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二重保護

2014年7月 7日 (月)

『キュウリ』と特許と品種登録

 趣味の一つとして、野菜などを小さな家庭菜園みたいなところで育てています。今年は、ちょっとがんばって、キュウリ、トマト、なす、トウモロコシ、さつまいも、長ネギ、ピーマンなどいろいろ栽培しています。

 キュウリやトマト、なすなどは、4月末~5月初め頃に、園芸店にいって接ぎ木苗を買ってきて育てていますが、このとき、各野菜について、できるだけ複数の品種を購入するようにしています。

 キュウリについては、ここ数年、毎年購入しているお気に入りの品種があります。「フリーダム」という品種です。

 実は、この『キュウリ』の品種は、特許(特許法)と品種登録(種苗法)の双方で、同じ対象(品種)について保護を求めた(求めようとした)事例の一つなのです。今回は、それをご紹介します。

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         購入直後の苗の写真  (2014.4.27撮影)

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 キュウリ品種「フリーダム」は品種登録されており、登録情報は下記のようになっています。

【品種登録】  第8286号
   【農林水産植物の種類】  Cucumis sativus L. (キュウリ)
   【品種名称】  フリーダム
   【育成者権者名】株式会社サカタのタネ
   【登録年月日】2000/09/05


 因みに販売されている苗についている表示の裏側には以下のように登録品種番号が記載されています。

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 苗の表示裏面



 一方で、以下のような特許の出願公開公報があり、実の表面のイボが少ないキュウリの品種と、その育種方法に関する発明について、特許出願がされています。

【公開番号】  特開平11-9125
   【出願日】  平成9年(1997)6月23日
   【出願人】  株式会社サカタのタネ
   【発明の名称】  新規きゅうり及びその育種法
  【特許請求の範囲】
    【請求項1】
    以下の特性を有するきゅうり。
   (1)果皮のいぼの基部の直径が0.8mm以下である
   (2)果皮のいぼの数が、果実1個当たり100個以下である
   (3)雌花の開花日から、その雌花が付いている幼果の開花19日後までの果長の平均伸長速度が8.5mm/日以下である
    【請求項2】 
     以下の工程を含むことを特徴とするきゅうりの育種法。
   (1)二組のベイト・アルファ型のきゅうりと日本産白いぼきゅうりとを交配し、F1雑種を得る。
   (2)工程(1)で得られた二組のF1雑種のそれぞれについて自殖を行い、得られた個体の中から以下の特性をすべて備えた個体を選抜し、得られた個体の形質が固定されるまで、この自殖と選抜を繰り返す。
      ・ 果皮のいぼが小さく、数が少ない。
      ・ 果実の外観及び形状がベイト・アルファ型のきゅうりに近似している。
      ・ 草姿、果肉及び食味が日本産白いぼきゅうりに近似している。
   (3)工程(2)で固定された二組のきゅうり系統同士を交配してF1 雑種を得る。



 なお、特許公開公報の実施例の欄の記載から、この出願に係る発明のきゅうりの品種が「フリーダム」と判断できます。


 この特許出願については、残念ながら既に拒絶査定が確定しており、同じ対象(品種)について、種苗法による保護のみとなって、特許法による保護はなされていませんが、同じ対象(品種)について特許法と種苗法の異なる法体系による保護を求めようとした興味深い事例です。

 (なお、実際に、特許法と種苗法の両方による保護(二重保護)が実際に成されている事例も、多く存在しますので、後日具体例をご紹介いたします。)


 ところでこのキュウリ品種ですが、家庭菜園用に開発された品種らしく、育てるのも易しいという特徴があります。

 また、キュウリの実は、請求項の記載にもあるとおり、表面がつるっとしていてイボがほとんどなく、まっすぐで太いものが得られます。食べてみるとしゃきしゃきしていて水分も多くとてもおいしいです(下の写真は、フリーダムの実(写真中の上)と、それとは反対にイボが沢山できる品種(写真中の下)を並べた写真です(後者のタイプのキュウリも別のおいしさがあって、品種毎にいろいろ違いがあっておもしろいです))。


Cur02


  収穫したキュウリの写真(上が品種「フリーダム」、下は品種「味さんご」) (2014.7撮影)

 <おまけ>
 下の写真のキュウリは、キュウリの実がまだ小さい段階で型(市販)をつけて作った星形断面のキュウリです(他にもハート型も作りました)。四角いメロンやスイカといったものをご存じかもしれません。因みにこれは、子どものお弁当用です。

Curstar

                                           以上

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2014年3月11日 (火)

ブログ開設のごあいさつ

 このブログは、植物の育種技術、品種保護や農産物の問題に興味のある、化学バイオ系の弁理士が開設しました。

 これまでに、機会にめぐまれ(?)、品種登録の出願を国内と外国向けで数十件以上経験することができ、様々な実務上の経験や知見が得られた一方で、いろいろ考えさせられることがありました。そのためもあって、植物品種の保護の有利不利の問題や特許との制度上の異同、両制度の活用、農産物の輸出、遺伝資源へのアクセスの問題、遺伝子組換え植物に関連する規制・事情などの話題に興味をもち、自分なりに調べたり考えたり、また外部の委員会などの参加して勉強したりしてきました。

 このブログでは、ブログタイトルにあるように「植物品種の保護*と特許」に関して、これまでにわかったり気がついたりしたことについて、現状に限らず、少し前の情報も含めて(もちろん、最新情報も含めて)、整理していきたいと思います。 (研修や展示会等への参加報告などもしたいと思います)。
[* 植物品種保護=Plant Variety Protection(略して、PVPとよく言います)。当サイトのドメイン patent-pvpは特許と植物品種保護、という意味からきています。]

 ブログの目的は、第一には(申し訳ありませんが)、自分の手持ち情報と考えの整理のためです(つまり備忘録と自分の頭の整理という、要するに自分用です)。だだ、それに限らず、ご覧になった方に少しでも参考となり、お役に立つことができればうれしいですし、また同じような関心を持っていただける方が一人でも増えればと思っておりますので、そういった視点も意識して書いていきたいと思います。

 ブログの内容は、テーマを明確にしたいという気持ちから、できるだけブログタイトル(サブタイトル含む)にある内容の範囲に絞りたいと思います(ただし少し疲れたりしたときには、雑談的な話も入るかもしれません)。

 それでは、どうぞよろしくお願いいたします。

以上

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[ブログ開設日は、いろいろなことを再考するきっかけとなったこの日(3.11)と同じ日としました。]

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