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紹介・報告

2015年3月17日 (火)

弁理士の業務標準


弁理士会が発行している冊子で、「弁理士業務標準」というものがあります。最新版の第8版が近く、会員(弁理士)に届く予定のようですが、今回、その版の改訂に係わる機会がありました。

Gyoumuhyoujunn8_3

正直なところ、冊子の存在は知っていましたが、改訂作業に係わる前は、積極的に開いて読むことはしていませんでした。

でも、(改定に関与することもあり)、あらためて読んでみると、結構役立ちそう、と再認識しました。
例えば次のようなことが項目をわけて書いてあります。他にもいろいろあります。独立したての人も読者に想定しているため、そういった場面でも参考になるでしょうし、ある程度業務になれている人にとっても、部分的にはわかっていても、あらためて体系的に整理しながら読むことができるので、業務上いろいろ判断迷うときなどに、とても参考になりそうです。

  「事務所を運営する際の顧客関連リスクマネジメントについての指針」
  「新規受任および中間処理における顧客対応」
  「弁理士1人事務所運営における指針」
  「営業の際の注意事項」
  「コンプライアンスについての指針」
  「書類チェックの方法」
  「労務管理についての指針」
など。

因みに、冊子には第2部に「関連業務」編というのがあり、「技術標準とパテントプール」、「弁理士が関与する訴訟業務」、「著作権関連業務」、「コンサルティング業務」などについて、(周辺業務などの)関連業務の内容と関わり方なども書いてあります。

この中で、今回の改定版では、「弁理士の種苗法に基づく品種登録関連業務」という章が新たに設けられ、その執筆を担当しました。(ここは少し手前味噌の話ですが)機会があればこちらもご参考ください。

以上

2015年3月11日 (水)

ブログ開設から1年

このブログの開設からちょうど1年経ちました。

この1年で記事数は53本で、平均すると(計算上は)、1週間に1つのペースでした。(当初は1年で記事数100本を目指していましたので、ブログ運営の大変さがよくわかりました)。

当初、もっと記事としてあげていこうと思っていた、品種登録の制度紹介、事例紹介、(経験を踏まえた)実務情報、植物特許の話題など、思ったほど記事として上げることができておらず、反省しているところです。また、記事の更新間隔も一定せず、ときには2ヵ月ほど更新していないこともありました。この点も大きな反省点です。

20150311tokyopalace_photo

(写真を差し替えました_今日3/11の写真)

今後も、当初の考えていたような品種登録や植物特許関係の記事を引き続き、書いていこうとおもいます(できればペースアップして)。

また今年は、機能性表示食品制度や、地理的表示制度の運用開始が予定されています。これらの制度の動向のウオッチングはもちろん、関連して「機能性食品」に関する特許や品種登録との関連での話題も、もう少し積極的に扱っていこうと思っています。

最近の農業関連の話題の多さや、国の成長戦略の一つに農業が位置づけられていることなどから、引き続き、農産物・食品などと知財との関係に、着目していきたいと思います。

このブログを見てくださっている皆様方に感謝申し上げます。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

以上

2015年2月24日 (火)

輸出植物検疫~外国品種登録出願の審査(栽培)用種子の送付のため

外国での品種登録出願をすると、日本における出願の審査と同様に、現地で栽培試験を行う必要がでてきます。出願をした国(外国)で、実際に栽培試験を実施してもらうためには、出願人が保持している出願品種の種子を所定量(さらに対照品種の種子送付が必要な場合が多い)、現地の栽培試験を実施する当局に送付する必要があります。

植物の種類によっては、種子ではなく、苗や球根等を送る必要がでてくる場合もあります。

ここで、一番問題となるのは、「検疫」に関する手続です。このような場合、種子を相手の外国に送るため、種子の輸出ということになり、検疫も「輸出検疫」の手続を経る必要があります。

輸出検疫」は、簡単にいうと、相手国が求めている検疫条件で、日本の検疫当局(植物防疫所)で検査を予め受け、問題なければ、植物検疫証明書(Phytosanitary Certificate)を発給してもらい、これを、送付する種子の梱包物に、他の書類(通関書類など)とともに添付して送ることになります。

検査は、植物防疫所に申請書共に持ち込んで、そこで専門官による検査をうけることになります。当日終わることもあれば、数日かかることもあります。さらに、相手国の検疫条件によっては、栽培段階で検査を受ける必要がある場合があり(栽培試験)、検疫だけで、一年がかりの作業となることもあります。

先日、クライアントの要望もあり、輸出検疫の手続に立ち会ってきました。今回は、上記にあるように、相手国の条件から栽培試験(圃場での検査)もあり、植物検疫証明書をほぼ一年がかりで取得することになりました。訪問したのは、横浜植物防疫所の東京支所(お台場)です。

2015_tokyopps1b_2
 (お台場の合同庁舎の入り口)

2015tokyopps
 (植物防疫所の入り口)

2015_tokyopps2_2
 (合同庁舎からみたお台場の風景)

Phytosanitary_certificate_parts_sam
 (植物検疫証明書(一部)はこんな感じです)

以上

2015年1月24日 (土)

「地理的表示法」と「遺伝資源に関する最新状況」についての農林水産省による講演会に行ってきました

農林水産省系の外郭団体が事務局をしている「植物品種保護戦略フォーラム」の会員となっていますが、そこ主催の講演会がありました。

講演内容は、「地理的表示法について」と「遺伝資源に関する最新状況」で、前者は農林水産省の新事業創出課の法令担当官の方、後者は同じく農林水産省の大臣官房の地球環境対策室の室長の方の講演でした。

備忘メモとして講演内容の抜粋を以下に記載します(内容的に気になった点については別の記事にまとめたいと思います)。


1.「地理的表示法について」

 昨年秋に各地で開催された「地理的表示法」(特定農林水産物等の名称の保護に関する法律)の説明会で使用された資料を、少しアップデートした資料に基づいての講演で、内容は、地理的表示法の説明と、最新状況(進捗状況)の紹介でした。
 進捗状況としては、昨年秋の説明会では、今年の1月~2月にかけて政省令等の案についてのパブリックコメントを求める予定でしたが、パブリックコメントの求めは、2月上旬の予定で少し送れているとのことでした。
 またパブリックコメントの際には、政省令(案)に加えて、審査基準もしくは手引きのようなものもあわせて公表し、パブリックコメントを求める予定とのことでした。
 「審査基準もしくは手引きのようなもの」の案が示されるということについては、どのような内容が示されるか注目したいところです。


2.「遺伝資源に関する最新状況

 主な内容は以下の通りでした。

 ・遺伝資源アクセスと利益配分(ABS)、生物多様性条約(CBD)、CBD名古屋議定書、食料・農業植物遺伝資源条約(ITPGR)のこれまでの経緯と関係の整理、
 ・ITPGRにおける「多数国間の制度」(MLS)
 ・名古屋議定書とITPGRの関係
 ・名古屋議定書への各国対応状況(例:EUにおける動向)
 ・EU「名古屋議定書を担保するためのEU規則」の無効を求めた種苗業者によるオランダ・ドイツでの訴訟(2014年7月提訴)について
 ・名古屋議定書の日本国内で検討状況
 ・ITPGRのMLSの使い勝手を改善するための締約国会合での検討状況
 ・平成27年度の遺伝資源関係予算の概要

以上

2015年1月21日 (水)

農林水産省 知的財産戦略検討会(第1回) (傍聴メモ)

別の用事があったこともあり、良い機会なので傍聴の申込みをして、「農林水産省知的財産戦略検討会」(第1回)を傍聴してきました。場所は、農林水産省(霞ヶ関の本省)内でした。

20150121maffentrance01

[農林水産省知的財産戦略検討会(第1回):http://www.maff.go.jp/j/press/shokusan/sosyutu/150114.html ]

<2015年1月25日追記>
農林水産省知的財産戦略検討会(平成27年1月設置)(配付資料)

http://www.maff.go.jp/j/shokusan/tizai/other/senryaku.html


[I] 「農林水産省知的財産戦略検討会」とは

「農林水産省知的財産戦略検討会」とは、農林水産省の今年、平成27年(2015年)以降の今後5年間の知的座産戦略を策定する検討です。

これまでも農林水産省の知的財産戦略(新たな農林水産省知的財産戦略、平成22年3月策定)がありましたが、5年の期限のあるものであり、前回の策定が平成22年であったことから、ちょうど今年が5年目ということで、新しい知的財産戦略が策定されることになりました。

今回が第1回で、あと3回ほど開催して、次の5年間用の農林水産省の新しい知的財産戦略を策定する予定のようです(4月頃には、次の「農林水産省知財戦略」が確定されそう)。

農業や食品の関連は、現在の国家戦略(日本再興戦略)の重要課題の一つにもなっており、それなりに力の入ったものとなる可能性のあること、また、自分自身の業務への影響が大きく、自分自身の興味の観点からも、農林水産省の新しい知的財産戦略の情報を早めに入手し、またその策定の背景を知っておくことは有益と考え、傍聴してきた次第です。

農水省が選任した検討会のメンバーは、学者、食品や種苗産業の企業の知財関係者、消費者団体の代表、食品流通関係の方、農業生産法人の代表、マスコミ関係者、JETROの方、役所の関係部門の方々などです(上記URLのページに名簿があります)。少し残念なことに、弁理士会や、弁理士・弁護士などはメンバーには入っていません。(因みに、特許庁(商標課)の方は、地域団体商標の話もあって、メンバーとなっています)。

なお、検討会の配布資料や議事録は後日、農林水産省のHP上で公開される予定とのことです。


[II] 策定にあたって抽出されたポイント

 以下、配付資料や検討会議論をベースに記載しますが、正確でない部分もあると思いますのでご了承ください。

 (1)食料産業のグローバル展開に資する知的財産の保護・活用

 →グローバル展開の推進には、官民連携による進出先における知財の的確な保護が不可欠
 →海外における模倣品の調査/対策強化の働きかけ、
 →我が国食品企業の海外から知財によるロイヤリティ収入増加(2013年、159億円)→ロイヤリティ収入の確保のための知的財産権の侵害対策


 (2)食料産業における国際基準への戦略的対応

 →農林水産物・食品の輸出拡大には、国際基準への適合による信頼確保が重要
 →現状は、我が国の農林水産物・食品は、国際基準(規格)(HACCPなど)に適合できているとは言い難い
 →安全性・品質を裏打ちする既存の各種国際規格の普及を図る
 →国際的に通用する新たな国際標準規格の策定に向けた戦略的取り組みを進める


 (3)地理的表示(GI)保護制度の活用の推進

 →地理的表示法、平成26年6月成立、平成27年6月までの施行に向け準備
 →地理的表示保護制度の周知活動、PR、普及啓発
 →地理的表示保護制度の導入のメリット(整理)
 →新たな地域ブランド戦略づくりに向けた機運の醸成
         
    i) 地理的表示保護制度、
    ii) 地域団体商標制度
    iii)  食品の機能性表示制度(新制度)(農林水産物など生鮮品も対象に含む)
     の3点セットをどう組み合わせて活用するか。


  (※赤字は、管理人の傍聴メモ・コメント、以下同じ)


 (4)知的財産の総合的な活用の推進


 →育成者権、商標権等の知的財産のそれぞれの特徴を活かした組み合わせによる活用、ビジネスモデルの明確化、それを支える知財マネジメントの展開推進
 →「戦略的知的財産活用マニュアル」(平成26年4月)の普及
 →オープンとクローズの使い分け・組み合わせ(どこまで開示するか、どこまで秘匿するかを事前にしっかりデザイン など)
 →事例(水稲「みつひかり」、小麦「ラー麦」、キウイフルーツ「ゼスプリ」、伝統野菜の活用事例など)


 (5)親品種・新技術の開発・保護・普及

 →新たな品種や生産技術を用いて、消費者や実需者のニーズに的確に対応する
 →知財を戦略的に活用し、品質・ブランド力など強みのある農畜産物を各地に生み出す
  (→品種開発段階から、実需者、産地、研究機関、行政などとの連携を強化して、「強み」のある親品種や技術を開発する)


 (6)種苗産業の共通課題の解消索の総合的な推進

 →種苗産業の振興には、産官学連携による総合的な体制構築と、育成された新品種の育成者権の的確な保護が不可欠
 →オランダの取り組みをモデルとした体制
 →海外での育成者権保護の強化に向けた取り組み(東アジア植物品種保護フォーラムなど)
         
 (・前記(5)、(6)にあるような新品種の保護の関連は今回の検討会の討論ではあまり議論に挙がらなかった。)


 (7) ICTの活用による農業分野の知的財産のデータか及びその活用推進

 →篤農家の匠の技をICTによりデータ化し、収益向上や周辺産業への活性化等へ活用
 →ノウハウ、データの海外への流出の懸念
 →ICT(データ等の意図しない利用)により、安易な大量生産、コモディティ化が進む懸念――― 戦略的に推進することが必要
         
    ・農業ノウハウ、データ(ICTによりデータ化したもの)→ 「非権利化知財」
    ・農業/食料産業は、「情報・知識産業」であると認識すべき

                                     以上

2014年9月12日 (金)

「植物」発明の出願・特許登録の件数動向 (調べてみました)

遺伝子組換え作物に関して、直近の3回で扱ってきましたが、遺伝子組換え「植物」に関する特許出願の最近の動向が気になりましたので、簡単に調べてみました。

特許電子図書館(IPDL)で、過去10数年について、各年の特許出願の出願公開件数(JP受理官庁の国際公開含む)と、特許の登録件数とを調べてみました。

なお、調査・検索には、特許分類を使用しました。具体的には、IPC(国際特許分類)のみでは、植物をクレームしているか否かしか件数を調べられませんでしたので、IPCをベースとして日本独自の項目を細分化して割り振っている「FI」検索を利用しました。これにより、植物自体を単にクレームしているものというのではなく、遺伝子工学的手法により作出された植物特許(出願/登録)と、交配など従来の育種方法により作出された植物特許(同)とに分けて、件数を調べました。

各タイプの植物に関する出願(登録)数を、1999年から2013年までの各年毎にカウントしてグラフ化したのが下記のものです。

Jp_plant_patent_statistics2_2
   (なお、従来育種により作出された植物の出願件数は省略しました)



植物に関する出願(登録)の件数自体は、やはりそんなに多くありませんでした。また、植物の特許は、遺伝子工学的手法により作出された植物の特許の方が、圧倒的に多く、遺伝子工学的手法ではない、従来の育種法により作出された植物の特許の件数は、ごく僅かでした。

遺伝子工学的手法により作出された植物の特許の出願件数は、だんだんと減少傾向にある一方で、登録件数はここ数年増加傾向にあります。

私見ですが、遺伝子組換え植物については、技術的には成果が得られているものの、遺伝子組換え作物自体の消費者の忌避傾向による技術開発の鈍化や、技術や対象植物自体や組換えターゲットの頭打ちの傾向から、出願自体は、減少しているのではないかと思われます。また、遺伝子工学的手法を用いつつも、作出された植物に、遺伝子組換えの痕跡を残さずに育種できるNBT(新しい植物育種技術、New plant breeding techniques)の方に、開発自体がシフトしつつあるからかもしれません(NBTや、マーカー育種技術を利用した場合、「遺伝子工学的手法により作出された植物」に分類されない可能性が高いと思います)。

遺伝子工学的手法ではない、従来の育種法により作出された植物の特許については、件数自体はごく僅かながら7、8年前くらいから、着実に増加している傾向が見られます。

理由は、こちらも私見です。「従来の育種法により作出された植物」自体については、従来より、進歩性が問題になりやすく、特許され難い傾向がありました。そのため、全体の件数が少ないことが理解できます。そんな中でも最近増加傾向にあるのは、従来型の育種技術の自体の進展ももちろんあると思いますが、マーカー育種技術を利用して育成された植物は、こちらの分類になっているものが観られますので、これらの開発の進展による増加の影響も多分にあるように思います。

以上

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2014年9月11日 (木)

隔離圃場の見学(遺伝子組換え作物) その2

この夏に見学した、遺伝子組換え作物を育てている隔離圃場の様子の紹介の2回目です。

前回(その1)では、殺虫タンパク質をつくる遺伝子を組み込んだトウモロコシ(害虫抵抗性トウモロコシ)の様子を紹介しましたが、除草剤耐性型のダイズも隔離圃場内で栽培されていましたので、その様子をご紹介します。

除草剤耐性の遺伝子組換え作物とは、特定の除草剤(今回は、グリホサート)に耐性をもつ遺伝子を組み込むことによって、その特定の除草剤をまいても枯れないようにした作物を言います。このような除草剤耐性作物を栽培する際に、除草剤を使うと、除草剤耐性作物以外の雑草だけを効率的に枯らすことが可能になります。

以下圃場内で撮影した写真です。


Soy001_2

上記の写真は、除草剤耐性ダイズの様子であり、左側の雑草が生い茂ってしまっている区域は、除草剤を散布せずに栽培を続けた場合です。

一方、写真の右側は、除草剤をまいた区域で、遺伝子組換えダイズ自体は、除草剤の散布があっても枯れず、また雑草が選択的に除去された結果、この区域では、組換えダイズだけが元気よく育っています。

Soy002_3

上の写真は、除草剤耐性ダイズではない、従来のダイズ(非組換えダイズ)に、除草剤を散布した場合の写真です。非組換えダイズについては、除草剤により枯れてしまっている一方で、組換えダイズについては、除草剤では枯れず、青々として元気がある様子が分かります。

以上

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2014年9月10日 (水)

「遺伝子組換え作物、輸入多い?」

前回、遺伝子組換え作物を栽培している隔離圃場の見学(その1)について、ご紹介しましたが、9月9日の日本経済新聞の朝刊の平易なニュース解説記事で、丁度、遺伝子組換え作物の現状について扱っていました。

遺伝子組換え作物の現状についてコンパクトによくまとまっていましたので、備忘をかねて、(管理人が考える)ポイント部分を抜粋し、記録しておきます。(さらに、外部のwebページの統計資料も参考として、後半に加えておきます)。


日本経済新聞 2014年9月9日朝刊26面
記事 「(エコノ探偵団) 遺伝子組換え作物、輸入多い?」  飼料用など10年で4割増

....
 - 「現在、輸入や栽培のための承認は食用と飼料用それぞれ120品種を超えており、主に海外種子メーカーの日本法人が承認を得ています」・・。

 - 「GM作物の輸入量」・・・・・・・・・「輸入相手国のGM作付け比率などから推計すると、トウモロコシや大豆など主要4作物の2013年の輸入量は約1622万トンと10年前から4割増え、4作物の輸入に占めるGM比率は合計で8割を超えています」・・。

 *ここで主要4作物とは、トウモロコシ、ダイズ、ナタネ、ワタのことです。

 - 「・・・、国際アグリバイオ事業団(ISAAA)のデータなどによると、GM作物は13年時点で世界27カ国が栽培し、作付面積は1億7520万ヘクタールと本格栽培が始まった1996年の100倍に拡大している」。

 - 「・・・、英コンサルティング会社PGエコノミクス代表、グラハム・ブルックス氏らが経済効果を研究していた。収量増加や栽培コスト低減で12年の栽培国の農家所得は188億ドル(約1兆9千億円)増え、農薬使用量は96~12年で計50万トン(8.8%)削減できたという」。

 - 「食品関係者らへの内閣府の調査ではGM食品を「不安だ」という人は13年に48%。04年(75%)から大きく低下したが、一定以上の専門知識を持つ人の5割近くがなお不安に感じている」。

 - 「こうしたことも反映し、国内では食用・飼料用の商業栽培をする種子メーカーは現れていない」。
・・・


以上が日経記事抜粋です。


関連する内容について、記事にも出てきた、国際アグリバイオ事業団(ISAAA)のwebページから、統計資料を以下に抜粋しておきます。
(資料「ISAAA Brief 46-2013: Slides & Tables」(http://www.isaaa.org/resources/publications/briefs/46/pptslides/default.asp))


27_countries

遺伝子組換え作物を作付けし栽培している国(27ヶ国)が、上記地図上に緑色で示されています。

上記右の表は、遺伝子組換え作物の栽培面積の広い国を多い順に並べたものです。広い国から順に(6ヶ国)、アメリカ、ブラジル、アルゼンチン、インド、カナダ、中国となっています。


4_major_crops_stastics01


上記のグラフは、2013年のダイズ(Soybean)、ワタ(Cotton)、トウモロコシ(Maize)、およびナタネ(Canola)の世界全体の作付け中における、従来型(非遺伝子組換え作物、Conventional)と、遺伝子組換え作物(Biotech)との比率を表したものです。ダイズやワタでは、既に作付けの7~8割が、遺伝子組み換え型となっています。


日本国内での状況は以下の通りです。

「みんなで考えよう 遺伝子組換え農作物・食品」(独)農業生物資源研究所(http://www.nias.affrc.go.jp/gmo/biotech/minna201402.pdf)の9ページより抜粋(下記図)

Gm_stastics_in_jp


日本の穀物類の全体輸入が約3000万トンある一方で、日本は合計で約1500万トンの遺伝子組換え農作物を輸入しているため、既に、日本が輸入している穀物のうち、およそ半分が遺伝子組換え作物となっているそうです。

                                             以上

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2014年9月 6日 (土)

隔離圃場の見学(遺伝子組換え作物) その1

この夏に、遺伝子組換え作物を育てている隔離圃場を見学する機会がありました。今回と別のもう1回の2回で、そのときの様子を簡単にご紹介したいと思います。

これまで、特許業務として、遺伝子組換えの手法やツール、それにより得られた遺伝子組換え動植物などの発明について、特許出願の権利化業務に多く携わった経験はありました。しかし、実際に、実物、すなわち遺伝子組換え植物を見たことはありませんでした。

そういった意味でも、とてもよい経験になり、いろいろと勉強になりました(現場主義的な考えは大事だな、とつくづく思いました)。


見学させていただいた圃場は、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」(いわゆる「カルタヘナ法」)(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H15/H15HO097.html)でいう「第一種使用等」(環境中への拡散を防止しないで行う使用)の制限に従って運用されている「隔離圃場」です。

すなわち、圃場への出入りが制限されるよう外部を囲っているものの、環境中への拡散防止の措置まではとられていない圃場となります。(従って、今回見学させていただいた圃場で栽培されている遺伝子組換え植物は、いずれも、日本での(外界での)栽培認可が既におりているものということになります)。

なおどういった植物について、どのような品種(遺伝子組換え植物の品種)が実際に、「カルタヘナ法」による使用等に従い試験され、認可がされているかは、バイオセーフティクリアリングハウス(J-BCH)(www.bch.biodic.go.jp/)で調べることができます。



まず、隔離圃場の入り口に、遺伝子組換え植物(GM)を育てていることを表示する看板があります。

Plate01


圃場全体は、隔離、つまり勝手に人や動物が立ち入ったりできないよう、青いフェンスで囲われています。ただし、環境中への拡散防止が不要の仕様なので、覆われているのは、圃場の周りだけで、空にむかってはオープンです。花粉が飛んだり(可能性の話です)、鳥や虫が出入りしたりすることは妨げられていません。


Hojowall01_2

フェンスを近くで見るとこんな感じです。


Hojowall02

少し離れたところから見ると、フェンスで圃場が囲われている様子がわかります。


栽培されているものの一つは、(遺伝子組換え)トウモロコシでした。

この組換えトウモロコシは、除草剤耐性型のものではなく、土壌のバチルス菌由来の殺虫タンパクをつくる遺伝子を組み込んだタイプのものでした。この組換えトウモロコシを、特定の害虫が食べようとすると殺虫成分を含むことから、死んでしまうため、結果として、害虫による食害による被害が防げることになります。

組換えトウモロコシと、組換えをしていない通常のトウモロコシ(非組換えトウモロコシ)とが、比較でききるよう、近くに並べて植わっていました。

因みに、栽培に際しては、農薬を使っていないため、害虫には両方とも無防備で栽培されています。


Comparison01_4



組換えトウモロコシの方は、害虫による食害がないため、青々として元気が良さそうです(下の写真)。

一方、非組換えトウモロコシ(普通のトウモロコシ)の方は、害虫による食害があり、一部枯れ始めています。トウモロコシの実の部分の中身を見ると、組換え体でない方は、食害で無残な感じです。

Comparison02



採取した害虫が下の写真のシャーレ内に写っています。 (虫が苦手な人は、注意!)。

Nongm_mushi


このように、
実際に栽培している様子をみると、遺伝子組換えトウモロコシは、栽培・生産する際の扱いの容易さやコストという点で、従来のものにくらべて格段に有利であるというのは、実感でき、よく分かる気がしました。

今回、栽培されていたトウモロコシは、デントコーンといって、家畜の飼料や、加工原料となるタイプの品種であり、成長すると丈は、2mを超えます。これに対して、よく茹でて食したりするのがスイートコーンです。生産量としては、ほとんどがデントコーンであり、スイートコーンは少数派です。組換えトウモロコシとして開発されているのもデントコーンタイプのものとなります。

日本のトウモロコシの輸入量の7~8割は、すでに、組換えトウモロコシだそうです(組換えトウモロコシは主に家畜飼料や加工原料用となります)。因みに、飼料などとして使った場合、最終的に需用者にとどく、肉や乳製品には、遺伝子組換えトウモロコシなどを使ったか否かは表示されません。

一方、日本国内での生産については、遺伝子組換え作物を商業的に栽培している例はないそうです。また、需用者が直接口にいれるものは、ほとんどが、非組換えトウモロコシだそうです。日本では、遺伝子組換え自体への抵抗感が強いのは、依然として変わりがないようです。


(次回につづく)

                               以上

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2014年5月22日 (木)

(報告・内容紹介)セミナー「農水産物保護と知財」の講師とパネリストを担当しました

日本弁理士会の会員研修として、「農水産物保護と知財」(第1部、第2部)と題するセミナーが5月9日に開催され、その第1部の講演の講師と、第2部のパネルディスカッションのパネリストを担当しました。

そこで、セミナーの内容と様子について簡単にご紹介します。

今回のセミナーは、日本弁理士会の農林水産知財対応委員会主催で開催されたものです。昨年度まで6年間、この委員会の委員を務め、平成23年度には委員長もさせていただいた関係も有り、今回、講師・パネリストを担当させていただくことになりました。


<第1部: 講演>

セミナーの第1部(1時間)は、種苗法による保護と、特許法・商標法による保護のベーシックな比較ということで下記のような内容をお話ししました。

P1020243
(第1部の様子)

  (第1部の内容の項目抜粋)
    ●農林水産知財の最近の動向
    ●特許法と種苗法の比較
      -保護対象 :「発明」、技術的思想の創作/「品種」、現物の保護、育成
      -特許要件/登録要件
      -DUS要件(区別性、均一性、安定性)とは
      -新規性/区別性、未譲渡性、「重要な形質」(種苗法2条7項)とは
      -品種名称の適切性要件
      -書面審査/DUS審査(栽培試験、現地調査、資料調査とは)
      -出願から登録までの手続の比較(審査請求有無、拒絶理由通知、それに対する応答(意見書補正書)、FA期間など)
      -拒絶の場合の対応
      -登録後の不服申立
      -権利の効力(「実施」と「利用」、カスケードの原則、権利範囲の確定手法、現物主義)

      -効力の及ばない範囲
      -侵害への救済措置
      -関連条約(パリ条約、UPOV条約)、主要国(欧米中など)における制度比較
    ● 特許法と種苗法による二重保護がされている事例(複数例、紹介・分析)
    ● 商標法と種苗法の比較
      -制度趣旨・目的からくる商標権と品種名称の保護の考え方の違い
      -調整規定
      -
類否判断
      -出願から登録までの手続、商標の登録追い越し問題と対策
      -効力の違い(救済措置含む)
      -商標権を取得するか、品種名称として保護を受けるかについての、選択、見極め、考え方
      -事例
        など


<第2部: パネルディスカッション>

 第2部(2時間)のパネルディスカッションは、コーディネーター、司会、パネリストからなる合計8名により行われました。扱われた主な話題は下記の通りでした。

    -「現物主義」とは
    -権利行使時における問題点、権利範囲の確定の困難性
    -遺伝子組換え植物の場合の問題、遺伝情報と表現形質の扱い
    -法制度の違いを前提とした出願戦略
    -知財マネジメント(考え方、事例、ケーススタディ報告)
    -商標法と種苗法による保護
    -地理的表示の保護(今国会に提出された新法に関する制度紹介含む)
    -弁理士のかかわり
      など

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(第2部の様子)


(セミナー全体について)

 セミナー会場には、実際に登録品種(花き類)のサンプル(花の鉢植え)とその登録原簿に付された特性表が、多数、開場の前の方に置かれ、受講者の方に、特性表に書かれている内容と実際の現物とを対比していただけるよう、司会ご担当の先生の発案で工夫をこらしました。(第1部の写真中にお花等が見えると思います)。
 参加者は100人を超え、盛況でした。セミナーは、委員会のこれまでの検討をベースにしたものです。内容が盛りだくさんである一方で、時間に制約のあったことから、少々駆け足となり、消化不良気味なところが出てしまいましたが、ベーシックな内容から、かなり踏み込んだ内容、さらにはケーススタディまで、幅広く扱われ、この分野のセミナーとしては、画期的であったと思います。 (なお、セミナー全体の発案、企画、コーディネートは、昨年度の委員会委員長の先生(この分野の先駆者で大ベテランの先生)がしてくださいました)。


(セミナーの内容にご興味のある方へ)

 第1部、第2部の資料について、下記より入手できると思います。

 ・第1部の内容
 日本弁理士会の会員向けホームページ(電子フォーラム)に、第1部のスライドデータが(近日中に)アップされますので、閲覧やダウンロードが可能となる予定です。(対象は弁理士に限られます)

 ・第2部の内容
 「パテント」誌の今年7月号に、パネルディスカッションの内容が書き起こし記事として掲載される予定です。

以上

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