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遺伝子組換え/遺伝資源

2015年1月24日 (土)

「地理的表示法」と「遺伝資源に関する最新状況」についての農林水産省による講演会に行ってきました

農林水産省系の外郭団体が事務局をしている「植物品種保護戦略フォーラム」の会員となっていますが、そこ主催の講演会がありました。

講演内容は、「地理的表示法について」と「遺伝資源に関する最新状況」で、前者は農林水産省の新事業創出課の法令担当官の方、後者は同じく農林水産省の大臣官房の地球環境対策室の室長の方の講演でした。

備忘メモとして講演内容の抜粋を以下に記載します(内容的に気になった点については別の記事にまとめたいと思います)。


1.「地理的表示法について」

 昨年秋に各地で開催された「地理的表示法」(特定農林水産物等の名称の保護に関する法律)の説明会で使用された資料を、少しアップデートした資料に基づいての講演で、内容は、地理的表示法の説明と、最新状況(進捗状況)の紹介でした。
 進捗状況としては、昨年秋の説明会では、今年の1月~2月にかけて政省令等の案についてのパブリックコメントを求める予定でしたが、パブリックコメントの求めは、2月上旬の予定で少し送れているとのことでした。
 またパブリックコメントの際には、政省令(案)に加えて、審査基準もしくは手引きのようなものもあわせて公表し、パブリックコメントを求める予定とのことでした。
 「審査基準もしくは手引きのようなもの」の案が示されるということについては、どのような内容が示されるか注目したいところです。


2.「遺伝資源に関する最新状況

 主な内容は以下の通りでした。

 ・遺伝資源アクセスと利益配分(ABS)、生物多様性条約(CBD)、CBD名古屋議定書、食料・農業植物遺伝資源条約(ITPGR)のこれまでの経緯と関係の整理、
 ・ITPGRにおける「多数国間の制度」(MLS)
 ・名古屋議定書とITPGRの関係
 ・名古屋議定書への各国対応状況(例:EUにおける動向)
 ・EU「名古屋議定書を担保するためのEU規則」の無効を求めた種苗業者によるオランダ・ドイツでの訴訟(2014年7月提訴)について
 ・名古屋議定書の日本国内で検討状況
 ・ITPGRのMLSの使い勝手を改善するための締約国会合での検討状況
 ・平成27年度の遺伝資源関係予算の概要

以上

2014年10月31日 (金)

名古屋議定書の第1回締約国会合(COP-MOP1)の結果公表

先日、正式に発効された名古屋議定書に関連する備忘メモです。

10月6日~17日にわたって韓国ピョンチャンで開催された、生物多様性条約第12回締約国会議(COP12)と、それに併せて開催された、名古屋議定書第1回締約国会合(COP-MOP1)の結果が、環境省のHPで公表されています。なお日本は未締結であることから、オブザーバー参加だったようです。
  http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=18740
 (外務省HP)
  http://www.mofa.go.jp/mofaj/ic/ge/page22_001623.html

発効した名古屋議定書が効果的に実施されるように、運用面や手続面での実務的内容が議論されたようです。COP-MOP1の結果の概要は、下記で確認できます。

 ・名古屋議定書COP-MOP1の主要な決定の概要:
  
http://www.env.go.jp/press/file_view.php?serial=25259&hou_id=18740

[締約国会合の手続規則,遺伝資源へのアクセス及び利益配分(ABS)に関する情報交換センターの運用,議定書の遵守のための手続・制度,能力の開発及び向上のための戦略的枠組,及び議定書の2015年~2016年運営予算などが決定]

またCOP12に先だって(9月29日~10月3日に)、同じく韓国ピョンチャンで開催されたカルタヘナ議定書第7回締約国会合の結果の結果については、下記で公表されています。
  (環境省HP)
  http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=18826
  (外務省HP)
  http://www.mofa.go.jp/mofaj/ic/ge/page22_001624.html

以上

2014年10月14日 (火)

名古屋議定書が発効(日本の批准は間に合わず)

10月12日に(生物多様性条約(CBD)における)名古屋議定書が、ついに発効されました。

「名古屋議定書」は、以前、このブログでも取り上げましたが、遺伝資源へのアクセスと利益配分(ABS)について、各国に国内措置を義務づけし、手続きについても明確化を図るためのものです。

名古屋議定書の採択の際には、日本は議長国まで務めたものの、国内措置の整備が進まず、結局、議定書の発効までに批准することができませんでした。

遺伝資源国は多くのは途上国であり、その途上国と、遺伝資源の取得等について利益を配分して渡さなければならないことから、産業界の抵抗感は以前としてあるようです。

10月13~17日に、韓国のピョンチャン(平昌)で生物多様性条約の第12回の締約国会議(COP12)にあわせて、名古屋議定書の第1回締約国会議(COP-MOP1)も開催されています。

製薬会社や化粧品メーカー、食品会社、大学・研究所など、海外の遺伝資源を扱う可能性のあるところは、名古屋議定書の内容と各国の制度についてきちんと把握しておく必要があると思われます。日本国内についても、批准を前提とした制度整備が急がれるところです。

知財との関係では、遺伝資源の出所開示の取扱いの問題がありますが、今回の名古屋議定書の発効自体が直ちにそれに影響することもないと思いますが、今後も注視する必要があると言えるでしょう。

(参考/ニュース記事)
ニュース拡大鏡/「名古屋議定書」12日発効-バイオ企業が危機感
http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0520141010cbab.html

以上

2014年9月12日 (金)

「植物」発明の出願・特許登録の件数動向 (調べてみました)

遺伝子組換え作物に関して、直近の3回で扱ってきましたが、遺伝子組換え「植物」に関する特許出願の最近の動向が気になりましたので、簡単に調べてみました。

特許電子図書館(IPDL)で、過去10数年について、各年の特許出願の出願公開件数(JP受理官庁の国際公開含む)と、特許の登録件数とを調べてみました。

なお、調査・検索には、特許分類を使用しました。具体的には、IPC(国際特許分類)のみでは、植物をクレームしているか否かしか件数を調べられませんでしたので、IPCをベースとして日本独自の項目を細分化して割り振っている「FI」検索を利用しました。これにより、植物自体を単にクレームしているものというのではなく、遺伝子工学的手法により作出された植物特許(出願/登録)と、交配など従来の育種方法により作出された植物特許(同)とに分けて、件数を調べました。

各タイプの植物に関する出願(登録)数を、1999年から2013年までの各年毎にカウントしてグラフ化したのが下記のものです。

Jp_plant_patent_statistics2_2
   (なお、従来育種により作出された植物の出願件数は省略しました)



植物に関する出願(登録)の件数自体は、やはりそんなに多くありませんでした。また、植物の特許は、遺伝子工学的手法により作出された植物の特許の方が、圧倒的に多く、遺伝子工学的手法ではない、従来の育種法により作出された植物の特許の件数は、ごく僅かでした。

遺伝子工学的手法により作出された植物の特許の出願件数は、だんだんと減少傾向にある一方で、登録件数はここ数年増加傾向にあります。

私見ですが、遺伝子組換え植物については、技術的には成果が得られているものの、遺伝子組換え作物自体の消費者の忌避傾向による技術開発の鈍化や、技術や対象植物自体や組換えターゲットの頭打ちの傾向から、出願自体は、減少しているのではないかと思われます。また、遺伝子工学的手法を用いつつも、作出された植物に、遺伝子組換えの痕跡を残さずに育種できるNBT(新しい植物育種技術、New plant breeding techniques)の方に、開発自体がシフトしつつあるからかもしれません(NBTや、マーカー育種技術を利用した場合、「遺伝子工学的手法により作出された植物」に分類されない可能性が高いと思います)。

遺伝子工学的手法ではない、従来の育種法により作出された植物の特許については、件数自体はごく僅かながら7、8年前くらいから、着実に増加している傾向が見られます。

理由は、こちらも私見です。「従来の育種法により作出された植物」自体については、従来より、進歩性が問題になりやすく、特許され難い傾向がありました。そのため、全体の件数が少ないことが理解できます。そんな中でも最近増加傾向にあるのは、従来型の育種技術の自体の進展ももちろんあると思いますが、マーカー育種技術を利用して育成された植物は、こちらの分類になっているものが観られますので、これらの開発の進展による増加の影響も多分にあるように思います。

以上

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2014年9月11日 (木)

隔離圃場の見学(遺伝子組換え作物) その2

この夏に見学した、遺伝子組換え作物を育てている隔離圃場の様子の紹介の2回目です。

前回(その1)では、殺虫タンパク質をつくる遺伝子を組み込んだトウモロコシ(害虫抵抗性トウモロコシ)の様子を紹介しましたが、除草剤耐性型のダイズも隔離圃場内で栽培されていましたので、その様子をご紹介します。

除草剤耐性の遺伝子組換え作物とは、特定の除草剤(今回は、グリホサート)に耐性をもつ遺伝子を組み込むことによって、その特定の除草剤をまいても枯れないようにした作物を言います。このような除草剤耐性作物を栽培する際に、除草剤を使うと、除草剤耐性作物以外の雑草だけを効率的に枯らすことが可能になります。

以下圃場内で撮影した写真です。


Soy001_2

上記の写真は、除草剤耐性ダイズの様子であり、左側の雑草が生い茂ってしまっている区域は、除草剤を散布せずに栽培を続けた場合です。

一方、写真の右側は、除草剤をまいた区域で、遺伝子組換えダイズ自体は、除草剤の散布があっても枯れず、また雑草が選択的に除去された結果、この区域では、組換えダイズだけが元気よく育っています。

Soy002_3

上の写真は、除草剤耐性ダイズではない、従来のダイズ(非組換えダイズ)に、除草剤を散布した場合の写真です。非組換えダイズについては、除草剤により枯れてしまっている一方で、組換えダイズについては、除草剤では枯れず、青々として元気がある様子が分かります。

以上

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2014年9月10日 (水)

「遺伝子組換え作物、輸入多い?」

前回、遺伝子組換え作物を栽培している隔離圃場の見学(その1)について、ご紹介しましたが、9月9日の日本経済新聞の朝刊の平易なニュース解説記事で、丁度、遺伝子組換え作物の現状について扱っていました。

遺伝子組換え作物の現状についてコンパクトによくまとまっていましたので、備忘をかねて、(管理人が考える)ポイント部分を抜粋し、記録しておきます。(さらに、外部のwebページの統計資料も参考として、後半に加えておきます)。


日本経済新聞 2014年9月9日朝刊26面
記事 「(エコノ探偵団) 遺伝子組換え作物、輸入多い?」  飼料用など10年で4割増

....
 - 「現在、輸入や栽培のための承認は食用と飼料用それぞれ120品種を超えており、主に海外種子メーカーの日本法人が承認を得ています」・・。

 - 「GM作物の輸入量」・・・・・・・・・「輸入相手国のGM作付け比率などから推計すると、トウモロコシや大豆など主要4作物の2013年の輸入量は約1622万トンと10年前から4割増え、4作物の輸入に占めるGM比率は合計で8割を超えています」・・。

 *ここで主要4作物とは、トウモロコシ、ダイズ、ナタネ、ワタのことです。

 - 「・・・、国際アグリバイオ事業団(ISAAA)のデータなどによると、GM作物は13年時点で世界27カ国が栽培し、作付面積は1億7520万ヘクタールと本格栽培が始まった1996年の100倍に拡大している」。

 - 「・・・、英コンサルティング会社PGエコノミクス代表、グラハム・ブルックス氏らが経済効果を研究していた。収量増加や栽培コスト低減で12年の栽培国の農家所得は188億ドル(約1兆9千億円)増え、農薬使用量は96~12年で計50万トン(8.8%)削減できたという」。

 - 「食品関係者らへの内閣府の調査ではGM食品を「不安だ」という人は13年に48%。04年(75%)から大きく低下したが、一定以上の専門知識を持つ人の5割近くがなお不安に感じている」。

 - 「こうしたことも反映し、国内では食用・飼料用の商業栽培をする種子メーカーは現れていない」。
・・・


以上が日経記事抜粋です。


関連する内容について、記事にも出てきた、国際アグリバイオ事業団(ISAAA)のwebページから、統計資料を以下に抜粋しておきます。
(資料「ISAAA Brief 46-2013: Slides & Tables」(http://www.isaaa.org/resources/publications/briefs/46/pptslides/default.asp))


27_countries

遺伝子組換え作物を作付けし栽培している国(27ヶ国)が、上記地図上に緑色で示されています。

上記右の表は、遺伝子組換え作物の栽培面積の広い国を多い順に並べたものです。広い国から順に(6ヶ国)、アメリカ、ブラジル、アルゼンチン、インド、カナダ、中国となっています。


4_major_crops_stastics01


上記のグラフは、2013年のダイズ(Soybean)、ワタ(Cotton)、トウモロコシ(Maize)、およびナタネ(Canola)の世界全体の作付け中における、従来型(非遺伝子組換え作物、Conventional)と、遺伝子組換え作物(Biotech)との比率を表したものです。ダイズやワタでは、既に作付けの7~8割が、遺伝子組み換え型となっています。


日本国内での状況は以下の通りです。

「みんなで考えよう 遺伝子組換え農作物・食品」(独)農業生物資源研究所(http://www.nias.affrc.go.jp/gmo/biotech/minna201402.pdf)の9ページより抜粋(下記図)

Gm_stastics_in_jp


日本の穀物類の全体輸入が約3000万トンある一方で、日本は合計で約1500万トンの遺伝子組換え農作物を輸入しているため、既に、日本が輸入している穀物のうち、およそ半分が遺伝子組換え作物となっているそうです。

                                             以上

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2014年9月 6日 (土)

隔離圃場の見学(遺伝子組換え作物) その1

この夏に、遺伝子組換え作物を育てている隔離圃場を見学する機会がありました。今回と別のもう1回の2回で、そのときの様子を簡単にご紹介したいと思います。

これまで、特許業務として、遺伝子組換えの手法やツール、それにより得られた遺伝子組換え動植物などの発明について、特許出願の権利化業務に多く携わった経験はありました。しかし、実際に、実物、すなわち遺伝子組換え植物を見たことはありませんでした。

そういった意味でも、とてもよい経験になり、いろいろと勉強になりました(現場主義的な考えは大事だな、とつくづく思いました)。


見学させていただいた圃場は、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」(いわゆる「カルタヘナ法」)(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H15/H15HO097.html)でいう「第一種使用等」(環境中への拡散を防止しないで行う使用)の制限に従って運用されている「隔離圃場」です。

すなわち、圃場への出入りが制限されるよう外部を囲っているものの、環境中への拡散防止の措置まではとられていない圃場となります。(従って、今回見学させていただいた圃場で栽培されている遺伝子組換え植物は、いずれも、日本での(外界での)栽培認可が既におりているものということになります)。

なおどういった植物について、どのような品種(遺伝子組換え植物の品種)が実際に、「カルタヘナ法」による使用等に従い試験され、認可がされているかは、バイオセーフティクリアリングハウス(J-BCH)(www.bch.biodic.go.jp/)で調べることができます。



まず、隔離圃場の入り口に、遺伝子組換え植物(GM)を育てていることを表示する看板があります。

Plate01


圃場全体は、隔離、つまり勝手に人や動物が立ち入ったりできないよう、青いフェンスで囲われています。ただし、環境中への拡散防止が不要の仕様なので、覆われているのは、圃場の周りだけで、空にむかってはオープンです。花粉が飛んだり(可能性の話です)、鳥や虫が出入りしたりすることは妨げられていません。


Hojowall01_2

フェンスを近くで見るとこんな感じです。


Hojowall02

少し離れたところから見ると、フェンスで圃場が囲われている様子がわかります。


栽培されているものの一つは、(遺伝子組換え)トウモロコシでした。

この組換えトウモロコシは、除草剤耐性型のものではなく、土壌のバチルス菌由来の殺虫タンパクをつくる遺伝子を組み込んだタイプのものでした。この組換えトウモロコシを、特定の害虫が食べようとすると殺虫成分を含むことから、死んでしまうため、結果として、害虫による食害による被害が防げることになります。

組換えトウモロコシと、組換えをしていない通常のトウモロコシ(非組換えトウモロコシ)とが、比較でききるよう、近くに並べて植わっていました。

因みに、栽培に際しては、農薬を使っていないため、害虫には両方とも無防備で栽培されています。


Comparison01_4



組換えトウモロコシの方は、害虫による食害がないため、青々として元気が良さそうです(下の写真)。

一方、非組換えトウモロコシ(普通のトウモロコシ)の方は、害虫による食害があり、一部枯れ始めています。トウモロコシの実の部分の中身を見ると、組換え体でない方は、食害で無残な感じです。

Comparison02



採取した害虫が下の写真のシャーレ内に写っています。 (虫が苦手な人は、注意!)。

Nongm_mushi


このように、
実際に栽培している様子をみると、遺伝子組換えトウモロコシは、栽培・生産する際の扱いの容易さやコストという点で、従来のものにくらべて格段に有利であるというのは、実感でき、よく分かる気がしました。

今回、栽培されていたトウモロコシは、デントコーンといって、家畜の飼料や、加工原料となるタイプの品種であり、成長すると丈は、2mを超えます。これに対して、よく茹でて食したりするのがスイートコーンです。生産量としては、ほとんどがデントコーンであり、スイートコーンは少数派です。組換えトウモロコシとして開発されているのもデントコーンタイプのものとなります。

日本のトウモロコシの輸入量の7~8割は、すでに、組換えトウモロコシだそうです(組換えトウモロコシは主に家畜飼料や加工原料用となります)。因みに、飼料などとして使った場合、最終的に需用者にとどく、肉や乳製品には、遺伝子組換えトウモロコシなどを使ったか否かは表示されません。

一方、日本国内での生産については、遺伝子組換え作物を商業的に栽培している例はないそうです。また、需用者が直接口にいれるものは、ほとんどが、非組換えトウモロコシだそうです。日本では、遺伝子組換え自体への抵抗感が強いのは、依然として変わりがないようです。


(次回につづく)

                               以上

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2014年7月17日 (木)

CBD「名古屋議定書」発効へ


1. CBD「名古屋議定書」の発効が決定


いわゆる「名古屋議定書」、すなわち、生物多様性条約(CBD, Convention on Biological Diversity)における遺伝資源へのアクセスとその利益配分に関する名古屋議定書(NAGOYA Protocol on Access and Benefit-sharing (ABS))の批准国が、7月14日に所定の50ヵ国を超えたため、「名古屋議定書」が発効されることになりました。*1
   [(*1)名古屋議定書は50カ国が批准した日から90日後に発効するとされていました]

発効は、90日後の今年の10月12日となります。生物多様性条約第12回締約国会議(COP12)(韓国で開催)の開催期間10月6~17日になんとか間に合わせた形です。

(名古屋議定書発効に関する情報ソース)
・生物多様性条約事務局(CBD)7/14のプレスリリース(英文):
http://www.cbd.int/doc/press/2014/pr-2014-07-14-Nagoya-Protocol-en.pdf

 ・日経新聞7/14の報道:
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG15012_V10C14A7CR0000/?n_cid=TPRN0005

(批准した50カ国+EU)
アルバニア、ベラルーシ、ベナン、ブータン、ボツワナ、ブルキナファソ、ブルンジ、コモロ、コートジボワール、デンマーク、エジプト、エチオピア、フィジー、ガボン、ガンビア、グアテマラ、ギニアビサウ、ガイアナ、ホンジュラス、ハンガリー、インド、インドネシア、 ヨルダン、ケニア、ラオス、マダガスカル、モーリシャス、メキシコ、ミクロネシア、モンゴル、モザンビーク、ミャンマー、ナミビア、ニジェール、ノルウェー、パナマ、ペルー、ルワンダ、サモア、セイシェル、南アフリカ、スペイン、スーダン、スイス、シリア、タジキスタン、ウガンダ、ウルグアイ、バヌアツ、ベトナム、欧州連合(EU)*2
  [(*2)上記のCBDプレスリリース中の記載より抜粋和訳]


ここでおわかりのように、(名古屋議定書の提案国でありながら)日本はまだ批准していません。現在環境省などで、批准のための国内措置の整備について準備中であり、批准は、年内はおそらく難しく、来年以降になるのではないかと思われます。なお、国内での検討状況は下記の報告書が参考になります。

・名古屋議定書に係る国内措置のあり方検討会報告書(2014/3)
http://www.env.go.jp/nature/biodic/abs/conf/conf01-rep20140320.html

遺伝資源の利用国になりそうな先進国では、EUの対応が先行しています。前述の通り日本は未批准ですし、米国に至っては、名古屋議定書の前提となる「生物多様性条約」自体について未だに、批准すらしていません。


2. 名古屋議定書とは(これまでの経緯)


生物多様性条約(CBD)は、(1)生物の多様性の保全、(2)その構成要素の持続可能な利用、及び(3)遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分を目的とするものです。

Cbd_nagoya_protocol_3

特にCBDの第15条には、遺伝資源の取得機会について規定されており、具体的には、

  ・各国は、自国の天然資源に対して主権的な権利を有すること

  ・遺伝資源の取得の機会については、その資源が存する国の政府に権限があり、その国の国内法令に従うこと。

  ・遺伝資源の取得の機会が与えられるためには、利用者は、遺伝資源の提供国による、事前の情報に基づく同意(PIC、Prior Informed Consent)を要すること。

  ・遺伝資源の研究、開発、商業的利用等での利用から生ずる利益は、遺伝資源の提供国と、公平かつ衡平に配分する。またその配分は、相互に合意する条件(MAT、Mutually Agreed Terms)(契約)で行うこと。


などが明記されています。
これは、遺伝資源の提供国(遺伝資源を持つ原産国及び供給源から入手した遺伝資源を提供する国)と、遺伝資源の利用国の利害を調整するためのものです。

ただし、ここで問題となるのが、遺伝資源の提供国は、多くの場合、途上国であり、それを利用するような技術も資本もないことが多い一方で、遺伝資源の利用国は、多くの場合、先進国であり、もっと以前には、先進国が、途上国の遺伝資源を一方的に持ち出して、利用し、特許まで取得してしまうといった状況が生じていました*3

  [*3) 例えば、インフルエンザ治療薬「タミフル」は、中国原産の植物の実、八角(トウシキミの実)の抽出物質で作られますが、(遺伝資源提供国である)中国はタミフル販売による利益を享受できていないという立場である]

要するに、このような遺伝資源へのアクセスと利益配分(ABS)の問題は、遺伝資源の提供国(多くの場合、途上国)と、利用国(多くの場合、先進国)との対立の図式であり、南北問題的な対立の要素が色濃くあるものです。

遺伝資源へのアクセスと利益配分(ABS)への対応については、遺伝資源提供国の国内法を遵守することが原則ですが、国内法等がない場合については、2002年のCOP6で採択された「ボン・ガイドライン」に従うことが推奨されていました。ボン・ガイドラインでは、CBD15条(前述)の手続きをより明確にした指針がしめされておりましたが、これはあくまでも任意のガイドラインであるため、法的な拘束力はなく、遺伝資源へのアクセス手続きも明確な形にすることは求められていませんでした。

この状況は、遺伝資源の提供国(多くの場合、途上国)と、利用国(多くの場合、先進国)の双方にとっても、不満が残る状況でした。

そこで、2010年の第10回の締約国会議(COP10)において、ABSの問題が議論されましたが、双方の隔たりは大きく、合意は難しい状況になりましたが、最終段階で議長国である日本の提案が採用されることになり、これが「名古屋議定書」として採択されました。

つまり、「名古屋議定書」は、遺伝資源へのアクセスと利益配分(ABS)について、各国に国内措置を義務づけし、手続きについても明確化を図るためのものです。ポイントは下記の通りです。

  ・遺伝資源提供国には、アクセスに関する透明性のある手続きの明確化

  ・利用国については、遵守措置の設置の義務づけ

  ・情報交換の仕組み(クリアリングハウス)の設置



日本は、議定書の提案国であったにもかかわらず、結局、国内措置などの体制の整備が遅れ、批准するための準備が整わず、名古屋議定書の発効のための最初の50か国には入れませんでした。


3. 知財実務への影響

・特許出願における「遺伝資源の出所開示」
生物多様性条約の第15条の関係では「ボン・ガイドライン」において、特許出願の際に遺伝資源の出所開示が奨励されていたことから、特許出願時の明細書に「遺伝資源の出所開示」の義務付ける国が、すでに多く存在していました。主なところでは、インド(インド特許法10条)や中国(専利法26条)などでは、そのような出所開示を出願明細書においてすることが実際に求められています。

・ABSについての国内措置(国内法)との関係
また、ABSについて独自の国内法を設けていて、違反の場合に、行政処分や、出願の拒絶や特許の無効などを規定している国もあります。すなわち、遺伝資源の適法に入手されていることの証明や、その国で事前承認を受けていない場合には、その国での特許出願自体ができなくなる場合もあります(例えば、インドの生物多様性法第6条)。*4

したがって、出願に係る発明や明細書中で使用しているもの(実施例や比較例においても)について、遺伝資源に関するものがあるときは、それがどのような起源(出所)のものであり、また適法に入手されたものであるかについて、確認しておく必要があります。

  [*4) 例えば、ペルーは以前、自国の遺伝資源や伝統的知識を無断で利用していると考える特許出願や特許(日本を含む主要国の特許)について、名指しでリスト(出願番号、出願人を含むもの)を公表し、国際社会に向かって非難をしたことがありました。これに対して、多くの企業・団体が(真偽の立証をすることなく、風評を気にして)出願や特許を取り下げるということがありました。このときは、日本の企業(化粧品会社)も日本の特許出願を取り下げたものもありました]。


・品種登録に関して
品種登録に関しても、遺伝資源に基づく知的財産権の取得という観点からは、特許と同様の問題が生じ得ます。例えば、品種登録出願の出願書類中に、出願品種に関して遺伝資源の出所開示の記載を求める法制をとっている国も既にあるようです(例えば、タイ)。また、自分で出願するに際しても、自身の育成した品種について、その起源(親品種やさらにそれ以前)を含めて、遺伝資源の出所や、それが適法に入手したものであるかについて、確認しておく必要があります。

・今後の影響は
名古屋議定書が発効されること自体に関しては、それが、この「遺伝資源の出所開示」の問題などにすぐに直接的な影響を及ぼすことはなさそうです。

ただし、名古屋議定書締約国においては、ABSに関する国内措置が義務づけられることになりますので、特許出願時の明細書に「遺伝資源の出所開示」の義務付けようとする国や、特許出願の拒絶や特許の無効も視野にいれたABSの独自の国内法を設ける国が増えてくる可能性が多分にあります。

既に批准した国ももちろん、これから批准する国について、知財の観点でどのような制度があるか(新たに制定されているか)について、今後、充分に注意しておく必要がありそうです。



*************************************

参考資料:

生物多様性条約(外務省サイト):

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/jyoyaku/bio.html



名古屋議定書(和文(仮訳)、英文)(外務省サイト):
[名古屋議定書: 遺伝資源の取得の機会の提供及び提供された遺伝資源の利用から生ずる利益を公正かつ衡平に配分するための国際ルールを定める議定書]

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/shomei_72.html


カルタヘナ議定書(和文、説明書など)(外務省サイト):

[カルタヘナ議定書: 遺伝子組み換え生物による生物多様性の保全及び持続可能な利用への悪影響を防止するための輸出入の手続等について定める議定書]

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/treaty156_6.html


「世界の特許出願時の遺伝資源の出所開示に関する法律についての運用の調査報告書」、パテント、2011年、Vol.64, No.12, pp30-

http://www.jpaa.or.jp/activity/publication/patent/patent-library/patent-lib/201109/jpaapatent201109_030-038.pdf


                                                     以上 

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2014年3月11日 (火)

ブログ開設のごあいさつ

 このブログは、植物の育種技術、品種保護や農産物の問題に興味のある、化学バイオ系の弁理士が開設しました。

 これまでに、機会にめぐまれ(?)、品種登録の出願を国内と外国向けで数十件以上経験することができ、様々な実務上の経験や知見が得られた一方で、いろいろ考えさせられることがありました。そのためもあって、植物品種の保護の有利不利の問題や特許との制度上の異同、両制度の活用、農産物の輸出、遺伝資源へのアクセスの問題、遺伝子組換え植物に関連する規制・事情などの話題に興味をもち、自分なりに調べたり考えたり、また外部の委員会などの参加して勉強したりしてきました。

 このブログでは、ブログタイトルにあるように「植物品種の保護*と特許」に関して、これまでにわかったり気がついたりしたことについて、現状に限らず、少し前の情報も含めて(もちろん、最新情報も含めて)、整理していきたいと思います。 (研修や展示会等への参加報告などもしたいと思います)。
[* 植物品種保護=Plant Variety Protection(略して、PVPとよく言います)。当サイトのドメイン patent-pvpは特許と植物品種保護、という意味からきています。]

 ブログの目的は、第一には(申し訳ありませんが)、自分の手持ち情報と考えの整理のためです(つまり備忘録と自分の頭の整理という、要するに自分用です)。だだ、それに限らず、ご覧になった方に少しでも参考となり、お役に立つことができればうれしいですし、また同じような関心を持っていただける方が一人でも増えればと思っておりますので、そういった視点も意識して書いていきたいと思います。

 ブログの内容は、テーマを明確にしたいという気持ちから、できるだけブログタイトル(サブタイトル含む)にある内容の範囲に絞りたいと思います(ただし少し疲れたりしたときには、雑談的な話も入るかもしれません)。

 それでは、どうぞよろしくお願いいたします。

以上

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[ブログ開設日は、いろいろなことを再考するきっかけとなったこの日(3.11)と同じ日としました。]

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