願前までに、その国に実際に微生物を送って、その国の寄託機関に提出して寄託手続を行い、その国で寄託の証明書(寄託機関の受託証)を取得する必要があります。

  例えば、従来は、たとえ日本国内の寄託機関に寄託をして受託証を取得していたとしても、日本出願を基礎として台湾で特許出願をするに場合には、日本から台湾に微生物の現物を送り、台湾の寄託当局に微生物を実際に寄託する手続をし、そこで受託証を取得して、それを台湾の特許当局に提出する必要がありました。

 ところが、今回の手続の簡素化が実際に図られると、この相手国(例えば台湾)での寄託を行う必要がなくなり、日本の寄託機関に対する手続のみで済ますことができるようになります。微生物の実物を現地に送らなければならないという問題を回避できますので、出願人にとっては大幅な負担軽減につながります。このため、簡素化は非情に期待されているといえます。

 いずれにしても、早く、手続の簡素化を実施してほしいです。


(参考)
ブダペスト条約(日本語訳)

http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/fips/budapest/bt/mokuji.htm

ブダペスト条約(英語)
Treaties and Contracting Parties: Budapest Treaty(WIPO)

http://www.wipo.int/treaties/en/registration/budapest/index.html

特許微生物寄託センター(NPMD)
http://www.nite.go.jp/nbrc/patent/ida/npmd.html

以上

2015年2月25日 (水)

栽培地検査と輸出検疫

(植物の)輸出検疫では、相手国の検疫当局の検疫条件(植物種、国により様々)にしたがって、日本の植物防疫所において検査を行ってもらう検疫の方式をいいます。

おおよその手続の概略は下記のようになります。

相手国の条件で、栽培段階での検疫(害虫、病気などの検査)が必要となる場合には、輸出しようとする作物などの栽培段階から、植物防疫所に申請をして、栽培地に検査官に来てもらって検査を受ける必要があります。例えば、秋に収穫する作物を例にとると、初夏や真夏の時期などに栽培地で検査を受け、さらに、検疫証明書の発給の際に、収穫物を植物防疫所に持ち込んで検査を受けることになります。(下記の図の左の写真は、実際に栽培試験で検査官に検査をしてもらっている様子です(なお写真は、あまり特定できないように拡大し少し加工しています)。

品種登録出願の外国出願をする場合には、このような手続が必要となる場合があります。

なお出願を希望する場合は、出願手続や外国の制度はもちろん、この辺りの検疫などのことも良く知っていることが望ましいでしょう。


Kennekikensayusyutukenneki_3

   (図の出典:植物防疫所HP、 写真は実際に管理人が立ち会った検査の様子)

<参考>

・植物防疫法
 http://www.pps.go.jp/law_active/Notification/basis/2/5/html/5.html

 (輸出植物の検査)

 第十条

 輸入国がその輸入につき輸出国の検査証明を必要としている植物及びその容器包装を輸出しようとする者は、当該植物及び容器包装につき、植物防疫官から、それが当該輸入国の要求に適合していることについての検査を受け、これに合格した後でなければ、これを輸出してはならない。

2 前項の検査は、植物防疫所で行う。但し、植物防疫官が必要と認めるときは、当該植物の所在地において行うことができる。

3 輸入国がその輸入につき栽培地における検査を要求している植物その他農林水産省令で定める植物については、あらかじめその栽培地で植物防疫官の検査を受け、その検査に合格した後でなければ、第一項の検査を受けることができない。

4 植物防疫官は、輸入国の要求に応ずるため、必要があると認めるときは、第一項の検査を受けた物についてさらに検査をすることができる。



・衛生植物検疫措置の適用に関する協定(SPS協定)
 http://www.maff.go.jp/j/syouan/kijun/wto-sps/
 WTO加盟国は、植物検疫措置を必要な限度において科学的原則に基づいてとり、恣意的又は不当な差別をしないことなどを規定


・国際植物防疫条約(IPPC)
 http://www.maff.go.jp/j/syouan/syokubo/keneki/ippc.html
 植物に関する病害虫コントロール、国際的なまん延防止に関する国際的な協力を主たる目的とする多国間条約


・植物検疫措置に関する国際基準(ISPM)
 http://www.maff.go.jp/pps/j/law/ispm/ispm.html
 SPS協定において、IPPC事務局が作成する具体的な植物検疫措置などに関する国際基準

以上

2015年2月24日 (火)

輸出植物検疫~外国品種登録出願の審査(栽培)用種子の送付のため

外国での品種登録出願をすると、日本における出願の審査と同様に、現地で栽培試験を行う必要がでてきます。出願をした国(外国)で、実際に栽培試験を実施してもらうためには、出願人が保持している出願品種の種子を所定量(さらに対照品種の種子送付が必要な場合が多い)、現地の栽培試験を実施する当局に送付する必要があります。

植物の種類によっては、種子ではなく、苗や球根等を送る必要がでてくる場合もあります。

ここで、一番問題となるのは、「検疫」に関する手続です。このような場合、種子を相手の外国に送るため、種子の輸出ということになり、検疫も「輸出検疫」の手続を経る必要があります。

輸出検疫」は、簡単にいうと、相手国が求めている検疫条件で、日本の検疫当局(植物防疫所)で検査を予め受け、問題なければ、植物検疫証明書(Phytosanitary Certificate)を発給してもらい、これを、送付する種子の梱包物に、他の書類(通関書類など)とともに添付して送ることになります。

検査は、植物防疫所に申請書共に持ち込んで、そこで専門官による検査をうけることになります。当日終わることもあれば、数日かかることもあります。さらに、相手国の検疫条件によっては、栽培段階で検査を受ける必要がある場合があり(栽培試験)、検疫だけで、一年がかりの作業となることもあります。

先日、クライアントの要望もあり、輸出検疫の手続に立ち会ってきました。今回は、上記にあるように、相手国の条件から栽培試験(圃場での検査)もあり、植物検疫証明書をほぼ一年がかりで取得することになりました。訪問したのは、横浜植物防疫所の東京支所(お台場)です。

2015_tokyopps1b_2
 (お台場の合同庁舎の入り口)

2015tokyopps
 (植物防疫所の入り口)

2015_tokyopps2_2
 (合同庁舎からみたお台場の風景)

Phytosanitary_certificate_parts_sam
 (植物検疫証明書(一部)はこんな感じです)

以上

2015年2月23日 (月)

「機能性表示食品」のガイドライン案(概要)の公表と説明会開催

 食品の新しい機能性表示の制度である「機能性表示食品」の消費者庁による運用が、2015年度から開始されることになっています(6月27日までに施行するとのことです)。

 これまであったトクホ(特定保健用食品)はその承認を取得するハードルが高く、あまり使い勝手の良い制度とは言えませんでしたが、新制度である「機能性表示食品」は、基本的には届出することにより表示が認められるようになるため、使い勝って良さから、各方面からの期待が高まっています。

 新しい機能性表示を理解しておくことは、食品の用途発明(既知の食品物質・素材の新たな用途に関する発明)の出願を検討する場合にも、重要になると予想されます、
 また、機能性表示は農産物にも適用される予定であるため、「地域団体商標」や「地理的表示」(新法施行予定)との間での活用法の整理や、戦略の立案などに観点からも、この機能性表示の新制度の理解は重要になると考えています。

Photo_5


(1) 機能性表示制度に関する説明会(消費者庁)の開催

 3月2日の東京での説明会から開始して全国で説明会を開催するようです。

 ・消費者庁ニュースリリース 2015/2/19
 「食品表示基準及び新たな機能性表示制度に係る説明会の開催について」
 http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin1417.pdf

 ただし説明会でガイドラインの公表がされるかどうかは未定のようです。


(2) 内閣府消費者委員会による「答申書」(2014年12月9日)

 機能性表示食品は、食品表示法(平成25年法律第70号)第4条第1項の規定により内閣府令で新たに定める食品表示基準に定められることになります。

 機能性表示食品の制度は、内閣府の消費者委員会でこれまで検討が進められてきました。
 昨年の12月9日には、食品表示基準において「機能性表示食品」の制度を制定することについて、消費者委員会から内閣総理大臣宛の答申書がしめされました。

 内閣府 消費者委員会
 <答申書>
http://www.cao.go.jp/consumer/iinkaikouhyou/2014/__icsFiles/afieldfile/2014/12/10/20141209_toshin_betu.pdf

 この答申書には食品表示基準案も添付されています。以下に表示基準案の主なところの抜粋を示します。

 ・「機能性表示食品」の定義 →
 疾病に罹患していない者(未成年、妊産婦(妊娠を計画している者を含む。)及び授乳婦を除く。)に対し、機能性関与成分によって健康の維持及び増進に資する特定の保健の目的(疾病リスクの低減に係るものを除く。)が期待できる旨を科学的根拠に基づいて容器包装に表示をする食品(特別用途食品、栄養機能食品等を除く)であって、当該食品に関する表示の内容、食品関連事業者名及び連絡先等の食品関連事業者に関する基本情報、安全性及び機能性の根拠に関する情報、生産・製造及び品質の管理に関する情報、健康被害の情報収集体制その他必要な事項を販売日の六十日前までに消費者庁長官に届け出たものをいう。

 ・機能性表示食品である旨 → 「機能性表示食品」と表示する。

 ・科学的根拠を有する機能性関与成分及び当該成分又は当該成分を含有する食品が有する機能性
    → 消費者庁長官に届け出た内容を表示する。

 ・届出番号 → 消費者庁長官への届出により付与された届出番号を表示する。


(3) 機能性表示食品に係る届出に関するガイドライン(案)の概要

 内閣府の消費者委員の「健康・医療ワーキング・グループ」の検討の中で、ガイドライン案の概要が消費者庁から示されています。

 「機能性表示食品に係る届出に関するガイドライン(案)の概要」
http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/meeting/2013/wg3/kenko/150114/item2.pdf
http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/meeting/2013/wg3/kenko/150114/agenda.html

 ガイドライン概要中、機能性表示食品の表示のあり方に関する箇所を以下に抜粋します。

5. 表示の在り方に係る事項
(1)適切な機能性表示の範囲
 ア 対象食品
  食品全般を対象とするが、対象外となる食品の考え方は以下のとおりとする。
 ① 特別用途食品、栄養機能食品と重複することはできない。
 ② アルコールを含有する飲料(アルコールを含有する食品を含む。)を対象外する。
 ③ 国民の栄養摂取の状況からみてその過剰な摂取が国民の健康の保持増進に影響を与えているものとして健康増進法施行規則(省略)第11条第2項で定める栄養素(脂質、飽和脂肪酸、コレステロール、糖類(単糖類又は二糖類であって、糖アルコールでないものに限る。)、ナトリウム)の過剰な摂取につながる食品は対象外とする。


 イ 可能な機能性表示の範囲
  保健の目的が期待できる旨の表示の範囲は、健康の維持及び増進に役立つ、又は適する旨(疾病リスクの低減に資する旨を除く。)を表現するものであり(※1~3)、例えば、次に掲げるものであることとし、明らかに医薬品と誤認されるおそれのあるものであってはならないこととする。
 ① 容易に測定可能(※4)な体調の指標の維持に適する又は改善に役立つ旨
 ② 身体の生理機能、組織機能の良好な維持に適する又は改善に役立つ旨
 ③ 身体の状態を本人が自覚でき、一時的であって継続的、慢性的でない体調の変化の改善に役立つ旨


 ※1「診断」「予防」「治療」「回復」「緩和」「処置」等の医学的な表現は使用できない。
 ※2身体の特定の部位に言及した表現は可能である。
 ※3特定保健用食品で認められている範囲内の表現は可能である(疾病リスク低減表示を除く)。
 ※4医学的及び栄養学的な観点から十分に評価され、広く受け入れられている評価指標を用いる。なお、主観的な指標によってのみ評価可能な機能性の表示についても対象となり得るが、その指標は日本人において妥当性が得られ、かつ、学術的に広くコンセンサスが得られたものとする。


  認められない表現例としては、以下のものが考えられる。
 ① 疾病の治療効果又は予防効果を暗示する表現
 (例)糖尿病の人に、高血圧の人に等
 ② 健康の維持及び増進の範囲を超えた、意図的な健康の増強を標ぼうするものと認められる表現
 (例)肉体改造、増毛、美白等
 ③ 科学的根拠に基づき実証されていない機能性に関する表現
 (例)限られた免疫指標のデータを用いて身体全体の免疫に関する機能があると誤解を招く表現、in vitro 試験や動物を用いたin vivo 試験で実証された根拠のみに基づいた表現、抗体や補体、免疫系の細胞などが増加するといったin vitro 試験やin vivo 試験で科学的に実証されているが、生体に作用する機能が不明確な表現等


(2)容器包装への表示以外の情報開示
消費者庁のウェブサイト及び企業等のウェブサイトで情報開示する。』

以上

2015年2月20日 (金)

【品種登録】 種苗法(育成者権関連)の判例のリスト

 前回の記事で、種苗法(特に育成者権関連)の判例が、非常に少ないと書きましたが、裁判所のHP(http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/search7)で現在見ることが出来る、種苗法(商標法との関連のものを除く)の関連の判例をまとめてみました。

                                                                                                                                             
   

裁判所

判決言渡日

(事件番号)    

   

事件の概要

   
   

関係する登録品種

   
   

判決主文

   
   

ポイントなど

   
   

リンク

   
 

8 

 
 

東京地裁 
平成261128日判決
(平成21()47799等)

 
 

原告による「なめこ」の登録品種に係る育成者権に基づいて、被告によるなめこの製造販売等の差止、損害賠償請求を、原告が求めていた事案  

 
 

品種登録番号

  第9637号
登録年月日

  平成13年11月22日
農林水産植物の種類

  なめこ
登録品種の名称

 KX-N006号 

 
 

原告の請求をいずれも棄却する

 
 

現物主義と特性表主義

 ・権利濫用の抗弁

 ・後発的取消事由

 
 

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本ブログでの解説★

 
 

7 

 
 

東京地裁 
平成21227日判決
(平成20()23647

 
 

原告による「まいたけ」の品種登録に係る育成者権に基づいて、被告によるまいたけの購入、自家増殖等の行為の差止、損害賠償請求を、原告が求めた事案  

 
 

品種登録の番号

  第11229号
登録年月日

  平成15年3月17日
農林水産植物の種類

  まいたけ
登録品種の名称

  BO-101

 
 

原告の請求認容、

被告らは,「重要な形質欄」記載の形質について「重要な形質に係る特性欄」記載の特性を有するまいたけ種の種苗を生産し,調整し,譲渡の申出をし,譲渡し,又はこれらの行為をする目的をもって保管してはならない  

 
・自家増殖の特例(種苗法21条2項)の主体的要件  

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6 

 
 

東京地裁 
平成20829日判決
(平成18()19802

 
 

原告による「しいたけ」の品種登録に係る育成者権に基づいて、被告によるしいたけの製造販売等の差止、損害賠償請求を、原告が求めた事案  

 
 

(A) 品種登録番号

  第7219号
登録年月日

  平成11年4月15日
農林水産植物の種類

  しいたけ
登録品種の名称

  JMS5K-16
(B) 品種登録番号

  第7166号
登録品種の名称

 MM-2号(他、省略)

 
 

原告の請求認容、

被告は,種苗を生産し,調整し,譲渡の申出をし,譲渡し,又はこれらの行為をする目的をもって保管してはならない

 
・種苗法上の過失推定規定(35条)の適用  

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5 

 
 

知財高裁 
平成181225日判決
(平成17(行コ)10001

 
 

・3の事件の控訴審、


・予備的請求として、本件処分の取消請求を追加

 
 

品種登録の番号

  第11308号
登録年月日

  平成15年3月26日
農林水産植物の種類

  りんどう
登録品種の名称

  芸北の晩秋

 
 

控訴棄却

追加した予備的請求に係る訴えを却下

 
 

・現物主義、特性表の考え方

 ・種苗法3条1項1号にいう「公然知られた他の品種」の解釈  

 

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4 

 
 

知財高裁 
平成181221日判決
(平成18()10059

 
 

・原審(長野地裁 平成14年(ワ)第358号)の事件の控訴審、


・原審では、原告(控訴人)の品種登録に係る育成者権に基づいて、被告(被控訴人)によるきのこの製造販売等の差止、損害賠償請求を、原告が求めていたところ、請求は棄却されていた  

 
 

品種登録番号

  第10615号
登録年月日

  平成21年9月4日
農林水産植物の種類

  エリンギ
登録品種名称

  ホクト2号

(データベースでは現在、ホクトPLE-2号)

 
 

控訴棄却

 

 ・種苗法3条1項1号にいう「他の品種」、「公然知られた他の品種」の解釈
・未譲渡要件と区別性

権利濫用の抗弁

 

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3 

 
 

東京地裁 
平成1775日判決
(平成16(行ウ)278

 
 

被告による「りんどう」の品種登録「「芸北の晩秋」には重大かつ明白な瑕疵が存在すると主張して,りんどうの品種改良,生産,販売等を行っている原告らが,処分の無効確認を求めた事案  

 
 

品種登録の番号

  第11308号
登録年月日

  平成15年3月26日
農林水産植物の種類

  りんどう
登録品種の名称

  芸北の晩秋

 
 

原告らの請求を棄却

 

・無効確認における原告適格
・当然無効
・権利範囲と特性表
・出願段階の特性表との記載の齟齬は、3条1項の充足性に影響しない

 

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2 

 
 

東京高裁 
平成9227日判決
(平成8()873

 
 

1の事件の控訴審

 
 

品種登録番号

  第1789号
登録年月日

  昭和63年11月5日
農林水産植物の種類

  えのきたけ
登録品種の名称

  ホクトM-50

 
 

控訴棄却

 
 

 
 

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1 

 
 

長野地裁 
平成8125日判決
(平成3()185

 
 

「えのきたけ」の品種登録をうけている原告が、被告の種菌の生産等の行為は、種苗法(旧)の規定に批判するとして差止請求、損害賠償請求等を求めた事案  

 
 

品種登録番号

  第1789号
登録年月日

  昭和63年11月5日
農林水産植物の種類

  えのきたけ
登録品種の名称

  ホクトM-50

 
 

原告の請求を棄却

 (登録品種と被疑品種との同一性を認めず、侵害でない)

 
 

・区別性の判断では、農水省告示で定めた「種苗法の規定に基づく重要な形質」に列記された要素について比較検討されるべき、

 ・現物主義の考え方に基づき、同一性を判断している  
 

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 以上

2015年2月19日 (木)

【品種登録】 育成者権侵害に関する判例(東京地裁 平成26年11月28日判決)

 種苗法(特に育成者権侵害に関するもの)判決は、非常にめずらしく、久しぶりに出されたものです。今回の判決はいろいろ、これまでにない内容があり、非常に興味深いのでここで取り上げ、まとめておきたいと思います。


――――――
【平成26年11月28日判決(東京地裁 平成21年(ワ)第47799号、平成25年(ワ)第21905号 -育成者権侵害差止等請求事件)】 ~ 「なめこ」事件
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/686/084686_hanrei.pdf


【ポイント】

(1) 育成者権侵害の判断をする上での従来からの重大な論点である「現物主義」*1を採用する上での問題点が、明確になったという意味で、非常に興味深い判決である。

(2) 育成者権の権利範囲*2を理解する上でも実務的に非常に参考になる見解が示されている。

(3) 権利濫用の抗弁を認め*3、取消事由を有する品種登録に基づく権利行使を認めなかった。

(4) 後発的に取消事由が生じ*4、それに基づき権利濫用の抗弁を認めた。


*1 現物主義」とは、育成者権侵害の判断については、原則として、登録品種と侵害が疑われる品種が同一品種であるか否かを判断するには、常に植物自体を比較する必要があるという立場をいう(農林水産省がとっている立場(農水省説ともいう))。
 なお、これに対立する立場として、「特性表主義」(品種登録簿の特性表に記載された特性をもって、特許権における特許請求の範囲のごとく考える立場)がある。


*2 種苗法には、特許法70条のように権利範囲を解釈するにあたって参照される規定は存在しない。このため、育成者権の権利範囲を画するものについて、上記のような「現物主義」、「特性表主義」といった学説的考え方はあるが、見解が分かれており、確立されていない。
 なお、「育成者権の効力」について、種苗法20条1項では、
 『育成者権者は、品種登録を受けている品種(以下「登録品種」という)及び当該登録品種と特性により明確に区別されない品種を業として利用する権利を専有する。』とされている。


*3 
いわゆる、特許法におけるキルビー特許の最高裁判決事件(最判H12.4.11判決)示されたものと同じ立場である。(キルビー事件当時の特許法と同様に)現状の「種苗法」には、特許法104条の3に相当する規定は未だに、設けられていない。

*4 判決文の記載によれば、「なめこ」の栽培は難しく、「脱二核化」現象が発生することがあり、これにより特性が変質して、当初の栽培特性を維持できなくなることが起こり易いようである(本事案では、維持されてきた種菌が、品種登録簿の特性表に記載された特性を維持できなくなっていたらしい)。


【事案の概要】

 「なめこ」の登録品種(下記)について育成者権を有する原告が、被告組合A及び被告会社B(以下両者を併せて単に「被告ら」という)は、原告の許諾の範囲を超えて又は原告の許諾なく、本件登録品種又はこれと重要な形質に係る特性により明確に区別されない「なめこ」の種苗の生産等をすることにより、本件育成者権を侵害してきたものであり、今後もそのおそれがある旨主張して、種苗の生産等の差止め、種苗の廃棄、信用回復の措置としての謝罪広告、並びに不法行為(育成者権の侵害)に基づく損害賠償金等の支払を求めた事案。

   品種登録の番号    第9637号
   登録年月日      平成13年11月22日
   出願年月日      平成9年12月24日
   農林水産植物の種類  なめこ
   登録品種の名称    KX-N006号 (出願時の名称は「東北N006号」)
   品種登録データベースのリンク: http://www.hinsyu.maff.go.jp/vips/CMM/apCMM110.aspx?MOSS=1
      (このページで、登録番号の欄に、上記番号を入れ検索すると、登録情報を見ることができます)。


Nameko9637

 (写真出典: 品種登録データベースより)


Tourokuhinshu_database_registration

 (登録品種の植物体の特性の概要等/出典: 品種登録データベースより)



【判旨】

<主文>

 原告の請求をいずれも棄却する。

<裁判所の判断>
1. 争点1(本件育成者権侵害の有無)について
(1) 育成者権侵害の有無に関する判断基準について

『・・・・。
 ところで,種苗法においては,育成者権の及ぶ範囲について,「品種登録を受けている品種(以下「登録品種」という。)及び当該登録品種と特性により明確に区別されない品種」を「業として利用する権利を専有する。」と定める(同法20条1項本文)のみで,育成者権の権利範囲の解釈について特許法70条のような規定は置かれていない

 しかし,・・・・,これらの種苗法に掲げられた諸規定を総合して解釈すれば,新たな品種として登録を認められた植物体とは,特性(重要な形質に係る特性)において,他の品種と明確に区別され,特性(重要な形質に係る特性)において均一であり,特性(重要な形質に係る特性)において変化しないことという要件を満たした植物体であって,その特性(重要な形質に係る特性)は品種登録簿により公示されることになっているのであるから,品種登録簿の特性表に掲げられた重要な形質に係る特性は,当該植物体において他の品種との異同を識別するための指標であり,これらの点において他の品種と明確に区別され,安定性を有するものでなければならないものというべきである

 そして,上記の点は,・・・現物主義(・・。)の下でも,妥当するといわなければならない。すなわち,育成者権の侵害を認めるためには,少なくとも,登録品種と侵害が疑われる品種の現物を比較した結果に基づいて,後者が,前者と,前者の特性(特性表記載の重要な形質に係る特性)により明確に区別されない品種と認められることが必要であるというべきである(なお,「明確に区別される」かどうかについては,特性表に記載された数値又は区分において,その一部でも異なれば直ちに肯定されるものではなく,相違している項目,相違の程度,植物体の種類,性質等をも勘案し,総合して判断すべきである。仮に,品種登録簿の特性表に記載された特性をもって,特許権における特許請求の範囲のごとく考える立場〔以下「特性表主義」という。〕によるとすれば,侵害が疑われる品種について,(登録品種の現物ではなく)登録品種の品種登録簿の特性表記載の特性と比較して,登録品種と明確に区別されない品種と認められるか否かを検討すれば足りることになるが,その場合においても,「明確に区別される」かどうかを総合的に判断すべきことは同様である。)。』
  (判決文中、・・は管理人による省略を意味する)

 →(コメント)
 すなわち、育成者権の侵害を認めるためには,少なくとも,登録品種と侵害が疑われる品種の現物を比較した結果に基づいて、登録品種と、侵害が疑われる品種が、登録品種の「品種登録簿の特性表に掲げられた重要な形質に係る特性」により、明確に区別されない品種と認められることが必要であるとした。
 つまり、
育成者権侵害の判断に際しては、「現物主義」か、「特性表主義」かのいずれか一方の立場をとるのではなく、現物主義による現物の比較の必要性を認めつつも、そこで比較する際には、「品種登録簿の特性表に掲げられた重要な形質に係る特性」に立脚した観点で判断するべきと考えているようである。言い換えると、権利範囲の予見性や公示性の観点からの「特性表主義」と、保護対象が品種という変動しやすい生き物であることに配慮した「現物主義」とを上手く組み合わせて、判断すべきとの考えのようである。

 → 管理人の個人的な感想としては、「現物主義」の利点と問題点、「特性表主義」の利点と問題点を考慮して、双方の良いところを組み合わせて侵害判定をすべきという理念のようなものは理解できるが、結局のところ、それらを上手く折り合いをつけるのが実務的、現実的には難しいのであって、そこのところの肝心の具体的手法についてまでは、まだ明確にはなっていないので、少々、物足りなく感じます。

 
 

(2) 鑑定嘱託の結果について

『・・・・・。
 鑑定嘱託の結果に基づいて,G株(被告会社の販売に係る被告製品から抽出した種菌の栽培株)に係る品種がK1株(本件登録品種の種菌として種苗センターに寄託されたものの栽培株)に係る品種と「特性により明確に区別されない」と認めることはできないし,G株に係る品種がK2株(原告が本件登録品種の種菌として保有していたと主張するものの栽培株)に係る品種と「特性により明確に区別されない」と認めることもできない。
なお,鑑定嘱託の結果に基づいて,K2株に係る品種が本件登録品種であると認めることができないことは,いうまでもない。
 ・・・・。
 このように,本件鑑定書に記載されたG株の特性と,本件登録品種の特性表記載の特性には,異なっているように見受けられる項目が複数存在していることから,仮に特性表主義の立場に立った場合であっても,G株の特性が本件登録品種の特性表記載の特性と「特性により明確に区別されない」ことが立証されているとはいえない
 ・・・・。
 以上によれば,被告らが本件登録品種又はこれと重要な形質に係る特性により明確に区別されないなめこの種苗の生産等を行ったとか,その収穫物を販売したと認めることは,困難であるというべきであり,ほかに被告らが本件育成者権を侵害する行為をした,あるいは,していると認めるに足りる証拠はない。』

  → (コメント)
原告は、育成者権侵害の立証のために、
  K1株(本件登録品種の種菌として種苗センターに寄託されていたもの)、
  K2株(原告保有のものであって、原告が本件登録品種の種菌と主張するもの)、
  G株(イ号製品、すなわち、被告の製品から抽出したもの)
との比較栽培による鑑定を、第三者機関に依頼して行っている。

 結果は、原告の望んだ形でなく、不明確で侵害を立証するには足らないものであった。

 ここに「現物主義」の立場をとるときに一番の問題点が現れているように思われる。
 すなわち、侵害判定するいために、イ号製品と登録品種とを実際に比較栽培する場合、品種登録簿の特性表の特性をもつ本件登録品種の種苗(特性表主義でいうところの想定される権利範囲(特性)をもつもの)と、原告が試験用に提出した「登録品種の現物」と主張する種苗との関係がきちんと立証できるのか、また、実際、そもそも原告は、品種登録簿の特性表の特性を有する現実の品種(種苗)を、侵害の判断の段階で用意できるのか、ということである。


 
 本事案では、原告は、出願審査の際の栽培試験も担当している「種苗管理センター」に寄託してあったK1株と、自分自身が保持する登録品種の主張と考えるもの(K2株)とを提供して試験を行っており、その意味では、原告は最大限の努力をしているように思える(実際、育成者権侵害の原告サイドに立った場合の立証法としては参考になる)。
 しかし、結果的には、K1株と、登録原簿の特性表との関係を立証はできておらず、またそもそも両株とも、「特性」を保持していないとの事実上の結果になってしまっている。

 育成者権侵害の立証の難しい部分(一部だが)について、鮮明となったとも言えると思う。

 


2. 争点2(本件各請求は信義則違反又は権利濫用として許されないか)について
 『・・・・・・。
 種苗法において特許法104条の3が準用されていないのは,特許法のように独自の無効審判制度を設けていないことによるものと考えられ,種苗法においても,品種登録が上記・・・の規定に違反してされたものであり,農林水産大臣により取り消されるべきものであることが明らかな場合(・・・・)にまで,そのような品種登録による育成者権に基づく差止め又は損害賠償等の請求が許されるとすることが相当でないことは,特許法等の場合と実質的に異なるところはないというべきである。・・・・。したがって,品種登録が取り消される前であっても,当該品種登録が上記・・・の規定に違反してされたものであって,取り消されるべきものであることが明らかな場合には,その育成者権に基づく差止め又は損害賠償等の権利行使は,権利の濫用に当たり許されないと解するのが相当である(最高裁平成12年4月11日第三小法廷判決・・・)。

 ところで,品種登録がされた後において,登録品種が種苗法3条1項2号又は3号に掲げる要件を備えなくなったことが判明したときも,品種登録の取消しの効果自体は遡及しない(同法49条4項柱書本文)ものの,農林水産大臣が品種登録を取り消さなければならず(同条1項2号),その点に裁量の余地はないことは,同様であると解される。そうすると,このような後発的取消事由が発生したことが明らかな品種登録について,その事由の発生後,未だ農林水産大臣によって品種登録が取り消されていないという一事をもって,その育成者権に基づいて,当該品種の利用行為を差し止め,又は損害賠償等を請求することを容認することは,実質的に見て,育成者権者に不当な利益を与え,当該品種を利用する者に不当な不利益を与えるものであって,衡平の理念に反するとともに,訴訟経済にも反するというべきである。したがって,品種登録が取り消される前であっても,当該登録品種が同法3条1項2号又は3号に掲げる要件を備えなくなったことが明らかな場合には,そのことが明らかとなった後は,その育成者権に基づく差止め又は損害賠償請求等の権利行使は,権利の濫用に当たり許されないと解するのが相当である。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
 したがって,原告が,取消事由が存在することが明らかな本件品種登録に係る本件育成者権に基づき,被告らに対し,差止請求及び廃棄請求をすることは,権利濫用に当たり,許されないというべきである。また,原告の被告らに対する損害賠償請求のうち,取消事由が発生したことが明らかとなった時点以降の被告らの行為を理由とする部分についても,権利濫用に当たり,許されないというべきである。
 ・・・・。』

  →(コメント)
  後発的取消事由に基づく場合であっても、権利濫用の抗弁を認めている。
  ここで、育成者権の別の問題点の一つが現れてきている。すなわち、長い存続期間の間、登録品種として実際に維持をつづけてきたものが、ずっと、登録時における特性を本当に維持しつづけることができるのか、変質して特性が変わる場合もあるのでは、という点である。
 本事案では、登録時の特性を保持した、本来の登録品種は既に存在しなくなってしまっている。(結局これは、後発的取消事由に結びつくに至っている)。

以上

2015年2月10日 (火)

「農林水産物・食品の輸出」が過去最高6000億円超え

2014年の農林水産物・食品の輸出額が6117億円となり、1955年に統計を取り始めて以来初めて6000億円を突破したとのことです。

農産物の輸出は、国家成長戦略の一つにもなっています。

ニュース記事を備忘のため残します。


・日経新聞記事、2015/2/10
 「農産物・食品の輸出、6000億円超え過去最高」

http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS09H81_Q5A210C1MM0000/

 (記事より抜粋)
 「転機は13年に和食が世界無形文化遺産に登録されたことだ。世界的な和食ブームに日銀の金融緩和に伴う円安が重なり、輸出額を押し上げた。・・・」


 ・農林水産省リリース、平成27年2月10日
 「「平成26年農林水産物・食品の輸出実績」について」

http://www.maff.go.jp/j/press/shokusan/kaigai/150210.html

 (記事抜粋)
  ・農産物    :    3,570億円(対前年比    +13.8%)
  ・林産物    :    211億円 (対前年比    +38.5%)
  ・水産物    :    2,337億円(対前年比    +5.4%)

   輸出先: 1位が香港、2位が米国、3位が台湾



20150210001


20150210002

   (上記のグラフ、表ともに、農水省HP(上記)のリンク資料より抜粋)


以上

2015年2月 3日 (火)

「地理的表示法」の施行令や審査要領の「案」が公表

地理的表示法(特定農林水産物等の名称の保護に関する法律)の施行がこの6月頃に予定されていますが、それに向けて、施行令、施行規則、審査要領、様式等の案がパブリックコメントとして公表されています(下記URL)。

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=550002073&Mode=0

 (主な公表内容)
・特定農林水産物等の名称の保護に関する法律施行令案
・特定農林水産物等の名称の保護に関する法律施行規則案
・法第三条第二項の規定に基づき農林水産物等の区分等を定める告示案
・特定農林水産物等審査要領案



<審査要領や様式(案)をみて気になったところ>

・審査に際して、「農林水産物等審査基準」、「名称審査基準」、「生産行程管理業務審査基準」が用意されて、それにしたがって審査される。
   (「農林水産物等審査基準」は、申請する農林水産物等が法第13条第1項第3号に該当するか否かの審査、
    「名称審査基準」は、申請する農林水産物等の名称が法第13条第1項第4号に該当するか否か及び申請者が同条第2項各号に該当するか否かの審査
    「生産行程管理業務審査基準」は、申請者の生産行程管理業務が法第13条第1項第2号に該当するか否かの審査
     に関するものらしい)。

・審査の際に、必要と認めれば、審査官は、現地に赴く「現地調査」を行う。

・申請書に添付する「明細書」の記載のうち、「生産地」について
  - その範囲が明確にわかるよう記載されていること。申請書には、生産地の位置関係を示す図面を添付することができる。

・申請書に添付する「明細書」の記載のうち、農林水産物等の生産の方法」について
  - その行程の内容及び申請農林水産物等の最終製品としての形態(例:生鮮品、加工品等)が明確にわかるよう記載されていること。なお、申請農林水産物等の特性がその生産地の自然的条件のみにより付与又は保持される場合には、生産の各行程が当該生産地で行われている旨を記載すれば足りる。
  - ここで「生産」とは、申請する農林水産物等が出荷されるまでに行われる一連の行為のうち、申請農林水産物等に特性を付与し、又は申請農林水産物等の特性を保持するために行われる行為をいう。

・申請書に添付する「明細書」の記載のうち、「伝統性」について
  - 申請農林水産物等の生産の開始時期及び生産期間の合計(生産期間に中断がある場合には、生産の開始時期、生産期間の合計及び中断期間)が記載されていること。なお、生産の開始時期等が明確にできない場合には、概括的な記載(例:江戸時代中期に生産が開始された)で足りるものとする。


なお、パブリックコメントの募集期間は3月3日までとのことです。

以上

2015年2月 2日 (月)

ブログの事務的メモ 2015/2/2

ブログの事務的メモです。

◎ 更新が滞っていた、目次ページを更新をしました。


寒い日が続いています。でもふと気がつくと、もう梅の花のつぼみがついて、少しですが咲き始めていました。春までもう一息ですね。

201502ume

以上

平成26年改正の「次」の特許法等の改正

 特許法の改正の施行が今年の4月1日されますが、特許庁の産構審(産業構造審議会)の特許制度小委員会では、さらに次の改正が議論されておおよその方針が固まったようです。
 下記の小委員会の報告書に挙げられていますので、備忘のため、項目と内容の抜粋を残します。

我が国のイノベーション促進及び国際的な制度調和のための知的財産制度の見直しに向けて-知的財産分科会特許制度小委員会-
http://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/shingikai/newtokkyo_shiryou10.htm
http://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/toushintou/innovation_patent.htm


<検討された項目>

 1.職務発明制度の見直し
 2.特許料金等の改定
 3.特許法条約及び商標法に関するシンガポール条約の加入に向けての改正




<報告書のポイントの抜粋>
  * 以下の下線や強調文字は、管理人による
  -詳細は、上記URLより、報告書自体を確認のこと。


1.職務発明制度の見直し

 (1) 職務発明に関する特許を受ける権利については、使用者等に対し、契約や勤務規則等の定めに基づき、発明のインセンティブとして、発明成果に対する報いとなる経済上の利益(金銭以外のものを含む)を従業者等に付与する義務を課すことを法定する。・・。

 (2) 職務発明に関する「特許を受ける権利」については、現行制度を改め、初めから使用者等に帰属するものとする

 (3) 政府は、・・、インセンティブ施策についての使用者等と従業者等の調整の手続(従業者等との協議や意見聴取等)に関するガイドラインを策定する。


2.特許料金等の改定

 (1)特許について
 特許出願料及び特許料の一定程度の引下げについて、特許特別会計の中長期的な収支見通し等も踏まえて検討することが必要。

 (2)商標について
 商標設定登録料及び更新登録料の一定程度の引下げについて、特許特別会計の中長期的な収支見通し等も踏まえて検討することが必要。

 (3)PCT出願に係る国際調査手数料、予備審査手数料等について
 ・・、今後の出願動向、海外の料金水準、我が国特許庁における実費等も勘案しつつ、日本語及び英語の別に料金設定を行う体系に改める必要がある。


3.特許法条約及び商標法に関するシンガポール条約の加入に向けての改正
(条約加入のための制度整備の改正のため、次回で下記の全ての点が改正できるかは分かりませんが、今後の改正で順次、改正されていく可能性は高いでしょう)。

 (1) 出願日の認定要件
 特許法条約(PLT)は、特許出願の出願日を認定するための要件として、
 (i)特許を受けようとする旨の表示、
 (ii)出願人の氏名若しくは名称又はそれらを特定可能な記載 及び
 (iii)外見上明細書と認められるもの
(以下これらの要件を「出願日の認定要件」という。)があるときには、「出願日」を認定することを締約国に義務づけている(第5条(1))。
→ PLT・・の規定に準拠するため、・・、特許法において出願日の認定要件を明確化するとともに、特許出願が出願日の認定要件を満たしていないときにはそれを満たすための補完の手続を導入する方針。


 (2) 明細書の言語

PLTは、出願日の認定に際しては、明細書はいかなる言語でもよいと規定している(第5条(2)(b))。

→ PLT・・の規定に準拠するため、明細書はいかなる言語であってもよいこととする方針。 (翻訳文は依然として、当然要求されます


 (3) 明細書又は図面の欠落の補完

 PLTは、出願日の認定に際して、明細書の一部又は図面に欠落があるときは、出願人は当該欠落部分又は図面を一定の期間内であれば提出することができる旨を規定している(第5条(5))。また、これと併せて、提出された欠落部分又は図面は、出願に含まれているものとする旨を規定するとともに、出願日の認定要件を満たした日又は当該欠落部分又は図面が受理された日のうちいずれか遅い日を出願日とすることも規定している(第5条(6))。

  →PLT・・の規定に準拠するため、願書に最初に添付された明細書又は図面に欠落があるときは、一定期間内に限り、当該欠落する部分又は図面を提出することができる補完の手続を導入する方針。
   併せて、PLT・・の規定に準拠するため、当該欠落部分が優先権主張の基礎とした先の出願に完全に含まれているときは、出願日の認定要件を満たした日を出願日とする旨を規定する方針。


 (4) 先にされた出願の引用による明細書等の置換

 PLTにおいては、特許出願の際に、先にされた出願の明細書及び図面を引用する旨を願書に表示することで、願書に明細書及び図面の添付がなくても、当該表示をもってそれら書面の添付に代えることができ、出願日が認められることを規定している(第5条(7))。

   → PLT・・の規定に準拠するため、特許出願の際に、願書において先にされた出願を引用する旨を表示することで、願書に明細書及び図面の添付がなくても、当該表示をもってそれら書面の添付に代えて出願日の認定を行う手続を導入する方針。


 (5) 出願に係る形式及び内容並びに提出物の要件の不備に対する通知等

  →我が国の現行特許法上、通知の対象となっていない
 (i) 外国語書面出願の翻訳文の提出、
 (ii) 優先権書類の提出 及び
 (iii) 国際特許出願の出願人が在外者である場合における特許管理人の選任の届出
について、所定の期間内にその提出等がないときは、当該期間の経過後、一定期間(通知から2か月とする予定)内に、その提出等を行うよう通知をするとともに意見を述べる機会を与えることとする方針。


 (6) 在外者による直接出願及び特許権の存続のための料金の直接納付

特許出願について、・・・、在外者による直接出願を可能とする方針。
→特許権の設定登録の日から4年目以降の特許料は、・・、在外者による直接の納付を認めることとする方針。


 (7)指定期間経過後の請求による救済

→ PLT第11条(1)の規定に準拠するため、指定期間の経過後であっても、一定期
間内に限り、請求によりその手続を行うことを可能とする方針。


 (8) 特許権の移転登録等の一方当事者による単独申請

→PLTの規定に準拠するため、特許権の移転登録申請等について、当事者のうちいずれか一方の者のみによる単独の申請を認めることとする方針**。
(**我が国の現行法令においては、これらの登録申請をするには、一部の例外を除き、当事者が共同で行わなければならないこととなっている)。


 (9) 特許権の移転等の登録申請における、要件不備に対する通知

→PLTの規定に準拠するため、特許権の移転登録申請等に要件不備がある場合には、申請人に対しその旨を通知し、一定期間内(通知の日から2か月とする予定)は、当該申請がその要件を満たすための補正等の機会を与えるとともに、意見を述べる機会を与える方針***。
(***現行法令においては、これらの申請が所定の要件を満たしていないときは、申請人に対し、却下の理由を通知し、弁明書を提出する機会を与えた後却下することとしており、申請の補正は一切認められていない)。


 (10)STLT加入に当たって対応が必要となる規定及び現行国内規定の概要並びに必要となる措置

-期間経過後の救済
-使用権(ライセンス)の記録について必要となる措置

                                     以上 

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