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法改正/答申

2018年5月28日 (月)

例外適用「1年」はいつから?(改正される新規性喪失の例外適用)

前回のご紹介しましたように、「不正競争防止法等の一部を改正する法律」の施行、又は「環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律案」の成立、施行のいずれかに伴う、特許法改正によって、特許法における「新規性喪失の例外」(特許法30条)の例外の適用が従来の「6月」から「1年」に延長されます。

ここで気になるのが、新規性が喪失されないとする期間が、公知等となった日から「6月」とあったのが、「1年」に延長されると、例外適用の対象となった行為がいつからなら適用されるのか、ということです。

例えば、改正法の施行が「来年の4月1日」になったとすると、その1年前、すなわち、もう例外適用の期間に入っているのでしょうか?

201805koukyo_2
(2018.5 撮影)

答えは、残念ながら違うようです。

改正法の施行の日から、6月を遡った日より前の発明については、例外適用は受けられない、ということになります。

つまり、改正法施行の日から1年前~6月前の行為については、改正法の「経過措置」として適用は残念ながら「受けられない」ということになります。

もっと砕けた言い方をするならば、今回の改正によって、1年にのびることで、急に予想外に適用時期が遡及される事態は起きない、ということになります。

今回の改正法(ここでは、「不正競争防止法等の一部を改正する法律」の方をみてみます)の特許法の附則第10条に、「発明の新規性喪失の例外期間の延長に関する経過措置」が規定されています。

・改正法の附則
「 第十条 (発明の新規性喪失の例外期間の延長に関する経過措置)
 特許法第二十九条第一項各号のいずれかに該当するに至った日が、附則第一条第二号に掲げる規定の施行の日(以下「第二号施行日」という。)の六月前の日前である発明については、第三条の規定(同号に掲げる改正規定に限る。)による改正後の特許法(附則第十六条において「第二号新特許法」という。)第三十条第一項及び第二項の規定にかかわらず、なお従前の例による。」

ちょっと分かり難いですが、改正法の施行日の6月前の行為(発明)については、改正法(例外適用1年)によらず、従前の例(これまでどおり)とするという意味です。

この点について、特許庁の考え方については、ワーキンググループでの特許庁側の発言が参考になります。

産業構造審議会 知的財産分科会 特許制度小委員会 第12回審査基準専門委員会ワーキンググループ(平成30年1月16日開催) 議事録より
「審査基準室長)
  TPP担保法のときの施行日の考え方では、改正法が施行されたときに、新規性喪失の例外期間がどこまでさかのぼるかというところを規定しておりました。
 今回の法改正でどうなるかはまだ確定してはいないと思いますが、TPP担保法のときの例で申し上げますと、改正法が施行されたら、例外期間がいきなり12月さかのぼるのではなくて施行日から6月しか戻らないとしておりました。施行後順次12月に延びていくという形になりますので、例えば、改正法の施行前にクリアだと思っていた発明が、施行後にさかのぼって例外期間カバーされるという状況にはならないということだと思います。 」

 (下線は当ブログ管理人による)

いずれにしても、優先権主張の利用との関係も再考する必要があるかもしれませんし、実務的には、影響が大きそうです。

少なくとも実務者としては、例外期間「1年」となることによる意義・利用をよく考える必要がありそうです。

以上

2018年5月25日 (金)

2つの特許法等改正が進行中

少しずつ暑くなってきました。

201805kasumigasekibl
(2018.5/ (所用で訪れた)霞が関ビルの高層階から新橋方面を撮影)


現在、特許法の改正について、2つの法律が、国会で審議されており、一つは先日可決成立し、もう一方もまもなく成立すると予想されますので、整理しておきたいと思います。


既にご存じかもしれませんが、まず、「不正競争防止法等の一部を改正する法律案」については、5月23日に参議院本会議の審議で可決、成立したところです。

この「不正競争防止法等の一部を改正する法律案」は、特許法の一部改正と、弁理士法の一部改正を含むものです。

一方で、「環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律案」については、5月24日に衆議院本会議で可決され、こちらは参議院で現在審議中となっており、おそらく近日中に、参議院でも可決、成立されるものと思われます。

(参考)
 ・日経新聞HP、2018/5/25
  「米強硬、日本は苦慮 TPP法案、衆院通過も…」
  https://www.nikkei.com/article/DGKKZO30945100U8A520C1EE8000/

 

 

この「環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律案」は、昨年、国会で可決成立し、公布され、施行待ちのままになっていた、いわゆるTPP整備法(環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律)の施行日を、TPP11の発効にあわせ、改正しようとするものです。

この法律が成立すると、TPP11発効により、昨年のTPP整備法に関連する特許法の一部改正法が施行されることになります。

以下に両法律の施行にともなって行われることになる特許法の改正をまとめました。

不正競争防止法等の一部を改正する法律案 環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律案
① 特許料等の軽減措置を、全ての中小企業に拡充する。 (a) 発明の新規性喪失の例外期間の延長  
 (新規性喪失の例外期間を6月から1年に延長)
② 裁判所が書類提出命令を出すに際して非公開(インカメラ)で書類の必要性を判断できる手続を創設するとともに、技術専門家(専門委員)がインカメラ手続に関与できるようにする。 (b) 新しい特許権の存続期間の延長制度
 (出願後、審査に時間がかかった場合(出願から5年又は審査請求から3年)、特許権の存続期間(原則出願から20年)の延長ができる制度)
③ 判定制度の関係書類に営業秘密が記載されている場合、その閲覧を制限する。 (c) 商標の不正使用についての損害賠償に関する規定の導入
④ 発明の新規性喪失の例外期間の延長  
 (新規性喪失の例外期間を6月から1年に延長)
  - 
⑤ 特許料等のクレジットカード払いを認める。   - 
⑥ 最初に意匠出願した国への出願日を他の国でも出願日とすることができる制度について、必要書類のオンラインでの交換を認める。   - 
⑦ 商標出願手続を適正化する。   -
 施行日:
公布の日から起算して1年6月を超えない範囲内において政令で定める日
施行日:
環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定の発効日
 (いわゆる、TPP11の発効日)

両方の法律で、施行日の表現が異なっている点に、注意が必要そうです。
「不正競争防止法等の一部を改正する法律案」の方は、今後の施行規則等がどのようになるかによりますが、おそらく施行日は、来年の4月1日になるのではないでしょうか。ただし、クレジットカード払いなど一部の施行については前倒しになる可能性はあると思います。

もう一方の施行日は、TPP11の発効次第なので、予想つきにくい状況です。

なお、(法技術的な話ですが)、新規性喪失の例外期間を6月から1年に延長する改正点は、両法案に存在しますが、両法の「付則」で、施行が後になったものからは、改正部分が削除され、重複して改正法が適用される事態は回避されるよう手当がなされています。


(参考資料)
■ 「不正競争防止法等の一部を改正する法律案」
 (i) 経済産業省HP、「不正競争防止法等の一部を改正する法律案」が閣議決定されました」
 http://www.meti.go.jp/press/2017/02/20180227001/20180227001.html

 (ii) 衆議院HP(議案審議経過情報)、第196回国会 30 不正競争防止法等の一部を改正する法律案
 http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/keika/1DC8102.htm

 (iii) 不正競争防止法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議 (衆議院)
 http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_rchome.nsf/html/rchome/Futai/keizaiAF76CA71AB1868004925828F00081130.htm


■ 「環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律案」
 (i) 内閣官房HP, 「第196回 通常国会」
  「環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律案」の欄
 https://www.cas.go.jp/jp/houan/196.html

 (ii) 衆議院HP(議案審議経過情報)、第196回国会 62 環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律案
 http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/keika/1DC88BA.htm

 (iii)  首相官邸HP、TPP(環太平洋パートナーシップ)協定
 https://www.kantei.go.jp/jp/headline/tpp2015.html
 
 (iv)  本ブログの過去の関連エントリー
 2017年1月19日 (木) 特許法・特許法施行規則・手数料令の改正(TPP整備法関連)
 http://blog.patent-pvp.com/pvp/2017/01/index.html#entry-86720716


以上


2018年3月24日 (土)

この4月からの法改正・制度実施等のまとめ(3月下旬も含む)

この2018年4月から改正や施行・実施される、法律や規則、制度等(特許や品種登録関連の実務上、影響しそうなもの)を、まとめてみました。 (備忘用のメモです)。

TPPの発効を前提とした、TPP関連の特許法等の改正法が、米国のTPPへの事実上の不参加表明(現時点で)のため、棚上げになっていますので、特許法関連では、この4月には大きな改正はありません。とはいえ、小さな(?)変更等はありますので下記で確認しておきたいと思います。

Sakura201803
(先日、東京も開化宣言がありソメイヨシノが咲き始めました、2018.3.24撮影)


(1) 特許法関連
 (i) 特許法施行規則等の一部改正

  → 特許料について減免申請する場合の手続が一部、簡素化される。
 具体的には、第4年分から第10年分までの特許料を別に納付する場合は、その都度、減免の申請書を作成しなければならなかったところが、改正により、一度減免が認められた者については、以後減免の申請がなくとも第10年分までの特許料については自動的に減免を行うことができるようになる。

 <特許法施行規則等の一部を改正する省令について> (2018.3.28追記)
 https://www.jpo.go.jp/torikumi/kaisei/kaisei2/tokkyohou_300326.htm

 <特許料の減免申請手続の改正(平成30年4月1日施行)に関するお知らせ>
 https://www.jpo.go.jp/tetuzuki/ryoukin/genmen_kaisei.htm

 <「特許法施行規則等の一部を改正する命令案」に対する意見募集について>
 https://www.jpo.go.jp/iken/171113_houkaisei.htm

20180401genmem_2
   (出典:特許庁HP)


 (ii) 中小ベンチャー企業、小規模企業を対象とした審査請求料・特許料の軽減措置(1/3に軽減)が平成30年(2018年)3月31日で終了。

平成30年4月1日以降に特許の審査請求をした場合は、上記軽減措置は受けられなくなる。

ただし、特許法、産業技術力強化法等の他の法律に基づく軽減措置の軽減の要件を満たす者であれば、「審査請求料」、「特許料(1~10年分)」が1/2となりうる。また、平成26年4月1日から平成30年3月31日までに特許の審査請求を行った案件については、特許料の納付が平成30年4月1日以降であっても、軽減の要件を満たす者の場合は「特許料(1~10年分)」を1/3とする軽減措置を利用することができる。

中小ベンチャー企業、小規模企業を対象とした審査請求料・特許料の軽減措置について
https://www.jpo.go.jp/tetuzuki/ryoukin/chusho_keigen.htm

中小ベンチャー企業、小規模企業を対象とした特許料等の軽減措置及び国際出願促進交付金の平成30年4月1日以降の取り扱いについて
https://www.jpo.go.jp/tetuzuki/ryoukin/chusho_keigen-fromh300401.htm


 (iii) PCT国際出願関係手数料の一部改定 
(2018年4月1日)
   → 欧州特許庁が国際調査を行う場合の調査手数料が改定。
   http://www.jpo.go.jp/tetuzuki/t_tokkyo/kokusai/pct_tesuukaitei.htm



(2) 種苗法関連
 (a) 種苗法施行規則の一部改正  (公布日: 2018年03月23日)

  →(改正のポイント)
  (a-i) 植物について定める区分の追加等(規則別表第一関連)
       出願品種の属する植物の種類の追加(規則別表第二関連)
  (a-ii) 農業者の自家増殖に関し育成者の効力が及ぶ植物の種類の追加等(規則別表第三関連)
   → 植物を新たに定める(他)
  (a-iii) 品種登録出願及び登録料納付に係る電子申請システムの導入に伴う改正

 <種苗法施行規則の一部を改正する省令>
(省令案)
http://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000165980

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=550002580&Mode=2

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=550002580&Mode=0&fromPCMMSTDETAIL=true


 (b) 
苗法第2条第7項の規定に基づく重要な形質を定める件の一部の改正  (公布日: 2018年03月23日)
→(改正のポイント)
 「重要な形質」の追加(新設)、改正

 <種苗法第2条第7項の規定に基づく重要な形質を定める件の一部を改正する告示>
 (告示案)
http://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000165983

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=550002581&Mode=2
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=550002581&Mode=0&fromPCMMSTDETAIL=true


 (c) 電子手続の受付開始 ~ 2018年3月26日からの予定

 <品種登録電子出願システム(マニュアル、利用規約等)>
http://www.hinshu2.maff.go.jp/info/yousiki/denshi/idpw01.html



(3) その他
・主要農作物種子法(いわゆる「種子法」)の廃止

  (注: 種苗法とは全く別の法律です)

主要農作物種子法を廃止する法律の施行(2018年4月1日)により、「主要農作物種子法」が廃止されます。

主要農作物種子法では、稲・麦・大豆の優良な種子の安定的な生産や普及を、国や都道府県が責任をもつとされており、国や都道府県が育成した品種でなければ、奨励品種とはなることは事実上困難で、奨励品種になれないと農家への普及等は実質期待できないものでした。
このため、稲等の民間企業による新品種の開発はこれまで、新品種の育成はされても結局、普及は期待できず、ビジネスとしてほぼ成立しえなかったため、結局、民間企業による稲の品種開発はあまり進みませんでした。
(10年ほど前にイネの全ゲノム解読の後、ゲノム育種による国内民間企業、ベンチャーによる稲の新品種の育種が盛り上がった時期がありますが、結局、民間開発の品種は「奨励品種」になれないことが壁となり、その後は、民間企業のプロジェクトやベンチャーについては、死屍累々となりました)。

主要農作物種子法の廃止により、民間企業による稲・麦・大豆での、新品種の開発等が期待されているようです。因みにこの廃止には、海外の種子メジャーによる国内種子の独占などを心配する向きもあるようです。

国内民間企業等の品種開発促進を主眼に「廃止」を考えるのであれば、正直、その判断は、遅きに失した(10年遅れた)のでは、と思います。「廃止」となったからには、民間を含む国内での優れた品種の開発がされていくことを期待したいです。

<主要農作物種子法を廃止する法律案の概要>
http://www.maff.go.jp/j/law/bill/193/attach/pdf/index-13.pdf

以上

2017年1月19日 (木)

特許法・特許法施行規則・手数料令の改正(TPP整備法関連)

環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律(以下「TPP整備法」)が、2016年12月9日に(第192回国会にて)可決・成立し、12月16日に法律第108号として公布されています。また、それに関連する法整備として、特許法施行令及び特許法等関係手数料令について改正するための政令が、閣議決定され、2017年1月17日付けで経済産業省HPにて公表されています。

(参考)
2016年12月28日 (特許庁)
環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律(平成28年12月16日法律第108号)
http://www.jpo.go.jp/torikumi/kaisei/kaisei2/tpp_houritu_seibi_h281228.htm

2017年1月17日 (経済産業省)
特許法施行令及び特許法等関係手数料令の一部を改正する政令が閣議決定されました
http://www.meti.go.jp/press/2016/01/20170117002/20170117002.html

内閣官房 - TPP政府対策本部
http://www.cas.go.jp/jp/tpp/torikumi/index.html#seibihouan

TPP整備法については、昨年3月の時点で法案が公表されていましたのでご存じの方も多いと思いますが、備忘のため、下記に簡単にまとめておきます。



[TPP整備法による特許法等の改正の概要]

TPP整備法は、TPPの締結に伴ってそれを的確に実施するため、特許権の存続期間の延長制度の整備等を内容とする特許法や商標法等の一部改正を含む、関連する国内法の規定の整備を一体的に行うものです。このため、このTPP整備法案により、関連する特許法、商標法、著作権法などの規定が改正がなされることになります。


(1)特許法の改正内容

(i) 発明の新規性喪失の例外期間の延長

 特許出願をする前に、特許を受ける権利を有する者が発明を公開した場合、現行法では、発明を公開した日から「6ヶ月」以内に(所定の手続をととって)特許出願することにより、公開に伴う新規性喪失を例外として扱って救済を受けることが可能です(特許法30条)。
 今回の改正では、この例外の期間が現行の6ヵ月から「1年」に延長されます。

30jou1year

(出典: http://www.cas.go.jp/jp/houan/160308/siryou1.pdf)


(ii) 特許権の存続期間の延長制度の整備

 特許権の存続期間は、原則、特許出願の日から20年間であり、医薬品や農薬のような例外を除いては、この期間は延長されません。
 一方で、特許権の存続期間は出願日からの計算されるため、出願から審査を経て特許として登録されるまでの間で、審査等に時間がかかった場合、その分の権利期間が短くなるといえます。
 今回のTPP整備法では、一定の基準以上、審査等に時間がかかった場合には、それに要した期間について、特許権の存続期間の延長を可能とするものです。

 ここでいう一定の基準となるものとしては、
「特許出願の日から5年を経過した日又は出願審査の請求のあった日から3年を経過した日のいずれか遅い日以後に特許権の設定登録があった場合」には、その期間(ただし、出願人の責めに帰する期間、審判・裁判に関する期間等は除外する)について、特許権の存続期間を延長することができるようになります。

 ただし、米国特許制度にある特許期間調整制度(Patent Term Adjustment(PTA))ように自動で計算して(無料で)適用しれくれるのではなく、下記のような手続や制約があります。

 ・特許権者自らが、特許権の設定登録の日から3月以内に延長登録出願を行う必要がある(自動的に計算されて延長されるのではない)、

 ・延長登録出願する際には、特許権者(延長出願の出願人)が、延長が見込まれる期間を自分で計算する必要があり、またその期間が適切か否かについて、審査がされ、場合によっては拒絶理由通知の発行、手続補正書・意見書提出が必要となる、

 ・延長登録出願は無料ではなく、印紙代(43600円)がかかる(改正手数料令参照) など。

Enchopta
(出典: http://www.cas.go.jp/jp/houan/160308/siryou1.pdf)


(2)商標法の改正内容

商標の不正使用についての損害賠償に関する規定(詳細は省略)。


(3)施行日

・TPP整備法(特許法の改正等):  TPPが日本について効力を生ずる日

・特許法施行規則・手数料令:  TPP整備法の施行の日


[コメント]

・明日1月20日に、米国で新大統領(トランプ大統領)の就任式がありますが、新大統領はTPPについて否定的な立場を既にとっていますので、TPP自体は発効しない可能性が非常に高くなっています。TPPが発効しなければ、(上記の施行日の条件のとおり)、上記の改正法も施行されず(当然、施行令等も施行されません)、何も無かったことになります。

・したがって、現時点では、実際に、日本で特許法等の改正が行われるか否かは、米国の新大統領の胸三寸、というなんだか不思議な状況になっています。

・ただし、TPPが発効しなかった場合でも、上記の特許法の改正内容は、TPPの交渉段階で米国からの要望で入った内容といえそうですので、将来的に、TPPの代わりに日米でのFTA交渉があれば、これらの内容について特許法の改正が求められる可能性は十分あると予想されます(実際、米国と二国間のFTAを結んでいる韓国では新規性喪失例外の期間が1年になる等の改正が既に行われています)。

・改正法の内容についての個人的な感想(コメント)としては、新規性喪失例外の適用については、猶予期間(グレースピリオド)が「1年」となるは良い方向性だと思います。ユーザーにとっては利便性が大幅に良くなると思います。
 一方、新たな存続期間の延長登録制度については、これはちょっと、出願人(特許権者)にとっては、あんまりな(酷い)制度なのではないでしょうか。

・つまり、特許庁側の理由で、審査が遅延して延長する必要がでてくるのに、特許権者側が、お金を払って、期間も計算して、出願手続をとって、さらに審査手続に対応しなければならないなど、特許権者側の負担があまりに大きく、バランスを欠いていると思います。

・現行の審査に要している期間を考えれば、実際に、この延長登録制度を利用する場合はあまり無いのかもしれませんが、それでも、利用することになった場合には、金銭的・手続的負担増は、多大です。
 意地悪な見方をすれば、特許庁としては、審査を遅らせた方が、延長登録制度の利用が増えて(仕事が増えて)、印紙代が「儲かる」という見方さえできてしまいます。 (そういったことは意図していないとは思いますが。。)

・審査遅延による期間の救済については、米国の特許期間調整制度(Patent Term Adjustment)にならった制度(延長期間を自動的に計算し適用してくれる)の方が、ユーザーフレンドリーであり、望ましい様に思います。

以上

2016年4月24日 (日)

【品種登録】 「職務育成品種」と、改正「職務発明」


種苗法上の「職務育成品種」と、このたび改正された特許法上の「職務発明」とについて考えてみたいと思います。

(昨年中より、この問題は相談を含め、いろいろ話が出ていたところですが、改正特許法も施行されましたので、このブログにも記録をかねて残しておきたいと思います)。

201604syurohana_2

棕櫚(シュロ)の木に花が咲いているのをみつけました。


種苗法には、「職務育成品種」についての規定があります(種苗法第8条)。すなわち、職務上、従業者としての育成者が育成した品種の帰属について定めたものです。

下記の種苗法の条文から分かりますように、従来の特許法上の職務発明制度を踏襲して、基本的な考え方として、職務育成品種については、原始的に、育成者に帰属することになっています。
 

----------------------------------------------
種苗法/(職務育成品種)

第8条

 従業者、法人の業務を執行する役員又は国若しくは地方公共団体の公務員(以下「従業者等」という。)が育成をした品種については、その育成がその性質上使用者、法人又は国若しくは地方公共団体(以下「使用者等」という。)の業務の範囲に属し、かつ、その育成をするに至った行為が従業者等の職務に属する品種(以下「職務育成品種」という。)である場合を除き、あらかじめ使用者等が品種登録出願をすること、従業者等がした品種登録出願の出願者の名義を使用者等に変更すること又は従業者等が品種登録を受けた場合には使用者等に育成者権を承継させ若しくは使用者等のため専用利用権を設定することを定めた契約、勤務規則その他の定めの条項は、無効とする。 


2  従業者等は、契約、勤務規則その他の定めにより、職務育成品種について、使用者等が品種登録出願をしたとき、従業者等がした品種登録出願の出願者の名義を使用者等に変更したとき、又は従業者等が品種登録を受けた場合において使用者等に育成者権を承継させ若しくは使用者等のため専用利用権を設定したときは、使用者等に対し、その職務育成品種により使用者等が受けるべき利益の額及びその職務育成品種の育成がされるについて使用者等が貢献した程度を考慮して定められる対価の支払を請求することができる。


3  使用者等又はその一般承継人は、従業者等又はその承継人が職務育成品種について品種登録を受けたときは、その育成者権について通常利用権を有する。

----------------------------------------------
 

一方で、今回の特許法の改正(平成28年4月1日施行)では、職務発明制度についても大幅な改正がなされました。一番の重要な改正は、従業者等がした職務発明について、一定の条件のもとで、特許を受ける権利を、発生時から使用者等に帰属させることが可能となった点です。

なお、この4月22日に、職務発明に関するガイドライン(新設の特許法35条6項に規定)も公表されました。
    ● 特許法第35条第6項の指針(ガイドライン)
              http://www.jpo.go.jp/seido/shokumu/shokumu_guideline.htm

 
このため、職務発明では、一定の条件のもと、(特許を受ける権利を)原始的に使用者に帰属させることが可能になった一方で、職務育成品種については、従来どおり、(育成者権を受ける権利は)原始的に、育成者に帰属することになります。

つまり、職務発明と職務育成品種では、取扱いが
(原始的に権利を取得する主体が)全く異なることが起こり得ます。

例えば、今回の特許法改正にあわせて職務育成規定を大幅に変更した場合に、職務育成品種についても、そのまま同じように変更してしまうと、種苗法に反する場合が生ずることになりますので、注意が必要です。

 
社内規定で、職務発明と、職務育成の両方を定めなければならない場合には、それぞれ別々の規定(社内制度)を設ける必要があるかもしれません。つまり、職務発明については、今回の改正特許法とガイドラインにそった規定を設ける(改訂する)一方、職務育成品種については、従来の職務発明等の制度にならった規定を維持する必要があるかもしれません。企業によって状況やそれへの対応はいろいろだとは思いますのが、確認は必要だと思います。


最期に参考として、これまでの職務発明規定(特許法35条)の条文改正の変遷をまとめました。

下記をみてもわかりますが、現状の種苗法8条は、特許法でいうところの昭和34年法を踏襲した状態で止まっており、特許法では職務発明訴訟の乱訴のような問題に対してその後手当された改正(例えば、平成16年改正)もされていません。従業者と使用者との関係は、発明と育種とでは、いろいろ違いはあるのかもしれませんが、現在の種苗法8条は、そのような検討もされることなく、(古い特許法に倣ったままで)単に放置されているように見えます。

農水省の方からは、今回の特許法改正に関連して、職務育成品種に関する制度(種苗法8条)を改正しようという動きは、(管理人の知る限り)今のところ聞こえてきません。

種苗法8条(職務育成品種の規定)についても
、特許法での改正(職務発明制度の改正)の状況や経緯からすれば、改正の検討が必要な段階にきているのではないでしょうか。

 

Shokumuhatumeihikaku


 
<参考>
下記の農水省の検討会で、平成16年特許法改正後に、職務育成品種の改正について検討がされたようですが、このときは、現状維持との判断で落ち着いているようです。

●第4回  植物新品種の保護に関する研究会議事概要
http://www.maff.go.jp/j/study/other/sinsyu_hogo/pdf/kenkyu_gaiyou04.pdf

 
以上

2016年4月19日 (火)

4月になりました(法改正などまとめ)

4月、新年度になり、早くも半月が過ぎてしまいました。

201604sakurabotan

(今年の桜(既に散りましたが)と、左は先日みた牡丹の花です)


今年(平成28年、2016年)の4月1日は、特許法等の法改正やそれに伴う政省令の改正、審査基準の一部改訂(とその運用開始)など、いろいろ実務的に影響の大きな変更が多くあります。

すでに少し旧聞となりつつありますが、実務的には重要なので、備忘をかねてこれらの事項をまとめておきます。


● 特許法改正(平成27年改正関連)


(1)職務発明制度の見直し


  ・原始法人帰属が可能となった。
  → 従業者等がした職務発明について、契約等においてあらかじめ使用者等に特許を受ける権利を取得させることを定めたときは、特許を受ける権利は発生時から使用者等に帰属する

  ・「相当の対価」の条文上の文言が、「相当の金銭その他の経済上の利益」(「相当の利益」)に変更
  → 金銭に限定せず金銭以外の経済上の利益を与えることも含まれるようにするため

  ・法的予見可能性の向上
   → ガイドラインの策定

  <参考>
    ● 職務発明制度の概要
     http://www.jpo.go.jp/seido/shokumu/shokumu.htm

    ● 改正特許法第35条第6項の指針(ガイドライン)案の概要
     https://www.jpo.go.jp/torikumi/ibento/ibento2/pdf/h27_tokkyo_setsumeikai/35_6_gaiyou.pdf



(2) 特許料等の改定

  ・特許出願手数料 (外国語書面出願手数料や国内書面(特許法184条の5)の手数料も同じ)の引き下げ
  (例: 特許出願手数料  15000円から14000円に引き下げ)
  (なお、特許出願手数料等は政令(手数料令)改正に基づくが、特許料等の他の改訂は法改正に基づく)

  ・特許料,商標登録料(更新登録料)の引き下げ

  ・国際出願に係る料金(国際調査手数料等)(言語により区別する)改訂

  <参考>
    ● 平成27年特許法等改正に伴う料金改定(平成28年4月1日施行)のお知らせ
    https://www.jpo.go.jp/tetuzuki/ryoukin/fy27_ryoukinkaitei.htm
    ●産業財産権関係料金一覧(2016年4月1日時点)
    http://www.jpo.go.jp/tetuzuki/ryoukin/hyou.htm#sinpan

    ●特許法等の一部を改正する法律(平成27年7月10日法律第55号)
    https://www.jpo.go.jp/torikumi/kaisei/kaisei2/tokkyohoutou_kaiei_270710.htm
    ●特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備及び経過措置に関 する政令
    http://www.meti.go.jp/press/2015/01/20160119001/20160119001.htm
l


(3) 特許法条約(PLT)及びシンガポール条約の実施のための規定の整備


 (i) 指定期間の延長(特許法5条3項の新設等)


   > 拒絶理由通知の応答期間内の延長請求(審査段階)

    → 国内居住者であっても合理的な理由を要すること無く延期可能(2ヵ月、在外者はさらに請求により1ヵ月の延期可)

   > 拒絶理由通知の応答期間経過後の延長請求(審査段階)
 
   → 応答期間が過ぎた後(2ヵ月以内)であれば、請求により2ヵ月の延期が認められる(但し、期間内に請求した場合より、料金が大幅に高額となる)

   > 審判段階(前置審査も含む)での拒絶理由通知の応答期間の延長請求は従来通り
    → 審判段階では、審査段階と異なり、従来どおり延期に理由を要する。延期請求の期間も従来どおり

   > 指定期間でも特許庁長官による指定期間は対象外
     → 対象外のもの:
      特許権の存続期間延長登録出願、特許異議の申立、審判、再審、判定の請求に係る手続に関するもの 

  <参考>
    ●特許出願及び商標登録出願における拒絶理由通知の応答期間の延長に関する運用の変更について(平成28年4月1日開始)
    https://www.jpo.go.jp/torikumi/t_torikumi/kyozetu_entyou_160401.htm

    ●拒絶査定不服審判請求後の拒絶理由通知に対する応答期間について(運用に変更はありません)
    https://www.jpo.go.jp/tetuzuki/sinpan/sinpan2/kyozetsu_riyu_oubo_kikan.htm

 
 (ii) 外国語書面出願に係る言語、外国語書面出願の翻訳文の提出期間変更と提出期間経過後の通知(特許法36条の2第2、3、4項)

    → 外国語書面出願に係る言語は、「英語」に限らず、他の外国語でも、許容されることとなった。
     (●実務的には、英語以外の外国語に基づくPCT出願から分割出願をするとき、英語以外の外国語による分割出願(外国語書面出願)をする際に利用価値があるかもしれない。)


    → 翻訳文の提出期間が1年2月以内から、1年4月以内に拡大された。

    → さらに、外国語書面出願の翻訳文が提出されなかったときは通知が送付され、通知の日から2月以内であれば(理由の如何をとわず)翻訳文提出が可能となった。


 (iii) 特許出願の日の認定(特許法38条の2の新設)


    → 特許出願のための下記の3つの条件のいずれにも該当しない場合、出願日が認定されるようになった。

     1) 特許を受けようとする旨の表示が明確でないと認められるとき。
     2) 特許出願人の氏名若しくは名称の記載がなく、又はその記載が特許出願人を特定できる程度に明確でないと認められるとき。
     3) 明細書が添付されていないとき。


 (iv) 先願参照出願(特許法38条の3の新設)


    → 明細書の添付がなくても、一定の条件の下、先の特許出願を参照して特許出願が認められるようになる(出願日が認定される)。


 (v) 明細書又は図面の一部が欠落している場合の補完(特許法38条の4関係)

    → 出願日は繰り下がるものの、出願日後に新規事項を含むような補完が可能になった。


 (vi) 優先権証明書の提出期間経過後の通知(特許法43条関連)


    → 優先日から1年4月以内に優先権証明書の提出がなかった時は、出願人に特許庁から通知がなされ、その通知から2ヵ月以内であれば提出が可能となった。


(4) PCT国際段階(受理官庁JPO)でのオンラインで手続可能な書面の拡大


    → PCT国際出願の一部の書類が電子化され、オンラインで提出が可能となった。

       (↑●34条の補正書等は含まれていないことに注意!)


  <参考>
    ●オンライン提出可能な手続と納付方法の拡大について
    https://www.jpo.go.jp/seido/s_tokkyo/160401_online_kakudai.htm



(5) 特許・実用新案審査基準の一部改訂とその運用開始
   ~ 「食品の用途発明に関する審査基準」、「特許法条約への加入等を目的とした特許法等の法令改正に伴う審査基準」、「特許権の存続期間の延長登録出願に関する審査基準」、
及び 関連する審査ハンドブックの改訂

   > 「食品の用途発明に関する審査基準」

     → 食品における用途発明を認めることとする改訂  (←●従来の方針とは180度の変更!)


    > 「特許法条約への加入等を目的とした特許法等の法令改正に伴う審査基準」

    → 「先願参照出願」の制度導入に伴う審査基準の整備
      「外国語書面出願」における改正に伴う改訂  など



    > 「特許権の存続期間の延長登録出願に関する審査基準」

    → 最高裁判決(最三小判平成27年11月17日(平成26年(行ヒ)356号))(いわゆる、アバスチン(ベバシズマブ)事件)に伴う改訂
      本件処分と先行処分との関係の最高裁判決に基づく明確化 (←●より細分化され明記された)
                
      審査基準において、「実質的同一性に直接関わることとなる審査事項」について、
      最高裁判決に倣い、例示された(明確化?)   、他


    → 「包含の定義」 / 願書の記載事項の明確化(従来実務の追認)

  <参考>
    ●「特許・実用新案審査基準」改訂案に対する意見募集   (←●審査基準の新旧対照表あり)
    https://www.jpo.go.jp/iken/160210_shinsa_kaitei.htm


    ●産業構造審議会 知的財産分科会 特許制度小委員会 第8回 審査基準専門委員会ワーキンググループ

    http://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/shingikai/new_shinsakijyun08_shiryou.htm
          → 食品については、資料1
          → 延長登録制度については、資料3

    ●「食品の用途発明に関する審査基準」、「特許法条約への加入等を目的とした特許法等の法令改正に伴う審査基準」、「特許権の存続期間の延長登録出願に関する審査基準」の改訂について
    https://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/h2803_kaitei.htm

    ●特許・実用新案審査基準-審査基準の追加・改訂について
    https://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/pu-kijun_kaitei_h27.htm

    ●特許・実用新案審査ハンドブック-審査ハンドブックの追加・改訂について
    https://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/handbook_shinsa_tsuika_kaitei.htm

以上

2015年3月13日 (金)

特許法等と、不競法の改正法案が、閣議決定

「特許法等の一部を改正する法律案」と、「不正競争防止法の一部を改正する法律案」が、今日(3月13日)閣議決定されたとのことです。
それぞれの法律案は、第189回通常国会に提出されることになりました。


[A] 「特許法等の一部を改正する法律案」

(1) 職務発明制度の見直し 【特許法】
 ①契約、勤務規則その他の定めにおいてあらかじめ使用者等に特許を受ける権利を取得させることを定めたときは、その特許を受ける権利は、その発生した時から使用者等に帰属するものとする。
 ②従業者等は、特許を受ける権利等を取得等させた場合には、相当の金銭その他の経済上の利益を受ける権利を有するものとする。
 ③経済産業大臣が、相当の金銭その他の経済上の利益の内容を決定するための手続に関する指針を定める。

(2) 特許料等の改定 【特許法、商標法、国際出願法】
 ① 特許料について特許権の設定登録以降の各年において、10%程度引き下げる。
 ② 商標の登録料を25%程度、更新登録料について20%程度引き下げる。
 ③ 特許協力条約に基づく国際出願に係る調査等について、明細書及び請求の 範囲が日本語又は外国語で作成されている場合に応じ、それぞれ手数料の上限額を定める。

(3) 特許法条約及び商標法に関するシンガポール条約の実施のための規定の整備【特許法、商標法】
 両条約に加入すべく、 国内法における所要の規定の整備を行う。
 ・特許法
 外国語書面等の翻訳文を所定の期間内に提出することができなかったときは、特許庁長官が通知をするとともに、その期間が経過した後であっても、一定の期間内に限りその翻訳文を提出することを可能にする等。
 ・商標法
 出願時の特例の適用を受けるための証明書を所定の期間内に提出することができなかったときは、その期間が経過した後であっても、一定の期間内に限りその証明書を提出することを可能にする等。


[B] 「不正競争防止法の一部を改正する法律案」

(1) 営業秘密侵害行為に対する抑止力の向上
 ① 罰金額の引上げ及び犯罪収益の没収等の措置を講じる。
   我が国企業の営業秘密を海外で使用し、又はそれを目的として営業秘密を取得・漏えいする行為については、海外重課を行う。(刑事)
 ② 営業秘密侵害罪を非親告罪とする。(刑事)
 ③ 民事訴訟(賠償請求等)における原告の立証負担を軽減するため、被告による営業秘密の使用を推定する規定等を創設する。(民事)
 ④ 営業秘密侵害品の譲渡・輸出入等を禁止し、差止め等の対象とする(民事)とともに、刑事罰の対象とする。(刑事)

(2) 営業秘密侵害罪の処罰範囲の整備
 ① 不正開示が介在したことを知って営業秘密を取得し、転売等を行う者を処罰対象に追加する。
 ② 営業秘密の海外における取得行為(※)を処罰対象に追加する。
 ※例:海外サーバーに保管されている我が国企業の管理する営業秘密の取得行為等。
 ③ 営業秘密侵害の未遂行為を処罰対象に追加する。


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●経済産業省ニュースリリース、2015年3月13日
 「特許法等の一部を改正する法律案」が閣議決定されました
 http://www.meti.go.jp/press/2014/03/20150313001/20150313001.html

●経済産業省ニュースリリース、2015年3月13日
 「不正競争防止法の一部を改正する法律案」が閣議決定されました
 http://www.meti.go.jp/press/2014/03/20150313002/20150313002.html

●日経新聞朝刊、2015/3/16 (加筆3/16)
 「改正案のポイントは」
(記事抜粋)
 経済産業省が国会に提出した不正競争防止法改正案は罰則を大幅に強化した。現行法は秘密を盗んだり流したりした個人への罰金は最高1千万円。これに対し、改正案は・・・・など海外への流出防止に主眼を置いた。
 現行法は秘密が盗まれる場所を国内に限定しており、海外は想定していない。改正案では、海外での秘密の不正取得も刑事罰の対象とした。・・・・・。盗んだ秘密を利用して得た利益を没収する制度も新設する。
 未遂に対して、新たに刑事罰を科すことも大きなポイントだ。・・・・。法改正後は秘密を不正に取得しようとコンピューターウイルスを送ったり、不正アクセスしたりしただけでも罰則が科される可能性がある。 このほか、・・・・「非親告罪化」や、民事訴訟で原告側の立証責任を軽くするなど法改正の内容は多岐にわたる。・・・・。


以上

2015年2月27日 (金)

特許微生物寄託(日本-台湾間の手続が大幅に簡素化)-でも未だ実施されず

 日本から台湾へ、及び、台湾から日本への、特許微生物寄託が必要な特許出願の手続きに際して寄託関連の手続が、大幅に簡素化されることが予定されています

 既に特許庁のHPでも公表されているように、特許微生物寄託に関連する特許法施行規則の規定が改正され*1、また審査基準(「生物関連発明」の審査基準)が改訂され*2、施行規則の施行日と改正審査基準の適用はいずれも、平成27年1月1日からとなっています。これらの改正によって、台湾から日本への出願がされた場合の特許微生物寄託の手続きの簡素化が見込まれていました(日本から台湾への出願も、相互主義の考えに基づき(後述するように覚書が最近交わされています)、同様に適用される予定でした)

 ところが、今日現在まだ、日本-台湾間の特許微生物寄託手続の簡素化は、実際には未だおこなわれておらず、表面的には動きが止まってしまっているようです

 すなわち、特許法施行規則の改正、審査基準の改訂に加えて、特許微生物寄託の寄託機関における実際の運用などを定めた「特許微生物寄託等事業実施要綱の一部を改正する告示」(案)が一旦パブリックコメントを募集して、告示の公表のため手続きが進められていましたが、意見募集の結果(2015/1/10公表)、「本件に係る告示案について内容を見直し、改めて意見公募手続をすることとし、本意見公募に基づいて告示を定めないこととしました」として、仕切り直しが表明されて以降、特許庁での動きがとまってしまっています*3


*1
 特許庁ニースリリース、平成26年8月12日
 特許法施行規則の一部を改正する省令(平成26年8月12日経済産業省令第40号)
 
http://www.jpo.go.jp/torikumi/kaisei/kaisei2/tokkyohou_260812.htm

*2 特許庁ニースリリース、平成26年11月19日
 「生物関連発明」の審査基準の改訂について

 
http://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/h26_seibutsu_kaitei.htm
(改訂のポイント)
「特許法施行規則第27条の2第1項の改正に伴い、条文を引用している箇所について、改正後の条文に更新するとともに、改正により新たに規定された寄託機関である「条約の締約国に該当しない国(日本国民に対し、特許手続上の微生物の寄託に関して日本国と同一の条件による手続を認めることとしているものであつて、特許庁長官が指定するものに限る。)が行う機関指定に相当する指定その他の証明を受けた機関」を特許手続上の寄託機関として追加する。」

*3 http://www.jpo.go.jp/iken/biseibutsu_141107_kekka.htm
「特許微生物寄託等事業実施要綱(平成十四年経済産業省告示第二百九十一号)の一部を改正する告示案に対する意見公募の結果について」(2015/1/10)


また、改正施行規則や改正審査基準で新たに対象に加えたい、締約国に該当しない国の機関(「条約の締約国に該当しない国(日本国民に対し、特許手続上の微生物の寄託に関して日本国と同一の条件による手続を認めることとしているものであつて、特許庁長官が指定するものに限る。)が行う機関指定に相当する指定その他の証明を受けた機関」)についても、特許庁長官による国等の指定についても、未だに、何ら公表等されていません*4


*4 今回の改正により手続きの簡素化を図ろうと考える国・地域は、特許庁の改正の説明等には具体的には記載されておりませんが、これまでの経緯や、後述する台湾との覚書締結の進捗からみて、「台湾」を第一のターゲットにしていることは明らかです。

  なお、上記は、台湾から日本へ出願をした場合に関連する日本国内での寄託手続に関するものですが、その裏返しである、日本から台湾へ出願した際の台湾での寄託手続きについては、当然、台湾での法律に基づくものになりますが、これに関して、今回の日本国内の改正に合わせるように、日本-台湾間で「日台特許手続微生物寄託覚書」が交わされています*5


*5
 「公益財団法人交流協会と亜東関係協会との間の特許手続上の微生物の寄託の分野における相互協力に関する覚書」(略称「日台特許手続微生物寄託覚書」) 2014年 11月 20日作成
http://www.koryu.or.jp/taipei/ez3_contents.nsf/v04/787A326B12A80D0449257D9500303326

(抜粋)
1.11月20日、日本と台湾との特許手続上の微生物の寄託の分野における相互協力に関し、公益財団法人交流協会と亜東関係協会との間で標記覚書を交わし、以下の合意がなされましたのでお知らせいたします。

2.台湾は我が国にとって緊密な経済関係を有するパートナーであり、その基礎となる知的財産分野においても、密接な関係を有しています。本覚書は、これまで日台双方において出願人が行うことが必要であった手続の負担を軽減するものであり、これにより、経済面での日台間の実務交流が一層促進されることが期待されます。

(主要合意事項)
1. 基本的性質
交流協会と亜東関係協会は、日台双方の出願人の相手方区域における特許権の取得に関する手続負担を軽減するため、覚書に規定された内容について、必要な関係当局の同意が得られるように相互に協力する。

2.  規定内容
(1)上記協力の対象は、特許手続における微生物寄託の相互承認。
(2)主な内容
 出願人が相手側の寄託機関に寄託を行う手続負担を軽減するために、日台双方がそれぞれ指定する微生物寄託機関への寄託を相互に承認すること。


 因みに従来は(結果的には今現在も)、「日本から台湾へ」の特許出願の場合も、またその逆の「台湾から日本へ」の特許出願の場合も、(ブダペスト条約の適用外なので)特許微生物寄託の手続における原則的な取扱いとなるため、実際に、相手国の寄託当局宛に寄託する微生物(生物)を送って、現地で微生物寄託をしたことの証明書(受託証)を取得し、それを特許出願に際して提出しなければなりません。

 特許微生物寄託の手続きの世界では、ブダペスト条約(『特許手続上の微生物の寄託の国際承認に関するブダペスト条約』)というものがあります。

ブダペスト条約の加盟国であれば、自国の寄託機関で寄託(国際寄託)をしておくことで、自国でした寄託手続を相手国の審査の際に承認してもらえることになるため、その国で別途あらためて寄託手続をする必要はありません。

 しかし、台湾のようにブダペスト条約の枠外の国・地域については、その国へ、微生物寄託を伴う特許出願をしようとする場合、(基本的には)その国での特許出願前までに、その国に実際に微生物を送って、その国の寄託機関に提出して寄託手続を行い、その国で寄託の証明書(寄託機関の受託証)を取得する必要があります。

  例えば、従来は、たとえ日本国内の寄託機関に寄託をして受託証を取得していたとしても、日本出願を基礎として台湾で特許出願をするに場合には、日本から台湾に微生物の現物を送り、台湾の寄託当局に微生物を実際に寄託する手続をし、そこで受託証を取得して、それを台湾の特許当局に提出する必要がありました。

 ところが、今回の手続の簡素化が実際に図られると、この相手国(例えば台湾)での寄託を行う必要がなくなり、日本の寄託機関に対する手続のみで済ますことができるようになります。微生物の実物を現地に送らなければならないという問題を回避できますので、出願人にとっては大幅な負担軽減につながります。このため、簡素化は非情に期待されているといえます。

 いずれにしても、早く、手続の簡素化を実施してほしいです。


(参考)
ブダペスト条約(日本語訳)

http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/fips/budapest/bt/mokuji.htm

ブダペスト条約(英語)
Treaties and Contracting Parties: Budapest Treaty(WIPO)

http://www.wipo.int/treaties/en/registration/budapest/index.html

特許微生物寄託センター(NPMD)
http://www.nite.go.jp/nbrc/patent/ida/npmd.html

以上

2015年2月 2日 (月)

平成26年改正の「次」の特許法等の改正

 特許法の改正の施行が今年の4月1日されますが、特許庁の産構審(産業構造審議会)の特許制度小委員会では、さらに次の改正が議論されておおよその方針が固まったようです。
 下記の小委員会の報告書に挙げられていますので、備忘のため、項目と内容の抜粋を残します。

我が国のイノベーション促進及び国際的な制度調和のための知的財産制度の見直しに向けて-知的財産分科会特許制度小委員会-
http://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/shingikai/newtokkyo_shiryou10.htm
http://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/toushintou/innovation_patent.htm


<検討された項目>

 1.職務発明制度の見直し
 2.特許料金等の改定
 3.特許法条約及び商標法に関するシンガポール条約の加入に向けての改正




<報告書のポイントの抜粋>
  * 以下の下線や強調文字は、管理人による
  -詳細は、上記URLより、報告書自体を確認のこと。


1.職務発明制度の見直し

 (1) 職務発明に関する特許を受ける権利については、使用者等に対し、契約や勤務規則等の定めに基づき、発明のインセンティブとして、発明成果に対する報いとなる経済上の利益(金銭以外のものを含む)を従業者等に付与する義務を課すことを法定する。・・。

 (2) 職務発明に関する「特許を受ける権利」については、現行制度を改め、初めから使用者等に帰属するものとする

 (3) 政府は、・・、インセンティブ施策についての使用者等と従業者等の調整の手続(従業者等との協議や意見聴取等)に関するガイドラインを策定する。


2.特許料金等の改定

 (1)特許について
 特許出願料及び特許料の一定程度の引下げについて、特許特別会計の中長期的な収支見通し等も踏まえて検討することが必要。

 (2)商標について
 商標設定登録料及び更新登録料の一定程度の引下げについて、特許特別会計の中長期的な収支見通し等も踏まえて検討することが必要。

 (3)PCT出願に係る国際調査手数料、予備審査手数料等について
 ・・、今後の出願動向、海外の料金水準、我が国特許庁における実費等も勘案しつつ、日本語及び英語の別に料金設定を行う体系に改める必要がある。


3.特許法条約及び商標法に関するシンガポール条約の加入に向けての改正
(条約加入のための制度整備の改正のため、次回で下記の全ての点が改正できるかは分かりませんが、今後の改正で順次、改正されていく可能性は高いでしょう)。

 (1) 出願日の認定要件
 特許法条約(PLT)は、特許出願の出願日を認定するための要件として、
 (i)特許を受けようとする旨の表示、
 (ii)出願人の氏名若しくは名称又はそれらを特定可能な記載 及び
 (iii)外見上明細書と認められるもの
(以下これらの要件を「出願日の認定要件」という。)があるときには、「出願日」を認定することを締約国に義務づけている(第5条(1))。
→ PLT・・の規定に準拠するため、・・、特許法において出願日の認定要件を明確化するとともに、特許出願が出願日の認定要件を満たしていないときにはそれを満たすための補完の手続を導入する方針。


 (2) 明細書の言語

PLTは、出願日の認定に際しては、明細書はいかなる言語でもよいと規定している(第5条(2)(b))。

→ PLT・・の規定に準拠するため、明細書はいかなる言語であってもよいこととする方針。 (翻訳文は依然として、当然要求されます


 (3) 明細書又は図面の欠落の補完

 PLTは、出願日の認定に際して、明細書の一部又は図面に欠落があるときは、出願人は当該欠落部分又は図面を一定の期間内であれば提出することができる旨を規定している(第5条(5))。また、これと併せて、提出された欠落部分又は図面は、出願に含まれているものとする旨を規定するとともに、出願日の認定要件を満たした日又は当該欠落部分又は図面が受理された日のうちいずれか遅い日を出願日とすることも規定している(第5条(6))。

  →PLT・・の規定に準拠するため、願書に最初に添付された明細書又は図面に欠落があるときは、一定期間内に限り、当該欠落する部分又は図面を提出することができる補完の手続を導入する方針。
   併せて、PLT・・の規定に準拠するため、当該欠落部分が優先権主張の基礎とした先の出願に完全に含まれているときは、出願日の認定要件を満たした日を出願日とする旨を規定する方針。


 (4) 先にされた出願の引用による明細書等の置換

 PLTにおいては、特許出願の際に、先にされた出願の明細書及び図面を引用する旨を願書に表示することで、願書に明細書及び図面の添付がなくても、当該表示をもってそれら書面の添付に代えることができ、出願日が認められることを規定している(第5条(7))。

   → PLT・・の規定に準拠するため、特許出願の際に、願書において先にされた出願を引用する旨を表示することで、願書に明細書及び図面の添付がなくても、当該表示をもってそれら書面の添付に代えて出願日の認定を行う手続を導入する方針。


 (5) 出願に係る形式及び内容並びに提出物の要件の不備に対する通知等

  →我が国の現行特許法上、通知の対象となっていない
 (i) 外国語書面出願の翻訳文の提出、
 (ii) 優先権書類の提出 及び
 (iii) 国際特許出願の出願人が在外者である場合における特許管理人の選任の届出
について、所定の期間内にその提出等がないときは、当該期間の経過後、一定期間(通知から2か月とする予定)内に、その提出等を行うよう通知をするとともに意見を述べる機会を与えることとする方針。


 (6) 在外者による直接出願及び特許権の存続のための料金の直接納付

特許出願について、・・・、在外者による直接出願を可能とする方針。
→特許権の設定登録の日から4年目以降の特許料は、・・、在外者による直接の納付を認めることとする方針。


 (7)指定期間経過後の請求による救済

→ PLT第11条(1)の規定に準拠するため、指定期間の経過後であっても、一定期
間内に限り、請求によりその手続を行うことを可能とする方針。


 (8) 特許権の移転登録等の一方当事者による単独申請

→PLTの規定に準拠するため、特許権の移転登録申請等について、当事者のうちいずれか一方の者のみによる単独の申請を認めることとする方針**。
(**我が国の現行法令においては、これらの登録申請をするには、一部の例外を除き、当事者が共同で行わなければならないこととなっている)。


 (9) 特許権の移転等の登録申請における、要件不備に対する通知

→PLTの規定に準拠するため、特許権の移転登録申請等に要件不備がある場合には、申請人に対しその旨を通知し、一定期間内(通知の日から2か月とする予定)は、当該申請がその要件を満たすための補正等の機会を与えるとともに、意見を述べる機会を与える方針***。
(***現行法令においては、これらの申請が所定の要件を満たしていないときは、申請人に対し、却下の理由を通知し、弁明書を提出する機会を与えた後却下することとしており、申請の補正は一切認められていない)。


 (10)STLT加入に当たって対応が必要となる規定及び現行国内規定の概要並びに必要となる措置

-期間経過後の救済
-使用権(ライセンス)の記録について必要となる措置

                                     以上 

2015年1月24日 (土)

「地理的表示法」の手続きで気になる点

 地理的表示法の申請手続と登録までの審査手続き等の中で以前から気になっている点があります。

登録申請の際に提出する「申請書」には添付書類を添付しますが、その添付書類の中に明細書があり、産品の生産方法、特性等を記載する必要があることになています。一方で、申請をすると、その内容が公表(公示)され、第三者の意見書の提出期間が設けられます。また登録後においても内容は公表

(公示)されることになっています。このため、産品の生産方法や特性など、産品のノウハウ的なところが、公表されてしまうのではないか、という懸念があるように思います。

この点は、別記事で紹介しました講演会の中で、農水省の法令担当官の方も、質問に答えるという形で指摘され、また回答をされていました。


 すなわち、手続きは以下の通りとなっています(農林水産省による地理的表示法の説明会資料より抜粋)。


Brief_gi_law_25_2



 また、地理的表示法における審査手続きの流れは下記の通りになっています (農林水産省による地理的表示法の説明会資料より抜粋)。

Brief_gi_law_26


 このため、申請書に添付する書類の一つである「明細書」には、申請にあたって「産品の生産方法」等を記載する必要があり、申請後の「公示」によって、本来は公表したくない明細書に記載の「産品の生産方法」が公表されてしまう懸念があります。


(気になる点に関する農水省再度のコメントから)
 農水省の法令担当官の方のこれらの問題に対する回答としては以下の通りでした。

(1) 申請書の添付書類の一つである「明細書」は、申請書と共に「公示」される。すなわち、明細書の内容の一つである「産品の生産方法」等も「公示」によって、第三者が見ることが出来る状況になる(言い換えると、公示の際に「明細書」やその内容の一部を非開示にすることはしない)。

(2) 一方で、「明細書」に記載する「産品の生産方法」等は、「生産地」と「産品の特性」の結びつきを明確にするためのものであり、そのために必要な内容を記載すれば足り、産品の生産に関する重要なノウハウを「明細書」に中に記載することを要求しているのではない。
 (言い換えると、「明細書」を記載するにあたっては、「結びつき」を証明できる程度の記載をすれば足り、ノウハウ開示になるような記載はしないように工夫すべきである)。

(3) 近くパブリックコメントのために公表予定の審査基準(のようなもの)にも、記載が必要な内容等について説明される予定である。
                                       以上