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2017年1月19日 (木)

特許法・特許法施行規則・手数料令の改正(TPP整備法関連)

環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律(以下「TPP整備法」)が、2016年12月9日に(第192回国会にて)可決・成立し、12月16日に法律第108号として公布されています。また、それに関連する法整備として、特許法施行令及び特許法等関係手数料令について改正するための政令が、閣議決定され、2017年1月17日付けで経済産業省HPにて公表されています。

(参考)
2016年12月28日 (特許庁)
環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律(平成28年12月16日法律第108号)
http://www.jpo.go.jp/torikumi/kaisei/kaisei2/tpp_houritu_seibi_h281228.htm

2017年1月17日 (経済産業省)
特許法施行令及び特許法等関係手数料令の一部を改正する政令が閣議決定されました
http://www.meti.go.jp/press/2016/01/20170117002/20170117002.html

内閣官房 - TPP政府対策本部
http://www.cas.go.jp/jp/tpp/torikumi/index.html#seibihouan

TPP整備法については、昨年3月の時点で法案が公表されていましたのでご存じの方も多いと思いますが、備忘のため、下記に簡単にまとめておきます。



[TPP整備法による特許法等の改正の概要]

TPP整備法は、TPPの締結に伴ってそれを的確に実施するため、特許権の存続期間の延長制度の整備等を内容とする特許法や商標法等の一部改正を含む、関連する国内法の規定の整備を一体的に行うものです。このため、このTPP整備法案により、関連する特許法、商標法、著作権法などの規定が改正がなされることになります。


(1)特許法の改正内容

(i) 発明の新規性喪失の例外期間の延長

 特許出願をする前に、特許を受ける権利を有する者が発明を公開した場合、現行法では、発明を公開した日から「6ヶ月」以内に(所定の手続をととって)特許出願することにより、公開に伴う新規性喪失を例外として扱って救済を受けることが可能です(特許法30条)。
 今回の改正では、この例外の期間が現行の6ヵ月から「1年」に延長されます。

30jou1year

(出典: http://www.cas.go.jp/jp/houan/160308/siryou1.pdf)


(ii) 特許権の存続期間の延長制度の整備

 特許権の存続期間は、原則、特許出願の日から20年間であり、医薬品や農薬のような例外を除いては、この期間は延長されません。
 一方で、特許権の存続期間は出願日からの計算されるため、出願から審査を経て特許として登録されるまでの間で、審査等に時間がかかった場合、その分の権利期間が短くなるといえます。
 今回のTPP整備法では、一定の基準以上、審査等に時間がかかった場合には、それに要した期間について、特許権の存続期間の延長を可能とするものです。

 ここでいう一定の基準となるものとしては、
「特許出願の日から5年を経過した日又は出願審査の請求のあった日から3年を経過した日のいずれか遅い日以後に特許権の設定登録があった場合」には、その期間(ただし、出願人の責めに帰する期間、審判・裁判に関する期間等は除外する)について、特許権の存続期間を延長することができるようになります。

 ただし、米国特許制度にある特許期間調整制度(Patent Term Adjustment(PTA))ように自動で計算して(無料で)適用しれくれるのではなく、下記のような手続や制約があります。

 ・特許権者自らが、特許権の設定登録の日から3月以内に延長登録出願を行う必要がある(自動的に計算されて延長されるのではない)、

 ・延長登録出願する際には、特許権者(延長出願の出願人)が、延長が見込まれる期間を自分で計算する必要があり、またその期間が適切か否かについて、審査がされ、場合によっては拒絶理由通知の発行、手続補正書・意見書提出が必要となる、

 ・延長登録出願は無料ではなく、印紙代(43600円)がかかる(改正手数料令参照) など。

Enchopta
(出典: http://www.cas.go.jp/jp/houan/160308/siryou1.pdf)


(2)商標法の改正内容

商標の不正使用についての損害賠償に関する規定(詳細は省略)。


(3)施行日

・TPP整備法(特許法の改正等):  TPPが日本について効力を生ずる日

・特許法施行規則・手数料令:  TPP整備法の施行の日


[コメント]

・明日1月20日に、米国で新大統領(トランプ大統領)の就任式がありますが、新大統領はTPPについて否定的な立場を既にとっていますので、TPP自体は発効しない可能性が非常に高くなっています。TPPが発効しなければ、(上記の施行日の条件のとおり)、上記の改正法も施行されず(当然、施行令等も施行されません)、何も無かったことになります。

・したがって、現時点では、実際に、日本で特許法等の改正が行われるか否かは、米国の新大統領の胸三寸、というなんだか不思議な状況になっています。

・ただし、TPPが発効しなかった場合でも、上記の特許法の改正内容は、TPPの交渉段階で米国からの要望で入った内容といえそうですので、将来的に、TPPの代わりに日米でのFTA交渉があれば、これらの内容について特許法の改正が求められる可能性は十分あると予想されます(実際、米国と二国間のFTAを結んでいる韓国では新規性喪失例外の期間が1年になる等の改正が既に行われています)。

・改正法の内容についての個人的な感想(コメント)としては、新規性喪失例外の適用については、猶予期間(グレースピリオド)が「1年」となるは良い方向性だと思います。ユーザーにとっては利便性が大幅に良くなると思います。
 一方、新たな存続期間の延長登録制度については、これはちょっと、出願人(特許権者)にとっては、あんまりな(酷い)制度なのではないでしょうか。

・つまり、特許庁側の理由で、審査が遅延して延長する必要がでてくるのに、特許権者側が、お金を払って、期間も計算して、出願手続をとって、さらに審査手続に対応しなければならないなど、特許権者側の負担があまりに大きく、バランスを欠いていると思います。

・現行の審査に要している期間を考えれば、実際に、この延長登録制度を利用する場合はあまり無いのかもしれませんが、それでも、利用することになった場合には、金銭的・手続的負担増は、多大です。
 意地悪な見方をすれば、特許庁としては、審査を遅らせた方が、延長登録制度の利用が増えて(仕事が増えて)、印紙代が「儲かる」という見方さえできてしまいます。 (そういったことは意図していないとは思いますが。。)

・審査遅延による期間の救済については、米国の特許期間調整制度(Patent Term Adjustment)にならった制度(延長期間を自動的に計算し適用してくれる)の方が、ユーザーフレンドリーであり、望ましい様に思います。

以上

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