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品種保護(Topic)

2018年5月21日 (月)

日本の優良品種の海外流出問題(最近のニュース記事から)

次第に夏が近づいて来たことを実感する陽気になってきまた。

日本の優良な品種の海外流出の問題について、平昌五輪以来、関心が高まっています。最近もひきつづき記事で扱われていました。
新聞記事からのものを、備忘のために記録しておきます。

201805jponear_2

(2018/5撮影、弁理士会会館付近から/左から、「霞ヶ関ビル」、弁理士会の入っている「東京倶楽部ビル」、審判部も入る「JTビル」、「特許庁本庁舎」ビル、そして右端が「弁理士会館」です)


■「もぐもぐイチゴ」の流出、中国でも懸念

 日経新聞HP、2018/5/21
 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30573650W8A510C1000000/

「・・・・・・・。・・・・・・・・・。・・・・・・、中国でも似たようなことが起きかねないと思わせる事件が最近発覚した。
 ・・・・・3月下旬。中国国営の新華社によると、河南省の出入国検査検疫局は中国籍の旅行客の荷物から、370株のイチゴの苗を発見し、押収した。・・・・・・。当局はこの苗を・・・、焼却処分にした。
 ・・・・・・・・・・・・・・・。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
 報道によると、この中国人は日本で苗を買い、中国で育てようと計画していたからだ。
 ・・・・・・・・・・・・・。
 農産物の知的財産を守る手立てはもちろんある。海外で無断で栽培され、増殖するのを防ぐため、市場の拡大が見込まれる国で品種登録を出願するのはその一つだ。ところが、農林水産省が海外での品種登録の支援に本腰を入れ始めたのはごく最近。・・・・・・・。
 
・・・・・。
 ■海外市場に目を向けない当事者
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
 ・・・・・・・。・・・・・・・。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
 ・・・・・・・・・・。農水省は2018年度予算で、日本が国際競争力があると自負する品種がどれだけ海外に流出し、知財を侵害されているのか調べることを決めた。・・・・・・・・・・・。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。・・・・・・。 ・・・・・・・・・・・・・・・・。」


ブドウ・サクランボも海外流出 農産物、甘い知財管理
 日経新聞HP、2018/5/11
 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30309350Q8A510C1000000/?n_cid=SPTMG053

「・・・・・・・・・・・・・。・・・・・・・・・・、手塩にかけて開発した優良品種の海外流出はほかにもある。ブドウの「シャインマスカット」やサクランボの「紅秀峰」など・・・・。背景には農産物の知的財産管理の甘さがあり、政府が旗を振る農産物の輸出拡大にも影を落としている。
 ・・・・・・・・・・・・・・・。・・・・・・・・・・・・。
 ・・。「シャインマスカットが中国で栽培されているようだ」。・・・・・、2016年5月のことだった。
 ・・・・・・・・・・・・・・・。・・・・・・・・・・・・。
 ・・・・・・・・・・・・・・・。・・・・・・・・・・・・。
 ・・・・、育成者権を取得するには国・地域ごとに品種を登録する必要がある。・・・・・・・。シャインマスカットは申請期間が過ぎてしまっていたため、栽培や販売の差し止めができず、手遅れとなった。
 日本発の優良品種の種苗が海外に持ち出されたのはシャインマスカットだけではない。農水省によると、サクランボの「紅秀峰」やイ草の「ひのみどり」なども海外流出が確認されている。・・・・・・・・・・・・・・・・。
 ・・・・・。農水省によると、韓国のイチゴ栽培面積の9割以上は日本の品種をもとに開発した品種という。韓国はアジアにイチゴを積極的に輸出しており、農水省は日本の農家が失った輸出機会が年44億円分に上ると推計する。・・・・・・・・・・・・・・・・。
 ・・・・・・・・・・・・・・・。・・・・・・・・・・・・。
 ・・・・・・・・・・・・。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」


(★以上は、日経新聞サイトの記事の部分引用です。正確な情報、詳細は、当該出典元のサイトをご確認ください)。

以上

2018年3月24日 (土)

この4月からの法改正・制度実施等のまとめ(3月下旬も含む)

この2018年4月から改正や施行・実施される、法律や規則、制度等(特許や品種登録関連の実務上、影響しそうなもの)を、まとめてみました。 (備忘用のメモです)。

TPPの発効を前提とした、TPP関連の特許法等の改正法が、米国のTPPへの事実上の不参加表明(現時点で)のため、棚上げになっていますので、特許法関連では、この4月には大きな改正はありません。とはいえ、小さな(?)変更等はありますので下記で確認しておきたいと思います。

Sakura201803
(先日、東京も開化宣言がありソメイヨシノが咲き始めました、2018.3.24撮影)


(1) 特許法関連
 (i) 特許法施行規則等の一部改正

  → 特許料について減免申請する場合の手続が一部、簡素化される。
 具体的には、第4年分から第10年分までの特許料を別に納付する場合は、その都度、減免の申請書を作成しなければならなかったところが、改正により、一度減免が認められた者については、以後減免の申請がなくとも第10年分までの特許料については自動的に減免を行うことができるようになる。

 <特許法施行規則等の一部を改正する省令について> (2018.3.28追記)
 https://www.jpo.go.jp/torikumi/kaisei/kaisei2/tokkyohou_300326.htm

 <特許料の減免申請手続の改正(平成30年4月1日施行)に関するお知らせ>
 https://www.jpo.go.jp/tetuzuki/ryoukin/genmen_kaisei.htm

 <「特許法施行規則等の一部を改正する命令案」に対する意見募集について>
 https://www.jpo.go.jp/iken/171113_houkaisei.htm

20180401genmem_2
   (出典:特許庁HP)


 (ii) 中小ベンチャー企業、小規模企業を対象とした審査請求料・特許料の軽減措置(1/3に軽減)が平成30年(2018年)3月31日で終了。

平成30年4月1日以降に特許の審査請求をした場合は、上記軽減措置は受けられなくなる。

ただし、特許法、産業技術力強化法等の他の法律に基づく軽減措置の軽減の要件を満たす者であれば、「審査請求料」、「特許料(1~10年分)」が1/2となりうる。また、平成26年4月1日から平成30年3月31日までに特許の審査請求を行った案件については、特許料の納付が平成30年4月1日以降であっても、軽減の要件を満たす者の場合は「特許料(1~10年分)」を1/3とする軽減措置を利用することができる。

中小ベンチャー企業、小規模企業を対象とした審査請求料・特許料の軽減措置について
https://www.jpo.go.jp/tetuzuki/ryoukin/chusho_keigen.htm

中小ベンチャー企業、小規模企業を対象とした特許料等の軽減措置及び国際出願促進交付金の平成30年4月1日以降の取り扱いについて
https://www.jpo.go.jp/tetuzuki/ryoukin/chusho_keigen-fromh300401.htm


 (iii) PCT国際出願関係手数料の一部改定 
(2018年4月1日)
   → 欧州特許庁が国際調査を行う場合の調査手数料が改定。
   http://www.jpo.go.jp/tetuzuki/t_tokkyo/kokusai/pct_tesuukaitei.htm



(2) 種苗法関連
 (a) 種苗法施行規則の一部改正  (公布日: 2018年03月23日)

  →(改正のポイント)
  (a-i) 植物について定める区分の追加等(規則別表第一関連)
       出願品種の属する植物の種類の追加(規則別表第二関連)
  (a-ii) 農業者の自家増殖に関し育成者の効力が及ぶ植物の種類の追加等(規則別表第三関連)
   → 植物を新たに定める(他)
  (a-iii) 品種登録出願及び登録料納付に係る電子申請システムの導入に伴う改正

 <種苗法施行規則の一部を改正する省令>
(省令案)
http://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000165980

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=550002580&Mode=2

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=550002580&Mode=0&fromPCMMSTDETAIL=true


 (b) 
苗法第2条第7項の規定に基づく重要な形質を定める件の一部の改正  (公布日: 2018年03月23日)
→(改正のポイント)
 「重要な形質」の追加(新設)、改正

 <種苗法第2条第7項の規定に基づく重要な形質を定める件の一部を改正する告示>
 (告示案)
http://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000165983

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=550002581&Mode=2
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=550002581&Mode=0&fromPCMMSTDETAIL=true


 (c) 電子手続の受付開始 ~ 2018年3月26日からの予定

 <品種登録電子出願システム(マニュアル、利用規約等)>
http://www.hinshu2.maff.go.jp/info/yousiki/denshi/idpw01.html



(3) その他
・主要農作物種子法(いわゆる「種子法」)の廃止

  (注: 種苗法とは全く別の法律です)

主要農作物種子法を廃止する法律の施行(2018年4月1日)により、「主要農作物種子法」が廃止されます。

主要農作物種子法では、稲・麦・大豆の優良な種子の安定的な生産や普及を、国や都道府県が責任をもつとされており、国や都道府県が育成した品種でなければ、奨励品種とはなることは事実上困難で、奨励品種になれないと農家への普及等は実質期待できないものでした。
このため、稲等の民間企業による新品種の開発はこれまで、新品種の育成はされても結局、普及は期待できず、ビジネスとしてほぼ成立しえなかったため、結局、民間企業による稲の品種開発はあまり進みませんでした。
(10年ほど前にイネの全ゲノム解読の後、ゲノム育種による国内民間企業、ベンチャーによる稲の新品種の育種が盛り上がった時期がありますが、結局、民間開発の品種は「奨励品種」になれないことが壁となり、その後は、民間企業のプロジェクトやベンチャーについては、死屍累々となりました)。

主要農作物種子法の廃止により、民間企業による稲・麦・大豆での、新品種の開発等が期待されているようです。因みにこの廃止には、海外の種子メジャーによる国内種子の独占などを心配する向きもあるようです。

国内民間企業等の品種開発促進を主眼に「廃止」を考えるのであれば、正直、その判断は、遅きに失した(10年遅れた)のでは、と思います。「廃止」となったからには、民間を含む国内での優れた品種の開発がされていくことを期待したいです。

<主要農作物種子法を廃止する法律案の概要>
http://www.maff.go.jp/j/law/bill/193/attach/pdf/index-13.pdf

以上

2016年6月27日 (月)

英国EU離脱、欧州特許&品種登録への影響

6月23日(現地時間)に、英国でEU(欧州連合)離脱の是非を問う国民投票が実施され、その結果、EU離脱支持が過半数を超え、英国のEU離脱が決定されました。

英国のEU離脱の国民投票の決定が、特許や品種登録に関してどのような影響があるか、現時点で確認したいと思います。



(1) 欧州特許、欧州単一特許、欧州統一特許裁判所への影響

欧州特許庁(EPO)は長官名で6月24日付けで下記のようなステートメントを公表しています。

http://www.epo.org/news-issues/news/2016/20160624.html


UK Referendum – Statement of President Battistelli

24 June 2016

The Office underlines that the outcome of the referendum has no consequence on the membership of the UK to the European Patent Organisation, nor on the effect of the European Patents in the UK. Concerning the Unitary Patent and the Unified Patent Court, the Office expects that the UK and the participating Member States will find a solution as soon as possible which will allow a full implementation of these so-long awaited achievements
.

(出典:上記URL)


(管理人による仮和訳)


「英国の国民投票」 ~バティステリ欧州特許庁長官による声明
2016年6月24日
「欧州特許庁は、欧州特許機構における英国の加盟国の地位、および英国における欧州特許の効力に関して、今回の国民投票の結果は影響を及ぼさないことを強調する。欧州単一特許および統一特許裁判所に関しては、英国および参加国が、待望の成果を十分に実現できるようできるだけ速やかに解決策を見出すことを期待する。」



[コメント]

欧州特許の法的根拠は欧州特許条約(EPC)であり、EPC条約に各国が加盟しているか否かが問題であって、EUに加盟しているか否かとは関わりありません。このため、EPOの長官の声明もそれに沿って、EPCにおける加盟国の地位や、英国における欧州特許の効力については影響が無いことを明確に述べていると理解できます。

一方で、予定されている欧州単一特許や、統一特許裁判所の法的根拠は、EU規則です。EU規則はEUの加盟国を拘束するものであり、EUから離脱すればその制約は当然うけなくなります。このため、英国は、理屈の上からいえば、EUを離脱すれば、EU規則の枠外となり、欧州単一特許や、統一特許裁判所も関係無くなる可能性は十分あると言えます。ただし、現状、EUが今回の英国のEU離脱をどのように扱うかがまだ未確定であることから、EPOの長官の声明も、「解決策が見出されることを期待する」ということに止めていると思われます。

 もちろん、EUと英国がどのように今後、対応していくかの問題ですので、欧州単一特許や、統一特許裁判所に英国も含めて運用する可能性は否定できませんが、いずれにしても、欧州単一特許と統一特許裁判所に関する英国の立場については、今後の対応に注目する必要があるようです。



(2) 欧州共同体植物品種権(CPVR)への影響


欧州共同体品種庁(Community Plant Variety Office (CPVO))のWebサイトを見る限り、今日までの段階で何ら、公式は発表はありません。

http://www.cpvo.europa.eu/main/en/home



[コメント]

共同体植物品種権の法的根拠は、EU規則です。このため、英国のEU離脱後は、CPVO経由しての(英国でも有効な)EU品種権の取得ができなくなる可能性が十分にあると思われます(この場合、英国については、英国に出願して英国での育成者権を個別に取得する必要がでてくるかもしれません)。ただしこちらも、EUと英国がこの問題にどのように今後、対応していくかの問題ですので、今後の対応に注目する必要があるようです。


いずれにしても、英国のEU離脱問題は、知財の世界にも少なからず影響を及ぼしそうです。

以上

2016年6月 3日 (金)

【品種登録】 中国の「植物新品種証書」(品種登録の登録証)を受領

中国で出願していた、品種登録出願について、この度無事、登録が認められ、登録証(「植物新品種権証書」)が送られてきました。

ご覧のとおり、証書自体を、結構立派な専用のファイルに入ったものです。
(出願人、権利者や具体的な品種の情報はマスキングしています)


2016_06_cnpvpcertfct

中国では、日本と異なり、植物の種類によって、出願審査を取り扱う当局が2種類あります。

木本性植物の場合は、「中国国家林業局 植物新品種保護弁公室」へ出願し審査をしてもらいます。
それ以外の植物(例えば、花卉、野菜、作物他)は、「中国農業部 植物新品種保護弁公室」に出願し、審査してもらうことになります。

今回は、「中国農業部 植物新品種保護弁公室」に出願したものです。

(因みに日本では、「農林水産省 食料産業局 知的財産課」に一本化しているのでこのような分かり難さはありません)。


この案件、日本での出願に加えて、中国の他、別の2ヵ国でも出願しており、この件で懸案だった海外出願について、いずれも無事、登録することができました。他の国のときもふくめ、出願後の手続でいろいろ紆余曲折があって大変だったこともあり、結構思い入れがあります。そのため、登録が認められ、とても嬉しいです。


※ ご存じのとおり、品種登録出願は、日本国内での種苗法に基づく出願はもちろんですが、海外でも、各国の品種登録制度に基づき出願し、権利化を図ることが可能です。このとき、特許出願の場合のパリ条約のように優先権(UPOV条約による優先権)を主張することで、基礎出願の出願日を確保しつつ、別の国で出願・権利化を図ることができます。

以上

2015年7月16日 (木)

【品種登録】 「種苗管理センター」が農研機構に統合へ

何かと忙しくなってしまい久しぶりの更新となってしまいました。申し訳ありません。
今年は梅雨の長雨がつづき6月から7月上旬にかけては肌寒い日々が続きましたが、今週に入ってから晴れて猛烈に暑くなってきました。

暑くなってきた13日は、夕焼けがとてもきれいでした。

13june2015implpalece

 (ワークスペースから撮影)


品種登録出願の実務をする場合におなじみの「種苗管理センター」が、農研機構(国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構)に、来年平成28年4月より統合されることになりそうです。

今国会(第189回国会(常会))に、「独立行政法人に係る改革を推進するための農林水産省関係法律の整備に関する法律案」という法案が提出されています。ここで、「種苗管理センター」は、「農業・食品産業技術総合研究機構」、「農業生物資源研究所」及び「農業環境技術研究所」と統合され、「農業・食品産業技術総合研究機構」に一本化されることになっています。


Tougousetumei

(出典:農林水産省 第189回国会(常会)提出法律案 法案概要より)


組織の統合の話自体は、一昨年(平成25年)12月24日に閣議決定されて以降、法案としてまとめられ、今国会に提出されています。法案は現在審議中ですが、今国会で承認されれば、正式、来年4月に統合されることになります。

ただし、農研機構内の組織名として「種苗管理センター」は維持されるとのことで、おそらく、来年4月以降も、見た目はあまり変わらないことになりそうです。

この点に関しては、種苗管理センターニュース(第75号)(http://www.ncss.go.jp/main/osirase/sonota1.html#news)に下記のようにあります。

「・・・・新法人は、研究開発業務と、種苗審査に係る栽培試験等の種苗管理業務という性格の異なる業務を実施することとなるため、栽培試験の公正性・信頼性の確保を考慮し、種苗管理センターの名称を維持することに加え、理事長及び副理事長以外にセンター担当の代表権を有する役員を置くことも決まりました。・・・・」

【コメント】

 農研機構自体は、研究成果としての新品種について、品種登録出願しています。つまり品種登録制度上のユーザーの立場でもあります。今回の組織統合がされると、そのユーザーが、一方で出願をする出願人の立場になり、他方では栽培試験の実施を担当して、品種登録出願の審査の一端を事実上担うことになります。

 利益相反といった問題にはならないのでしょうか。この辺りの検討や、切り分け、組織内でのチャイニーズウォール設置の必要性の有無の検討など、内部的には整理されているのでしょうか。少なくとも法案の説明資料にはこの点に関する言及は無いように思うのですが。。

 個人的には、ユーザーでもある農研機構が栽培試験という審査の一部を実施することに、ちょっと粛然としない感じがするのですが・・・・。


<参考資料>

● 参議院の法案ページ
 (法案の審議状況)
 
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/189/meisai/m18903189032.htm

 (法律案)
 
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/189/pdf/t031890321890.pdf


● 農林水産省 第189回国会(常会)提出法律案
 
http://www.maff.go.jp/j/law/bill/189/index.html


● 「法律案」抜粋
「第一条
 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構法(平成十一年法律第百九十二号)の一部を次のように改正する。
・・・
 3 研究機構は、前二項に規定するもののほか、種苗法(平成十年法律第八十三号)に基づき適正な農林水産植物の品種登録の実施を図るための栽培試験を行うとともに、優良な種苗の流通の確保を図るための農作物の種苗の検査並びにばれいしょ及びさとうきびの増殖に必要な種苗の生産及び配布を行うことを目的とする
・・・
 第十四条第一項第六号から第十号までを削り、同項第十一号中「の業務」を「に掲げる業務」に改め、同号を同項第六号とし、同条に次の三項を加える。
 3 研究機構は、第四条第三項の目的を達成するため、次に掲げる業務を行う。
  一 種苗法第十五条第二項及び第四十七条第二項の規定による栽培試験を行うこと。
  二 農作物(飼料作物を除く。)の種苗の検査を行うこと。
  三 ばれいしょ及びさとうきびの増殖に必要な種苗の生産及び配布を行うこと。
  四 前三号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。
・・・」


「 附 則
 ・・・
(種苗管理センター等の解散等)
第二条
 独立行政法人種苗管理センター(以下「種苗管理センター」という。)、国立研究開発法人農業生物資源研究所及び国立研究開発法人農業環境技術研究所(以下「種苗管理センター等」という。)は、この法律の施行の時において解散するものとし、次項の規定により国が承継する資産を除き、その一切の権利及び義務は、その時において国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(以下「研究機構」という。)が承継する。
・・・

(種苗法の一部改正)
第二十三条
 種苗法(平成十年法律第八十三号)の一部を次のように改正する。
 第十五条第二項中「独立行政法人種苗管理センター(以下「種苗管理センター」を「国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(以下「研究機構」に改め、同条第五項及び第六項中「種苗管理センター」を「研究機構」に改める。
第四十七条第二項中「種苗管理センター」を「研究機構」に改める。
 第六十三条の見出し中「種苗管理センター又は家畜改良センター」を「研究機構等」に改め、同条第一項中「種苗管理センター」を「研究機構」に、「「家畜改良センター」を「「研究機構等」に改め、同条第二項から第四項までの規定中「種苗管理センター又は家畜改良センター」を「研究機構等」に改める。
 第六十四条(見出しを含む。)及び第七十四条中「種苗管理センター又は家畜改良センター」を「研究機構等」に改める。


(種苗法の一部改正に伴う経過措置)
第二十四条

 前条の規定の施行の際現に同条の規定による改正前の種苗法(以下この条において「旧種苗法」という。)第十五条第二項又は第四十七条第二項の規定により種苗管理センターに行わせている栽培試験は、前条の規定による改正後の種苗法(以下この条において「新種苗法」という。)第十五条第二項又は第四十七条第二項の規定により研究機構に行わせている栽培試験とみなす。
2 施行日前に旧種苗法第十五条第二項又は第四十七条第二項の規定により種苗管理センターに行わせた栽培試験は、新種苗法第十五条第二項又は第四十七条第二項の規定により研究機構に行わせた栽培試験とみなす。
3 施行日前に旧種苗法第十五条第五項(旧種苗法第四十七条第三項において準用する場合を含む。)の規定により種苗管理センターが依頼した栽培試験は、新種苗法第十五条第五項(新種苗法第四十七条第三項において準用する場合を含む。)の規定により研究機構が依頼した栽培試験とみなす。」


                                  以上

2015年5月28日 (木)

『農林水産省知的財産戦略2020』 が公表

 「農林水産省知的財産戦略2020」が策定され、公表されました。2020年までの今後5年間の農林水産省としての知財戦略をまとめたものです。

 当ブログの過去記事(2015/4/24等)でその策定ための検討会を追ってきましたが、前回公表された案に従った内容となっています。(一応、比較・確認を後でしようと思います)。

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  [出典:「農林水産省知的財産戦略2020の概要」 
  (
http://www.maff.go.jp/j/press/shokusan/sosyutu/pdf/150528-02.pdf)より]


● 農林水産省、プレスリリース、2015/5/28
 「農林水産省知的財産戦略2020」の策定について
 http://www.maff.go.jp/j/press/shokusan/sosyutu/150528.html


● 農林水産省知的財産戦略2020(PDF:235KB)
  http://www.maff.go.jp/j/press/shokusan/sosyutu/pdf/150528-01.pdf


● 当ブログの過去記事:
 ◎ 2015年1月21日 (水)
  「農林水産省 知的財産戦略検討会(第1回) (傍聴メモ)」
  http://blog.patent-pvp.com/pvp/2015/01/index.html#entry-81636997

 ◎ 2015年4月24日 (金)
  「新しい「農林水産省知的財産戦略」案の公表(&コメント)」
  http://blog.patent-pvp.com/pvp/2015/04/index.html#entry-82305370


● 農林水産省知的財産戦略検討会
  (今回の戦略策定までの経緯がわかります)
  http://www.maff.go.jp/j/kanbo/tizai/brand/b_senryaku/index.html


以上

2015年4月24日 (金)

新しい「農林水産省知的財産戦略」案の公表(&コメント)

第4回農林水産省知的財産戦略検討会が4月23日に開催され、農水省のwebページに、「農林水産省知的財産戦略」の案が公表されています。

この「農林水産省知的財産戦略」は、今年(平成27年)から今後5年間の農林水産省の知的財産戦略を定めるものであり、1月から農林水産省内の「検討会」にて策定作業が進められています。

今回の公表された案をもとに、来月5月には、最終的な(新しい)「農林水産省知的財産戦略」が発表される予定です。

確定前の「案」ですが、ほぼ最終版に近いと思われます。

「農林水産省知的財産戦略」案を、ざっと読んでみましたので、コメント・感想を残しておきたいと思います。
(うしろに、「抜粋」も残します)。


●農林水産省食料産業局(H27年4月24日更新)、「第4回 農林水産省知的財産戦略検討会」配付資料
  (今回の「農林水産省知的財産戦略」はここの資料中にあります)

 
http://www.maff.go.jp/j/shokusan/tizai/other/senryaku_4.html

●(参考)前回(これまでの)「農林水産省知的財産戦略」(平成22年3月策定)
 (概要版)
 
http://www.maff.go.jp/j/shokusan/tizai/other/pdf/0121_sankou1.pdf
 (全体)
 
http://www.maff.go.jp/j/shokusan/tizai/other/pdf/0121_sankou2.pdf

●(参考)「戦略的知的財産活用マニュアル」(農林水産省)
 
http://www.maff.go.jp/j/press/shokusan/sosyutu/pdf/140407-01.pdf



【コメント・感想】

(立案・策定・検討等で汗をかかれた方々には申し訳ないですが)
 個人的には大いに期待している分野なので、若干(かなり?)辛口になるのはご容赦を。

(1) まず全般的な印象ですが、今後の5年間の念頭においた戦略という割には、正直、従前の知財戦略の継続または延長線に、最近の知財トレンド的なものを少し盛り込んだだけな感が強く、ちょっと新味欠ける感じがします。

(2) 東京オリンピックの開催や最近の技術状況などからみて、今後の5年間は、これまでの直近の5年間よりも、はるかに急激な様々な変化が起こる可能性が高いようにと思います。
 この戦略(案)でも今後の5年に言及していますが、内容面をみると、これまでの延長線にしか見えないよう思います。
 農業や農産物の輸出等が、成長戦略の一つとして重要視されている割には、(緊張感というよりは)のんびりしている感じがしました。

(3) 内容面で気になったのは、種苗産業の競争力強化/植物新品種保護の強化についての議論が、ほかの記述との関係でみても、少し「おざなり」な感じが強いと思います。

 農林水産分野の知財戦略においては、農産物ブランド保護などと並んで、種苗産業の競争力強化(とそれに関連する植物新品種保護の強化)といのは、(古言い回しですが)「一丁目一番地的」なところなはずだと思います。
 今回の戦略(案)をみると、この辺りの内容は、記載はたくさんありますが、従前(前回)の戦略の焼き直しや、継続、延長的な内容で、力が入っている感じもあまりなく、少々新味にも欠ける感じがしました。

 中国など海外の追い上げは急速に進んでいると言われていますし、技術的な面でも、「ゲノム修飾」、「NBT」(new plant breeding techniques)など、新たな品種改良技術の発展が急激に進みつつありますが、技術開発面でどのように対応し、その技術や成果をどう保護・活用するか、また新しい技術分野のものに対して制度面での対応をどうすべきか、など、最新の状況をふまえて、この分野で、もっと先を見越した戦略を示して欲しかったです。
 制度などについて言えば、特許、商標と、品種登録、地理的表示などにおいて、縦割り省庁の枠を超えて、特許庁などともっと連携して(日本の行政庁として総力で)、ユーザーの視点から、保護のあり方、使い安さ、分かり安さなどを考えて、制度や運用を見直すなどといったことも検討して欲しかったです。国際的な保護制度運用についても、例えば、従来の省庁の枠を乗り越えて日本でスタンダード構築して、それを国際標準化させるなどといったことくらい示してもらえたら、おもしろかったのですが。。。

(4) いずれにしても、この知財戦略が正式策定され、良い方向で実現されていくよう期待しています。



【「農林水産省知的財産戦略」案】
 (抜粋)


第Ⅰ 現状認識
1 知的財産戦略を改定する必要性
 (略)

2 戦略改定の経緯
 (略)

3 戦略の実施期間
 (略)

第Ⅱ 知的財産の活用による新たな価値の創出
1 新たな消費者価値の創出
 (略)

2 ビジネスモデルと知的財産マネジメントを活用した新たな価値の創出
 (略)


第Ⅲ 戦略的な知的財産マネジメントの推進
 (略)


第Ⅳ 具体的な対応方向

1 技術流出対策とブランドマネジメントの推進
 ・・・・・・。
 ブランドマネジメントに関しては、商標権(文字、図形、地域団体商標)等の活用をさらに進展させるとともに、商標権、特許権、育成者権、地理的表示などの知的財産制度を組み合わせて差別化を図ることに加えて新たな機能性表示食品制度等も活用して産品の特徴を際立たせブランド力を向上することが重要である。・・・・・・。
 ・・・・・・。
 また、いわゆる健康食品の市場規模が拡大する中、新たな機能性表示食品制度を契機として、機能性食材の産業的展開を積極的に進めることができるよう、研究開発の進展とビジネスモデルとそれを支える知的財産マネジメントを連動すべきことを食品産業事業者に対して啓発する


2 知的財産の保護・活用による海外市場開拓

(1) 収益拡大を目指した知的財産の活用の推進
 今後10年で倍増が見込まれる世界の「食市場」の戦略的な獲得に向け、①世界の料理界で日本食材の活用促進(Made FROM Japan)、②日本の「食文化・食産業」の海外展開(Made BY Japan)、③日本の農林水産物・食品の輸出(Made IN Japan)の取組を官民連携により一体的に推進するさらに海外からのロイヤルティ収入の拡大を目指した知的財産権等の活用方策の普及啓発を推進する。
 ・・・・(略)・・。


(2) 第三国を経由する模倣品の顕在化及びこれを踏まえた対策
 (略)


(3) 地名の商標登録への対策
 (略)

3 国際標準への戦略的対応
(1) 標準等を活用した信頼性の向上
 (略)

(2) 国際的に通用する規格の策定及び国際規格化の推進
 (略)


4 伝統や地域ブランド等を活かした新事業の創出

(1)地理的表示保護制度の活用によるブランド化の促進
 新たに導入される地理的表示保護制度について、制度の周知を徹底するとともに、地域のブランド戦略に応じた商標制度との選択・組合せなどの活用方法の紹介により、制度の活用を促進する。
・・・・・・。・・・・・・。
 さらに、海外市場においては、地理的表示マークを活用して、日本の真正な特産品であることを認識してもらうとともに、地理的表示保護制度を導入している国との間で適切な保護に向けた枠組みづくりを進めることにより輸出促進に向けた環境整備を実施する。


(2)伝統野菜等地域食材を活用した日本食・食文化の普及
 (略)


(3)景観、伝統文化等の地域資源の活用
 (略)


(4)家畜の遺伝資源の保護対策及び育種改良の促進
 ・・・・・・。・・・・・。
 ・・・・・・。また「和牛」の表示については、国産同様、輸入牛、肉についても、消費者にわかりやすい表示が行われるよう、食肉販売事業者等による、ガイドライン等を踏まえた自主的な取組を促す。さらに、海外においては、外国産和牛に対抗するため、和牛統一マークを活用し、日本産和牛のブランド化を推進する。


5 ICTによる農林水産業の知の抽出と財産化、及びその活用による新事業の創出
(1)農林水産分野におけるICT活用の拡大及び促進

 ・・・・・・。
 熟練農家の経験に基づく技術やノウハウ(匠の技)については、ICTによるデータ化・集積化、解析を行い、その成果を農業者にフィードバックするとともに、新規就農者等への技術・ノウハウの円滑な継承のための手法として、その活用を推進する。
 ・・・・(略)・・。


(2)農業生産に係るデータの流出等への予防的対応の推進
 農林水産分野におけるICT活用の拡大及び促進を図る一方で、現在、農業生産に係るデータの知的財産上の取扱いについて適切なルールが設定されておらず、農業分野におけるICTの普及に支障が生じる懸念があるため、ICTの導入によって得られたデータについては、適切な保護のあり方を検討する必要がある。・・・・・。
 ・・・。農業分野へのICTの導入によって生じたデータの知的財産上の取扱いに関するガイドラインを策定し、その普及啓発を推進する。


6 種苗産業の競争力の強化

 植物新品種については、品種登録審査の国際調和と着実な推進を行い、権利の保護を強化して、権利者の正当な利益を守ることにより、新品種の開発の促進と国内農業・種苗産業の発展に資するものである。
 特に、農産物や種苗について東アジア等の海外への輸出や直接投資を促進するに当たっては、相手国の品種保護制度のレベルアップや審査協力を推進することが重要であり、こうした取組を強化する必要がある。
 また、種苗法において、原則として育成者権の効力が及ばないとされる農業者による種苗の自家増殖について、植物の種類ごとに生産現場や種苗業界の実態を調査した上で、自家増殖に育成者権の効力が及ぶ植物範囲の拡大について検討する。
 さらに、近年、例えば病害虫抵抗性や機能性等の特性を備えた植物新品種について、その作出方法を含め特許で権利化する等の動きがあることを踏まえ、種苗産業の競争力強化に係る検討を加速する。


(1)植物新品種の保護強化
 ① 品種登録審査の国際調和と着実な推進

  ・・・・。・・・・・・・。
 また、①近年増加傾向にある新規植物、我が国農林水産物の国際競争力の強化やブランド化に資する新しい特性(高温耐性、日持ち性等)等に対応する審査基準の作成、②・・・を着実に推進する。


 ② 権利侵害対策の強化
  ア 権利侵害対策支援業務の充実強化

 (略)


  イ DNA品種識別技術等の開発
 (略)


  ウ 水際取締制度の活用促進
 (略)


  ③ 東アジア植物品種保護フォーラムの積極的な推進
 (略)


④ 品種保護制度運用の国際標準化の推進
 (略)


(2) 種苗の安定供給体制の確立及び海外の遺伝資源の確保

  ① 種苗の安定供給体制の確立
 優良な種苗について、知的財産の保護を適切に図りつつ、それぞれの作物の状況に応じて安定供給を図ることが重要である。
 品種開発の場面においては、画期的な品種や、海外の市場も視野に据えた強みのある品種が求められていることから、ゲノム情報の解読、DNAマーカー選抜育種技術やゲノム編集技術、オミクス解析技術等を組み合わせた新たな育種技術の開発を推進する。
 我が国の野菜等の種苗生産は、個々の事業規模は小さく多様な主体が共存する種苗企業が担っており、国内での隔離ほ場の確保が難しいことや種苗生産者の高齢化等により体制が弱体化している。このため、遺伝資源の確保の困難化や育種競争の激化、事業のグローバル化など共通の問題の解決を可能とする総合的な取組体制の構築に向けて、新品種の育種力や高品質種苗の生産基盤を強化する等の必要な環境整備を推進する。特に、ビジネスのバリューチェーンの全てを囲い込もうとする海外バイオメジャーの技術動向を注視し、それへの対抗策を検討する。
 ・・・・・・。・・。


  ② 海外の遺伝資源の確保

7 研究開発における戦略的な知的財産マネジメントの推進
 今後の研究開発の推進に当たっては「農林水産業の現場等で活用されて、こその研究成果」であるとの基本的な考え方の下、研究成果を誰に活用してもらうのが適当か、活用する側にどのような形で知的財産を渡すのが適当かなど、商品化・事業化に有効な知的財産戦略を研究開発の企画・立案段階から描き、研究開発を効果的・効率的に推進する。
 また、研究成果の活用に当たっては、発明時における権利化・秘匿化・公知化や、権利化後の特許等の開放あるいは独占的な実施許諾等の多様な選択肢を視野に入れ、事業の成功を通じた社会還元を加速化する観点から最も適切な方法が採用されるよう、各研究機関における知的財産マネジメントの見直しを指導・支援する。
 ・・・・(略)・・。


8 知的財産戦略に関する啓発及び人材の育成
(1) 農林水産分野の知的財産の保護及び活用に関する啓発の推進
 (略)


(2) 人材の育成
 (略)


第Ⅴ 戦略の推進方策
 (略)

以上

2015年2月20日 (金)

【品種登録】 種苗法(育成者権関連)の判例のリスト

 前回の記事で、種苗法(特に育成者権関連)の判例が、非常に少ないと書きましたが、裁判所のHP(http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/search7)で現在見ることが出来る、種苗法(商標法との関連のものを除く)の関連の判例をまとめてみました。

                                                                                                                                             
   

裁判所

判決言渡日

(事件番号)    

   

事件の概要

   
   

関係する登録品種

   
   

判決主文

   
   

ポイントなど

   
   

リンク

   
 

8 

 
 

東京地裁 
平成261128日判決
(平成21()47799等)

 
 

原告による「なめこ」の登録品種に係る育成者権に基づいて、被告によるなめこの製造販売等の差止、損害賠償請求を、原告が求めていた事案  

 
 

品種登録番号

  第9637号
登録年月日

  平成13年11月22日
農林水産植物の種類

  なめこ
登録品種の名称

 KX-N006号 

 
 

原告の請求をいずれも棄却する

 
 

現物主義と特性表主義

 ・権利濫用の抗弁

 ・後発的取消事由

 
 

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本ブログでの解説★

 
 

7 

 
 

東京地裁 
平成21227日判決
(平成20()23647

 
 

原告による「まいたけ」の品種登録に係る育成者権に基づいて、被告によるまいたけの購入、自家増殖等の行為の差止、損害賠償請求を、原告が求めた事案  

 
 

品種登録の番号

  第11229号
登録年月日

  平成15年3月17日
農林水産植物の種類

  まいたけ
登録品種の名称

  BO-101

 
 

原告の請求認容、

被告らは,「重要な形質欄」記載の形質について「重要な形質に係る特性欄」記載の特性を有するまいたけ種の種苗を生産し,調整し,譲渡の申出をし,譲渡し,又はこれらの行為をする目的をもって保管してはならない  

 
・自家増殖の特例(種苗法21条2項)の主体的要件  

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6 

 
 

東京地裁 
平成20829日判決
(平成18()19802

 
 

原告による「しいたけ」の品種登録に係る育成者権に基づいて、被告によるしいたけの製造販売等の差止、損害賠償請求を、原告が求めた事案  

 
 

(A) 品種登録番号

  第7219号
登録年月日

  平成11年4月15日
農林水産植物の種類

  しいたけ
登録品種の名称

  JMS5K-16
(B) 品種登録番号

  第7166号
登録品種の名称

 MM-2号(他、省略)

 
 

原告の請求認容、

被告は,種苗を生産し,調整し,譲渡の申出をし,譲渡し,又はこれらの行為をする目的をもって保管してはならない

 
・種苗法上の過失推定規定(35条)の適用  

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5 

 
 

知財高裁 
平成181225日判決
(平成17(行コ)10001

 
 

・3の事件の控訴審、


・予備的請求として、本件処分の取消請求を追加

 
 

品種登録の番号

  第11308号
登録年月日

  平成15年3月26日
農林水産植物の種類

  りんどう
登録品種の名称

  芸北の晩秋

 
 

控訴棄却

追加した予備的請求に係る訴えを却下

 
 

・現物主義、特性表の考え方

 ・種苗法3条1項1号にいう「公然知られた他の品種」の解釈  

 

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4 

 
 

知財高裁 
平成181221日判決
(平成18()10059

 
 

・原審(長野地裁 平成14年(ワ)第358号)の事件の控訴審、


・原審では、原告(控訴人)の品種登録に係る育成者権に基づいて、被告(被控訴人)によるきのこの製造販売等の差止、損害賠償請求を、原告が求めていたところ、請求は棄却されていた  

 
 

品種登録番号

  第10615号
登録年月日

  平成21年9月4日
農林水産植物の種類

  エリンギ
登録品種名称

  ホクト2号

(データベースでは現在、ホクトPLE-2号)

 
 

控訴棄却

 

 ・種苗法3条1項1号にいう「他の品種」、「公然知られた他の品種」の解釈
・未譲渡要件と区別性

権利濫用の抗弁

 

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3 

 
 

東京地裁 
平成1775日判決
(平成16(行ウ)278

 
 

被告による「りんどう」の品種登録「「芸北の晩秋」には重大かつ明白な瑕疵が存在すると主張して,りんどうの品種改良,生産,販売等を行っている原告らが,処分の無効確認を求めた事案  

 
 

品種登録の番号

  第11308号
登録年月日

  平成15年3月26日
農林水産植物の種類

  りんどう
登録品種の名称

  芸北の晩秋

 
 

原告らの請求を棄却

 

・無効確認における原告適格
・当然無効
・権利範囲と特性表
・出願段階の特性表との記載の齟齬は、3条1項の充足性に影響しない

 

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2 

 
 

東京高裁 
平成9227日判決
(平成8()873

 
 

1の事件の控訴審

 
 

品種登録番号

  第1789号
登録年月日

  昭和63年11月5日
農林水産植物の種類

  えのきたけ
登録品種の名称

  ホクトM-50

 
 

控訴棄却

 
 

 
 

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1 

 
 

長野地裁 
平成8125日判決
(平成3()185

 
 

「えのきたけ」の品種登録をうけている原告が、被告の種菌の生産等の行為は、種苗法(旧)の規定に批判するとして差止請求、損害賠償請求等を求めた事案  

 
 

品種登録番号

  第1789号
登録年月日

  昭和63年11月5日
農林水産植物の種類

  えのきたけ
登録品種の名称

  ホクトM-50

 
 

原告の請求を棄却

 (登録品種と被疑品種との同一性を認めず、侵害でない)

 
 

・区別性の判断では、農水省告示で定めた「種苗法の規定に基づく重要な形質」に列記された要素について比較検討されるべき、

 ・現物主義の考え方に基づき、同一性を判断している  
 

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 以上

2015年2月19日 (木)

【品種登録】 育成者権侵害に関する判例(東京地裁 平成26年11月28日判決)

 種苗法(特に育成者権侵害に関するもの)判決は、非常にめずらしく、久しぶりに出されたものです。今回の判決はいろいろ、これまでにない内容があり、非常に興味深いのでここで取り上げ、まとめておきたいと思います。


――――――
【平成26年11月28日判決(東京地裁 平成21年(ワ)第47799号、平成25年(ワ)第21905号 -育成者権侵害差止等請求事件)】 ~ 「なめこ」事件
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/686/084686_hanrei.pdf


【ポイント】

(1) 育成者権侵害の判断をする上での従来からの重大な論点である「現物主義」*1を採用する上での問題点が、明確になったという意味で、非常に興味深い判決である。

(2) 育成者権の権利範囲*2を理解する上でも実務的に非常に参考になる見解が示されている。

(3) 権利濫用の抗弁を認め*3、取消事由を有する品種登録に基づく権利行使を認めなかった。

(4) 後発的に取消事由が生じ*4、それに基づき権利濫用の抗弁を認めた。


*1 現物主義」とは、育成者権侵害の判断については、原則として、登録品種と侵害が疑われる品種が同一品種であるか否かを判断するには、常に植物自体を比較する必要があるという立場をいう(農林水産省がとっている立場(農水省説ともいう))。
 なお、これに対立する立場として、「特性表主義」(品種登録簿の特性表に記載された特性をもって、特許権における特許請求の範囲のごとく考える立場)がある。


*2 種苗法には、特許法70条のように権利範囲を解釈するにあたって参照される規定は存在しない。このため、育成者権の権利範囲を画するものについて、上記のような「現物主義」、「特性表主義」といった学説的考え方はあるが、見解が分かれており、確立されていない。
 なお、「育成者権の効力」について、種苗法20条1項では、
 『育成者権者は、品種登録を受けている品種(以下「登録品種」という)及び当該登録品種と特性により明確に区別されない品種を業として利用する権利を専有する。』とされている。


*3 
いわゆる、特許法におけるキルビー特許の最高裁判決事件(最判H12.4.11判決)示されたものと同じ立場である。(キルビー事件当時の特許法と同様に)現状の「種苗法」には、特許法104条の3に相当する規定は未だに、設けられていない。

*4 判決文の記載によれば、「なめこ」の栽培は難しく、「脱二核化」現象が発生することがあり、これにより特性が変質して、当初の栽培特性を維持できなくなることが起こり易いようである(本事案では、維持されてきた種菌が、品種登録簿の特性表に記載された特性を維持できなくなっていたらしい)。


【事案の概要】

 「なめこ」の登録品種(下記)について育成者権を有する原告が、被告組合A及び被告会社B(以下両者を併せて単に「被告ら」という)は、原告の許諾の範囲を超えて又は原告の許諾なく、本件登録品種又はこれと重要な形質に係る特性により明確に区別されない「なめこ」の種苗の生産等をすることにより、本件育成者権を侵害してきたものであり、今後もそのおそれがある旨主張して、種苗の生産等の差止め、種苗の廃棄、信用回復の措置としての謝罪広告、並びに不法行為(育成者権の侵害)に基づく損害賠償金等の支払を求めた事案。

   品種登録の番号    第9637号
   登録年月日      平成13年11月22日
   出願年月日      平成9年12月24日
   農林水産植物の種類  なめこ
   登録品種の名称    KX-N006号 (出願時の名称は「東北N006号」)
   品種登録データベースのリンク: http://www.hinsyu.maff.go.jp/vips/CMM/apCMM110.aspx?MOSS=1
      (このページで、登録番号の欄に、上記番号を入れ検索すると、登録情報を見ることができます)。


Nameko9637

 (写真出典: 品種登録データベースより)


Tourokuhinshu_database_registration

 (登録品種の植物体の特性の概要等/出典: 品種登録データベースより)



【判旨】

<主文>

 原告の請求をいずれも棄却する。

<裁判所の判断>
1. 争点1(本件育成者権侵害の有無)について
(1) 育成者権侵害の有無に関する判断基準について

『・・・・。
 ところで,種苗法においては,育成者権の及ぶ範囲について,「品種登録を受けている品種(以下「登録品種」という。)及び当該登録品種と特性により明確に区別されない品種」を「業として利用する権利を専有する。」と定める(同法20条1項本文)のみで,育成者権の権利範囲の解釈について特許法70条のような規定は置かれていない

 しかし,・・・・,これらの種苗法に掲げられた諸規定を総合して解釈すれば,新たな品種として登録を認められた植物体とは,特性(重要な形質に係る特性)において,他の品種と明確に区別され,特性(重要な形質に係る特性)において均一であり,特性(重要な形質に係る特性)において変化しないことという要件を満たした植物体であって,その特性(重要な形質に係る特性)は品種登録簿により公示されることになっているのであるから,品種登録簿の特性表に掲げられた重要な形質に係る特性は,当該植物体において他の品種との異同を識別するための指標であり,これらの点において他の品種と明確に区別され,安定性を有するものでなければならないものというべきである

 そして,上記の点は,・・・現物主義(・・。)の下でも,妥当するといわなければならない。すなわち,育成者権の侵害を認めるためには,少なくとも,登録品種と侵害が疑われる品種の現物を比較した結果に基づいて,後者が,前者と,前者の特性(特性表記載の重要な形質に係る特性)により明確に区別されない品種と認められることが必要であるというべきである(なお,「明確に区別される」かどうかについては,特性表に記載された数値又は区分において,その一部でも異なれば直ちに肯定されるものではなく,相違している項目,相違の程度,植物体の種類,性質等をも勘案し,総合して判断すべきである。仮に,品種登録簿の特性表に記載された特性をもって,特許権における特許請求の範囲のごとく考える立場〔以下「特性表主義」という。〕によるとすれば,侵害が疑われる品種について,(登録品種の現物ではなく)登録品種の品種登録簿の特性表記載の特性と比較して,登録品種と明確に区別されない品種と認められるか否かを検討すれば足りることになるが,その場合においても,「明確に区別される」かどうかを総合的に判断すべきことは同様である。)。』
  (判決文中、・・は管理人による省略を意味する)

 →(コメント)
 すなわち、育成者権の侵害を認めるためには,少なくとも,登録品種と侵害が疑われる品種の現物を比較した結果に基づいて、登録品種と、侵害が疑われる品種が、登録品種の「品種登録簿の特性表に掲げられた重要な形質に係る特性」により、明確に区別されない品種と認められることが必要であるとした。
 つまり、
育成者権侵害の判断に際しては、「現物主義」か、「特性表主義」かのいずれか一方の立場をとるのではなく、現物主義による現物の比較の必要性を認めつつも、そこで比較する際には、「品種登録簿の特性表に掲げられた重要な形質に係る特性」に立脚した観点で判断するべきと考えているようである。言い換えると、権利範囲の予見性や公示性の観点からの「特性表主義」と、保護対象が品種という変動しやすい生き物であることに配慮した「現物主義」とを上手く組み合わせて、判断すべきとの考えのようである。

 → 管理人の個人的な感想としては、「現物主義」の利点と問題点、「特性表主義」の利点と問題点を考慮して、双方の良いところを組み合わせて侵害判定をすべきという理念のようなものは理解できるが、結局のところ、それらを上手く折り合いをつけるのが実務的、現実的には難しいのであって、そこのところの肝心の具体的手法についてまでは、まだ明確にはなっていないので、少々、物足りなく感じます。

 
 

(2) 鑑定嘱託の結果について

『・・・・・。
 鑑定嘱託の結果に基づいて,G株(被告会社の販売に係る被告製品から抽出した種菌の栽培株)に係る品種がK1株(本件登録品種の種菌として種苗センターに寄託されたものの栽培株)に係る品種と「特性により明確に区別されない」と認めることはできないし,G株に係る品種がK2株(原告が本件登録品種の種菌として保有していたと主張するものの栽培株)に係る品種と「特性により明確に区別されない」と認めることもできない。
なお,鑑定嘱託の結果に基づいて,K2株に係る品種が本件登録品種であると認めることができないことは,いうまでもない。
 ・・・・。
 このように,本件鑑定書に記載されたG株の特性と,本件登録品種の特性表記載の特性には,異なっているように見受けられる項目が複数存在していることから,仮に特性表主義の立場に立った場合であっても,G株の特性が本件登録品種の特性表記載の特性と「特性により明確に区別されない」ことが立証されているとはいえない
 ・・・・。
 以上によれば,被告らが本件登録品種又はこれと重要な形質に係る特性により明確に区別されないなめこの種苗の生産等を行ったとか,その収穫物を販売したと認めることは,困難であるというべきであり,ほかに被告らが本件育成者権を侵害する行為をした,あるいは,していると認めるに足りる証拠はない。』

  → (コメント)
原告は、育成者権侵害の立証のために、
  K1株(本件登録品種の種菌として種苗センターに寄託されていたもの)、
  K2株(原告保有のものであって、原告が本件登録品種の種菌と主張するもの)、
  G株(イ号製品、すなわち、被告の製品から抽出したもの)
との比較栽培による鑑定を、第三者機関に依頼して行っている。

 結果は、原告の望んだ形でなく、不明確で侵害を立証するには足らないものであった。

 ここに「現物主義」の立場をとるときに一番の問題点が現れているように思われる。
 すなわち、侵害判定するいために、イ号製品と登録品種とを実際に比較栽培する場合、品種登録簿の特性表の特性をもつ本件登録品種の種苗(特性表主義でいうところの想定される権利範囲(特性)をもつもの)と、原告が試験用に提出した「登録品種の現物」と主張する種苗との関係がきちんと立証できるのか、また、実際、そもそも原告は、品種登録簿の特性表の特性を有する現実の品種(種苗)を、侵害の判断の段階で用意できるのか、ということである。


 
 本事案では、原告は、出願審査の際の栽培試験も担当している「種苗管理センター」に寄託してあったK1株と、自分自身が保持する登録品種の主張と考えるもの(K2株)とを提供して試験を行っており、その意味では、原告は最大限の努力をしているように思える(実際、育成者権侵害の原告サイドに立った場合の立証法としては参考になる)。
 しかし、結果的には、K1株と、登録原簿の特性表との関係を立証はできておらず、またそもそも両株とも、「特性」を保持していないとの事実上の結果になってしまっている。

 育成者権侵害の立証の難しい部分(一部だが)について、鮮明となったとも言えると思う。

 


2. 争点2(本件各請求は信義則違反又は権利濫用として許されないか)について
 『・・・・・・。
 種苗法において特許法104条の3が準用されていないのは,特許法のように独自の無効審判制度を設けていないことによるものと考えられ,種苗法においても,品種登録が上記・・・の規定に違反してされたものであり,農林水産大臣により取り消されるべきものであることが明らかな場合(・・・・)にまで,そのような品種登録による育成者権に基づく差止め又は損害賠償等の請求が許されるとすることが相当でないことは,特許法等の場合と実質的に異なるところはないというべきである。・・・・。したがって,品種登録が取り消される前であっても,当該品種登録が上記・・・の規定に違反してされたものであって,取り消されるべきものであることが明らかな場合には,その育成者権に基づく差止め又は損害賠償等の権利行使は,権利の濫用に当たり許されないと解するのが相当である(最高裁平成12年4月11日第三小法廷判決・・・)。

 ところで,品種登録がされた後において,登録品種が種苗法3条1項2号又は3号に掲げる要件を備えなくなったことが判明したときも,品種登録の取消しの効果自体は遡及しない(同法49条4項柱書本文)ものの,農林水産大臣が品種登録を取り消さなければならず(同条1項2号),その点に裁量の余地はないことは,同様であると解される。そうすると,このような後発的取消事由が発生したことが明らかな品種登録について,その事由の発生後,未だ農林水産大臣によって品種登録が取り消されていないという一事をもって,その育成者権に基づいて,当該品種の利用行為を差し止め,又は損害賠償等を請求することを容認することは,実質的に見て,育成者権者に不当な利益を与え,当該品種を利用する者に不当な不利益を与えるものであって,衡平の理念に反するとともに,訴訟経済にも反するというべきである。したがって,品種登録が取り消される前であっても,当該登録品種が同法3条1項2号又は3号に掲げる要件を備えなくなったことが明らかな場合には,そのことが明らかとなった後は,その育成者権に基づく差止め又は損害賠償請求等の権利行使は,権利の濫用に当たり許されないと解するのが相当である。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
 したがって,原告が,取消事由が存在することが明らかな本件品種登録に係る本件育成者権に基づき,被告らに対し,差止請求及び廃棄請求をすることは,権利濫用に当たり,許されないというべきである。また,原告の被告らに対する損害賠償請求のうち,取消事由が発生したことが明らかとなった時点以降の被告らの行為を理由とする部分についても,権利濫用に当たり,許されないというべきである。
 ・・・・。』

  →(コメント)
  後発的取消事由に基づく場合であっても、権利濫用の抗弁を認めている。
  ここで、育成者権の別の問題点の一つが現れてきている。すなわち、長い存続期間の間、登録品種として実際に維持をつづけてきたものが、ずっと、登録時における特性を本当に維持しつづけることができるのか、変質して特性が変わる場合もあるのでは、という点である。
 本事案では、登録時の特性を保持した、本来の登録品種は既に存在しなくなってしまっている。(結局これは、後発的取消事由に結びつくに至っている)。

以上

2015年1月21日 (水)

農林水産省 知的財産戦略検討会(第1回) (傍聴メモ)

別の用事があったこともあり、良い機会なので傍聴の申込みをして、「農林水産省知的財産戦略検討会」(第1回)を傍聴してきました。場所は、農林水産省(霞ヶ関の本省)内でした。

20150121maffentrance01

[農林水産省知的財産戦略検討会(第1回):http://www.maff.go.jp/j/press/shokusan/sosyutu/150114.html ]

<2015年1月25日追記>
農林水産省知的財産戦略検討会(平成27年1月設置)(配付資料)

http://www.maff.go.jp/j/shokusan/tizai/other/senryaku.html


[I] 「農林水産省知的財産戦略検討会」とは

「農林水産省知的財産戦略検討会」とは、農林水産省の今年、平成27年(2015年)以降の今後5年間の知的座産戦略を策定する検討です。

これまでも農林水産省の知的財産戦略(新たな農林水産省知的財産戦略、平成22年3月策定)がありましたが、5年の期限のあるものであり、前回の策定が平成22年であったことから、ちょうど今年が5年目ということで、新しい知的財産戦略が策定されることになりました。

今回が第1回で、あと3回ほど開催して、次の5年間用の農林水産省の新しい知的財産戦略を策定する予定のようです(4月頃には、次の「農林水産省知財戦略」が確定されそう)。

農業や食品の関連は、現在の国家戦略(日本再興戦略)の重要課題の一つにもなっており、それなりに力の入ったものとなる可能性のあること、また、自分自身の業務への影響が大きく、自分自身の興味の観点からも、農林水産省の新しい知的財産戦略の情報を早めに入手し、またその策定の背景を知っておくことは有益と考え、傍聴してきた次第です。

農水省が選任した検討会のメンバーは、学者、食品や種苗産業の企業の知財関係者、消費者団体の代表、食品流通関係の方、農業生産法人の代表、マスコミ関係者、JETROの方、役所の関係部門の方々などです(上記URLのページに名簿があります)。少し残念なことに、弁理士会や、弁理士・弁護士などはメンバーには入っていません。(因みに、特許庁(商標課)の方は、地域団体商標の話もあって、メンバーとなっています)。

なお、検討会の配布資料や議事録は後日、農林水産省のHP上で公開される予定とのことです。


[II] 策定にあたって抽出されたポイント

 以下、配付資料や検討会議論をベースに記載しますが、正確でない部分もあると思いますのでご了承ください。

 (1)食料産業のグローバル展開に資する知的財産の保護・活用

 →グローバル展開の推進には、官民連携による進出先における知財の的確な保護が不可欠
 →海外における模倣品の調査/対策強化の働きかけ、
 →我が国食品企業の海外から知財によるロイヤリティ収入増加(2013年、159億円)→ロイヤリティ収入の確保のための知的財産権の侵害対策


 (2)食料産業における国際基準への戦略的対応

 →農林水産物・食品の輸出拡大には、国際基準への適合による信頼確保が重要
 →現状は、我が国の農林水産物・食品は、国際基準(規格)(HACCPなど)に適合できているとは言い難い
 →安全性・品質を裏打ちする既存の各種国際規格の普及を図る
 →国際的に通用する新たな国際標準規格の策定に向けた戦略的取り組みを進める


 (3)地理的表示(GI)保護制度の活用の推進

 →地理的表示法、平成26年6月成立、平成27年6月までの施行に向け準備
 →地理的表示保護制度の周知活動、PR、普及啓発
 →地理的表示保護制度の導入のメリット(整理)
 →新たな地域ブランド戦略づくりに向けた機運の醸成
         
    i) 地理的表示保護制度、
    ii) 地域団体商標制度
    iii)  食品の機能性表示制度(新制度)(農林水産物など生鮮品も対象に含む)
     の3点セットをどう組み合わせて活用するか。


  (※赤字は、管理人の傍聴メモ・コメント、以下同じ)


 (4)知的財産の総合的な活用の推進


 →育成者権、商標権等の知的財産のそれぞれの特徴を活かした組み合わせによる活用、ビジネスモデルの明確化、それを支える知財マネジメントの展開推進
 →「戦略的知的財産活用マニュアル」(平成26年4月)の普及
 →オープンとクローズの使い分け・組み合わせ(どこまで開示するか、どこまで秘匿するかを事前にしっかりデザイン など)
 →事例(水稲「みつひかり」、小麦「ラー麦」、キウイフルーツ「ゼスプリ」、伝統野菜の活用事例など)


 (5)親品種・新技術の開発・保護・普及

 →新たな品種や生産技術を用いて、消費者や実需者のニーズに的確に対応する
 →知財を戦略的に活用し、品質・ブランド力など強みのある農畜産物を各地に生み出す
  (→品種開発段階から、実需者、産地、研究機関、行政などとの連携を強化して、「強み」のある親品種や技術を開発する)


 (6)種苗産業の共通課題の解消索の総合的な推進

 →種苗産業の振興には、産官学連携による総合的な体制構築と、育成された新品種の育成者権の的確な保護が不可欠
 →オランダの取り組みをモデルとした体制
 →海外での育成者権保護の強化に向けた取り組み(東アジア植物品種保護フォーラムなど)
         
 (・前記(5)、(6)にあるような新品種の保護の関連は今回の検討会の討論ではあまり議論に挙がらなかった。)


 (7) ICTの活用による農業分野の知的財産のデータか及びその活用推進

 →篤農家の匠の技をICTによりデータ化し、収益向上や周辺産業への活性化等へ活用
 →ノウハウ、データの海外への流出の懸念
 →ICT(データ等の意図しない利用)により、安易な大量生産、コモディティ化が進む懸念――― 戦略的に推進することが必要
         
    ・農業ノウハウ、データ(ICTによりデータ化したもの)→ 「非権利化知財」
    ・農業/食料産業は、「情報・知識産業」であると認識すべき

                                     以上